4_ Searching for a mate

_____千賀せんが ちずる_
15歳。'08年生まれ。
幼少期はピアノに触れ、9歳頃クラリネットと出逢う。'16年、クラリネッティスト日本コンクールでの入賞を皮切りに多くの賞を獲得。
13歳でオーストリアへ留学。翌年にはプロオーケストラとの共演を果たし大きな注目を集めた。
今春に留学を終え、これからの動向が最も楽しみな若き奏者のひとりだ_____か・・・・・・聞いたっつーか知ってたわ。
この間、夜の番組で演奏してた。ヘアメイクやドレスで印象変えてたせいか、まさか我が末っ子と同級生とは思わず。しっかし・・・

「だいじょーぶ?」

スマートフォンで眺めてた特集記事から目を離して左を見た。
車で高校〜スタジオにこのレコーディングの合間時間真っ最中でもリブちゃんは、うだなれたまんま。楽譜集を時々じーっと見るものの頭が追いついていないらしい。


「で・・・あのッなんかボ、ボクにご用ですかニク・・・・・・?あ、演奏下手だった??

「まさか! 上手だったよ。ソルフェージュであれだけ的確に演奏できるんだもん・・・・・・実はその《道化師の朝の歌》で一緒に重奏してくれるメンバーを探してて。
お願いしますッ打楽器やってくださいッッ!!!」

「え?」

「このラヴェルって1年生の共通課題だよね。 で、最終的には室内楽の授業で重奏するじゃない? だからッそこに向けてメンバー探してるんだ・・・・・・あれ? 追いついてる?」

「とりあえずボクから降りて」

「あ、ごめん!! スラックス汚れた?」

「ううん。大丈夫ニク。で、これ共通課題なの?
そもそも重奏って何の話??」

「ん? 打楽器科の先生話してない???」

・・・・・・大丈夫か、この1名と1匹

彼女の話を一からしっかりと聞いたリブちゃんは「えーーッ!!!!」と驚き肩を落とす。千賀さんはもう一度深く頭を下げた。しかし、その姿に凄く迷い、返事を保留にして来てしまったのでした。


「ううん。保留じゃなく逃げたんだよ。
レコーディングに格好つけて、下手な返事もしたくないから逃げただけニク・・・・・・我ながら最っ低ニク」

「リブちゃん」

でも、正直誘ってもらえて嬉しかったの
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