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第11章

1
数時間後、舞達は煌破が言っていた通りの方法で神界へ行く為に、魔神族の領域へと来ていた。
「このゲートが神界へと通じている」
扉を見ながら、煌破が言う。
(この先が神界……)
〈天華〉がいた頃の神界が脳裏に浮かぶ。
今の神界は……魔神族に攻められ、戦場になっている為、どんな状況になっているのかわからない。
ただ、余り酷いことになっていない事を祈るしかなかった。


「……此処が神界? 」
ゲートを通り抜けた先、着いたのは中央に高い塔のようなものが見える街の外だった。
「……来たと思ったら、いきなり神界軍本部のある街じゃないか」
「……うん。……通っただけで此処についたとなると……」
神界に来たことのある風夜と花音が言うのが聞こえる。
「……ああ。間違いなく街中が戦場だな。……本当なら、全員で動くより分散して動きたいところだが」
飛影の言葉に、火焔や水蓮、夜天、雷牙、光輝、紅牙、蒼牙、刹那、星夢、聖奈、綾が一斉に首を横に振った。
「……反対意見の方が多いみたいだな 」
「……まぁ、いいんじゃない。私も、別行動はちょっと……」
呆れたような莉鳳に舞はそう返しながら、何も言わない花音を見る。
「先輩はどっちがいいと思います? 」
「私はどっちでもいいよ」
その声に舞は少し驚いたが、風牙はニヤリと笑みを浮かべる。
「流石……、前の戦いで単独行動することが多かっただけのことはあるってか」
「あれは、全部不可抗力だよ!……まぁ、分散するとしてもその時より、ましだと思ったから反対しないだけで」
「……おい、いつまで此処で喋ってるんだ? 」
今まで黙っていた煌破が口を挟む。
「何だ?律儀に待ってたのか?お前なら此処に着いたら、別行動をとると思ってたぞ」
「……今の俺は魔神族からとっても〈敵〉だ。……一人で両軍の相手をするつもりはない。だから、神界軍との戦いを避ける為にも、お前達を利用させてもらう」
「……素直じゃないな」
「煩い!そろそろ行くぞ! 」
ボソリと呟いた飛影を睨むと、煌破はそう声を張り上げた。
2
街の中に入ると、予想していた通り、街中が戦場になっているようで、彼方此方から爆発音や剣戟の音が聞こえてきていた。
「街中にいるのは雑兵だけだ。……麗玲を含め、十人衆や上層部の奴等は既にあの塔にいる」
襲ってくる兵達を倒しながら、先頭で街を駆け抜けていた飛影が塔を見ながら言う。
「闘神達の気配も彼処だな」
補足する莉鳳の声を聞きながら、舞も塔を見た。
(彼処に麗香……、麗玲も来てる)
「……既に彼処まで攻め入られたのか 。それとも、あえて彼処に入らせて、防衛ラインを敷いたのか。……とりあえず、急いだ方がよさそうだな」
風夜が言うと、蒼牙と紅牙が刹那を見た。
「ねぇ、刹那お兄ちゃんの力で飛べないの? 」
「此処まで来たら、能力使えるだろ」
「……いや、逆に状況がわからないから危険だ」
「刹那の力も不便な時もあるのね」
蒼牙と紅牙に言われ、刹那と星夢がそう返す。
「ちぇっ、楽は出来ないってか」
「文句言わないの。……着いた途端、集中攻撃されたくないでしょ? 」
不満気な紅牙に水蓮が返し、思わず舞が苦笑した時、突然周囲の空気が急激に冷えた気がした。
「何、急に? 」
「……何だか寒くなってきた」
聖奈と綾がそんなことを言いつつ、腕を摩る。
「一体、何で……、わわっ!? 」
舞が言った時、更に冷たい風を感じ、踏み出した足が滑って転倒してしまった。
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