3_チェリーウォーク

「随分気の早いリクエスト」こう苦笑いする食事担当と近所の公園の道を歩く。ログハウスへ着く頃にはとっくに明日・・になってる。そんな静かな夜道。
月明かりがなんともノスタルジック。が、左隣で思い出したような声がした。

「ド「タナカさん寝たかな
明日、リブ終業式なんで朝にご飯炊かないでって・・・もう寝ましたよね!? いや、アイス食べてればワンチャン?」

「電話シヨッカ? LOINロイン通話ナラ出ルカモ」

「いや走った方が早いですね」

ボソッと放った発言に僕はギョッとした。いや、否定はしないよ・・・脚力と瞬発力は狼としての持ち味だもん。でも万が一誰かに見られたら・・・・・・肺にだって負荷かかるし。


「大丈夫です、こんな短距離じゃもう発作出ませんから。
それとダッシュ30%くらいなので《約束》はギリ守ってますよね? 誰も居ないし。じゃ先に帰ってますねッ!!」


コラ。勝手に《約束》を捻じ曲げるじゃありません。あっという間に曲がり角で姿が消えた・・・タナカがお米研いでないといいね。
ちなみに電話はコールが鳴りっぱなし。
僕は4回かけ直したところでやめて、スマートフォンをショルダーバッグへしまう。そして


「・・・・・・言ッテタ通リトッテモ綺麗デスネ、博士」

話しかけ、上を見上げて淡く小さいPinkの花を今年も瞳へ焼き付けた。







……a end.
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