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魔界のレジスタンス

1
黒蘭を倒してから二日。花音は朝から神麗に呼ばれて彼女の部屋へ来ていた。
「はい、これ」
そう言って、夜天達の回復を待つ間、神麗に預けていた弓と幾つかの珠の入ったポーチを渡される。
「なんか前より軽いし、小さくなってませんか?」
「ふふ、折角だからそっちも改良しておいたの。珠の方は、誰かに力を入れてもらわなくても、それぞれの属性が使えるようにしてあるから」
「ありがとうございます」
「ふふ、じゃあ行きましょうか。皆、もう待ってるわ」
「はい」
神麗に頷くと、花音は受け取った弓を背負い、珠の入ったポーチは腰に付けた。
「あ、やっと来た!」
花音と神麗が最後だったらしく、瑠璃が飛んでくる。
「遅いよ、二人共!皆、揃ってるんだからね!」
「ごめんね」
「……とにかく、これで揃ったか」
ぷりぷりと怒っている瑠璃に謝る花音を見ながら、神蘭が言う。
「で、どうするんだ?」
「それなんだが、兵器は全部で三つ。離れた場所にある訳でもないが、同じ場所でもない」
「ということは……」
「そう。我々も、三つに分かれるということだ」
呟いた空夜に紫狼がそう返す。
「その三ヶ所には、私と風夜、紫狼が案内するわ」
と、沙羅が言う。
「で、残りはどう決めるんだ?」
「瑠璃」
「はーい」
紫影の問いに、沙羅が何故か瑠璃を呼ぶ。
すると、何処からか箱を持って飛んで来た。
「はい、引いて」
箱を差し出され、花音はあまりの準備の良さに思わず目を丸くした。
2
「くじ?」
「ああ、これが一番手っ取り早い」
風夜が言う。
「でも、戦力が偏らないか?」
「それは後で調整するさ。今は取り敢えず引け」
夜天に答えて促してきた風夜の声に、花音は箱から一枚紙を引いた。
そこには、数字の【1】が書かれている。
「1番……」
「!じゃあ、一緒ね」
花音が呟くと、近くにいた紫姫が言う。見ると、確かに彼女の紙にも【1】が書かれているのがわかった。
全員が引き終わった所で、番号ごとに分かれていく。
集団は三つ。
神蘭、白夜、聖羅、神麗、雷牙、水蓮、大樹、朔耶、夜月、美咲、星華で一グループ。
龍牙、鈴麗、光輝、夜天、凍矢、紅牙、蒼牙、空夜、昴、千歳、星夢、影牙で一グループ。
花音の近くに、封魔、火焔、風華、紫影、紫姫、風牙、黄牙、梨亜、琴音、刹那がいる。
これがくじの結果のようだった。
少し偏りがある気もするが、まずまずの結果だろう。
そんなことを思いながら、何処に入るか決まっていない三人を見た。
「あとは、俺達か」
呟いて、風夜が沙羅と紫狼を見る。
「私は何処でもいいわ」
「俺も構わない」
二人がそう返す。
「なら……」
風夜が口を開いた時、彼の肩に誰かが手を回す。
「それなら、お前が俺達のところに入るのがベストな形だろう。なぁ」
そう言って、風夜の肩に手を回したまま、ニヤリと笑ったのは風牙だった。
「……俺に選択肢はないのか?」
「あっても、どうせ此処を選ぶだろ?なにせ……」
溜め息混じりに言った風夜に、風牙は笑みを深くする。
「ここには、お前が気に掛けている奴ばっかりだからな」
「……一番問題があるのは、お前だよ」
言いながら、肩の手を外す。
そんな二人のやり取りに花音は思わず笑ってしまった。
その後、沙羅が神蘭達に、紫狼が夜天達に同行することが決まり、花音達は兵器のある場所へと来ていた。
(あれが……)
大きな砲台のようなものが三つあるのを見て、花音は内心で呟く。
「さてと、ここから別行動だ」
ここまで案内してきた紫狼が言う。
それを聞いて、気を引き締める。
牙王、黒蘭を倒したとはいえ、まだ窮姫、闘牙、闇王が残っている。
壊す兵器が三つあるなら、妨害の為、一人は確実に現れる筈なのだ。
それを考えると、気を抜くことは出来なかった。
「とにかく、目的はあくまでも兵器の破壊よ。窮姫達が出て来ないことにこしたことはないけど、彼女達を倒しにきたわけではないのだから、深追いはしない。それでいいわね?」
確認するように言った沙羅に、其々が頷く。
「兵器を破壊したら、またここに集合だ。……行くぞ」
風夜が砲台の一つに向かって、歩き始める。
「皆、気を付けてね。また後で」
花音は去る前に別行動の仲間達にそう言うと、先に行く風夜達を追い掛けた。
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