4_ Searching for a mate

待て待て待ってッッ!! これって盗み聞きって奴じゃない・・・?
このまま聞いちゃってていいの自分・・・・・・あぁリブちゃん!!! ちゃんと反応しなきゃッ


勝手にやきもきしてる校門の影。自分はただ迎えに来ただけ・・・・・・なのにさ、聴覚凄くいいってデメリットね。
きっとクラスメイトの女の子だろうなぁ。そして、最年少はパニクって言葉が発せないんよねぇ~。


「もしもし~聞いてる??
さっきラヴェル*の《道化師の朝の歌》演奏してたよね・・・?」

「ぇ、ぁ"ッき聞いて」

「うん。あれ、ソルフェージュの授業でしょ?
ウチの弦楽器科が隣のホール使ってたから・・・・・・で、友達に聞いたら「29番の子はきっと君だろう」って。
当たってる? 噂のオオカミ君」

・・・あらクラスメイトじゃなかったか~ 。ん?
身バレしてない??


「ニク。確かに29番はボクです・・・・・・っというか、あなたもかなり有名じゃ・・・千賀せんがちずるさ」

会話は途切れたと思って様子伺ったら、やるなぁ・・・・・・タックルでリブちゃんの口を塞いでる。上手いことリュックが後頭部を守って怪我はなさそうだ。
腰近くありそうなロングの黒髪が起き上がってサラサラした前髪で隠れてた明るい黄緑色の瞳が、ものすごく怒ってる。

「今ッひらがなで呼んだ!!? やめて!!!!
あれは演奏家としてのな ま え !!
プライベートじゃ千賀せんが 茅鶴ちづるなのッッ君も人気ロックバンドのドラムスって、下手にバレたくないでしょ? Spear Rib君」

「ご、ごめんなさい」

・・・・・・センガ? 待てよ、自分聞いたことあるかも・・・??



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*=モーリス・ラヴェル(1978-1937)
作曲家。亡き王女のためのパヴァーヌ、ボレロなどが有名。
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