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第14章

1
数日後、舞はある村へと来ていた。
星夢から再び襲撃があるとは聞いていたものの、場所までははっきりとわからなかった為、幾つかのグループに分かれて、襲撃に備えることになった為だ。
舞といるのは、飛影、花音、風夜、神蘭、封魔、雷牙で、今は花音と雷牙以外の四人は村の中を見てくると出ている為、三人しかいなかった。
「……何か、此処が本命のような気がしてきた」
「舞ちゃん? 」
思わずそう呟いた舞に、花音が不思議そうに視線を向けてきた。
「どうしたの? 」
「……えっと……、何か此処が当たりのような気がして……」
「当たりって……、此処が襲われるってこと? 」
「根拠はないけど、なんか此処にいるメンバー的に引きが強い気がして…… 」
そう答えると、花音も顔触れを思い出したのか、苦笑いする。
「……確かに、あんまり嬉しくはないけど、言われてみれば、私もそんな気がしてきたかも」
花音がそう呟いた時、それまで顔を俯かせていた雷牙がハッと顔を上げる。
「……来る! 」
そう言ったかと思うと、爆音と共に激しく揺れた。
2
今までいた建物を出ると、同時に飛んできたエネルギーを辛うじて避ける。
攻撃が飛んできた方を見れば、宙に浮き此方を見下ろしている無機質な目と視線があった。
「……やっぱり、当たり……」
「……だね」
花音と顔を見合わせて呟いていると、第二撃目が飛んでくる。
だが、それは割って入ってきた風夜に防がれ、斬りかかった飛影と封魔に中断させられた。
「二人共、大丈夫か? 」
「はい。今、襲われたばかりだったので」
問い掛けてきた神蘭に、舞は答えながらチラリと雷牙を見る。
やはり彼は二人の姿をして、茫然としているようだった。
「……雷牙くんには無理そうだね」
見ていると、花音が小さな声で言う。それに舞は同意見だった。
「……花音、舞、雷牙。お前達は私と来い」
その時、神蘭がそう声を掛けてくる。
「「えっ? 」」
「村を見回っている間に避難も呼び掛けてはいたが、まだ終わっていないから手伝ってほしい」
言われて、舞は花音と顔を見合わせたが、神蘭がチラッと雷牙を見たことから、この場から離れる口実のようだった。
3
少し離れたところで二手に分かれた後 、舞は自分と組んだ神蘭を見た。
「……神蘭さんも気付いていたんですね? 」
「ああ。後の三人もな。……少し様子を見て、無理そうだったら、離すことにしてあった。……封魔の時のことを思い出しても、迷いがある者を庇いながら戦えるほど甘い相手ではない」
(……確かに二人で村を二つも壊滅させてるんだもんね。……それに、此処にいる以上、この村の人達を避難させることも大切な筈)
そう思いながら、舞は避難誘導を再開しようとしたが、不意に神蘭が何かに反応した。
「……伏せろ! 」
彼女に言葉と共に地面へと引き倒される。
その直後、物凄い爆風が吹き荒れた。
「「……っ……!! 」
地面に伏せたまま、それをやり過ごして身を起こす。
「なっ……!? 」
辺りを確認し、村の一部が消し飛んでいるのに気付く。
「……相殺に失敗したか。とにかく、此処も危険だ。もう少し離れて……」
その声を遮るようにもう一度爆発音が聞こえ、次に地を滑る音がして、視線を向けると、そこには飛影達の姿があった。
「ちっ!何なんだ、あいつら!本当に何にも感じてないのか!? 」
舌打ちして言う飛影の視線の先には、彼等との戦闘でか傷付いている魔神族二人の姿があったが、やはり表情は変わっていない。
「……映像で見てはいたが、……状況は封魔と一緒か」
「……俺の方がもう少しましだったと思うけどな」
そんなことを話している間にも、二人は攻撃を仕掛けてくる。
それに対応する為にか、風夜が風の刃を放ったが、それにも構わず突っ込んでくる。
複数の刃に身体を切られても、眉一つ歪めない。
正直、舞の方が見ていられなくて、視線を逸らした。
「舞!! 」
「えっ!? 」
名を呼ばれ、視線を戻そうとして、目の前にニヤリとした笑みがあることに気付く。
身構える間もなく、二人の攻撃が舞に振り下ろされるが、当たる前に何かに突き飛ばされる。
「ぐっ!! 」
「飛影!! 」
突き飛ばしたのが誰なのかと視線を向けると、膝をついていたのは飛影だった。
「……ごめん。大丈夫? 」
「……あいつらが異常なのは、わかってるだろ。……気を抜くな」
「……ごめん」
言われてもう一度謝る。
その間にも再び攻撃を仕掛けてくるのを風夜と封魔が防ぐ。
「ぐっ……、こいつっ……」
「……ぐぅっ……」
(この二人は、雷牙の両親でもある。でも、こんな状況じゃ……)
「……舞」
迷っているのがわかったのか、飛影が声を掛けてくる。
「……わかってる。……わかってるよ 。でも……」
「……お前はそれでいい。……止めるのは俺の役目だ」
その声に振り返る。そこにいたのは、別行動になっていた花音と雷牙だった 。
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