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第11章

「……逃げられたみたいね」
僅かながらでも押し返そうとしてきていた力を感じなくなり、麗玲は力の放出をやめる。
感じとった通り、舞の姿はない。
それだけでなく、倒れていた筈の他の者達の姿もなくなっていた。
「逃げたって、一体何処へ? 」
「神界にいるとは思えないし、光の街へ戻ったとも思えませんが……」
そんな声を聞きながら、麗玲はある気配を感じとり、口元に笑みを浮かべた 。
「……この気配、随分珍しい人物が手を出してきたものね」
「麗玲、逃亡先がわかったの? 」
「ええ」
天奏の問いに頷く。
「詳しい位置はまだ掴めないけど、行った先は魔界ね」
「魔界の奴が神族を助けたと? 」
「……昔とは少し事情が違うのよ。でも、もう手は打ってあるわ」
そう答え、麗玲は再び玉座へ座る。
「ふふ、漸く神界を手に入れた。……あと三つ。あと三つの世界を手に入れれば、私は全ての頂点。……魔神族は最高位の種族になる。……ふふふ、あはははは」
そう言い、高らかに笑う麗玲の声が響きわたった。
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