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第10章

1
「…………」
「報告は以上です」
凰呀から話を聞いた麗玲が不機嫌そうに顔を顰める。
その横で天奏も溜息をついた。
「……やっぱり、飛影と同じように裏切ったのね」
「……そうなる気はしていたけど」
「ですが、奴は飛影達の所にも身を寄せてはいないようです。どうしますか ?今なら奴を見つけ、始末することもそう難しくはない筈ですが」
「……今はいいわ。放っておきなさい 。それより、……そっちはどうなっているのかしら?」
凰呀から視線を外した麗玲は、集まっていた魔神族達の中の一人を見た。
「神界の方は?何か動きは? 」
「はい。……闇鬼の方からある報告が入ってます」
視線を受けた女の魔神族が口を開く。
「聞きましょうか? 」
「はい。どうやら、神帝に我々の動きを察知されたようです。そのせいで神帝の娘、聖姫には逃げられたと」
「そう……。それで、その聖姫の逃亡先は? 」
「それはまだ……」
「それなら、俺の方で確認がとれています」
天奏の問いに首を横に振る女の魔神族に一度黙っていた凰呀が口を開いた。
2
「貴方が何故知ってるの? 」
「偶々ですよ。煌破を見張っている時に、俺も光の街へ行きましたから」
「じゃあ、聖姫は光の街に? 」
麗玲が確認するように言うと、凰呀は頷いた。
「それに聖姫だけでなく、聖波、光鳳 、光蘭の姿も確認できています」
「そう……」
その報告に麗玲は愉しげに笑みを浮かべた。
「……現闘神は全員留守、過去の闘神達も神界には戻っていない。その上、その三人も神界を出たとなれば、これ以上の好機はないわ」
それを聞いて、幼い少女が声を上げる。
「ってことはぁ、いよいよ神界へ侵攻開始ですね!麗玲様! 」
「ええ。すぐに出撃の準備よ。綺羅、あなたは私ときてほしい所があるの」
「はぁーい! 」
椅子から立ち上がった麗玲に、綺羅と呼んだ魔神族の少女がついてくる。
麗玲が向かったのは牢だった。
3
「麗玲様、こんな所に何の用があるんですかぁ? 」
「ふふ、……こっちよ」
そう言い、一つの牢の前で立ち止まる。
その中には何人かの人影が座り込んでいるのがわかった。
「ふふ、気分はどうかしら? 」
「……最悪だな」
その中の一人が返してくるのを聞いても、麗玲は愉しげな笑みを崩さない。
「……まぁ、いいわ。ずっとこの中にいても退屈なだけでしょう。出してあげるわ。……ただし」
そこまで言って、麗玲はちらっと横にいる綺羅を見た。
「……なるほど。私を連れて来たのはこの為ですね。私、頑張っちゃいますよぉ」
視線を受け、元気良く言った綺羅の目が紅く光る。
それと同時に中にいた者達がぐったりと項垂れる。
「……これでいいですかぁ? 」
「ええ。上出来よ、綺羅」
問い掛けた綺羅に、麗玲は機嫌よくそう返す。
そんな二人の前でぐったりとしていた者達が次々と意識を取り戻していくのを見て、麗玲は牢の扉を開けた。
「さぁ、出てきなさい。神界へ行くわよ」
麗玲の言葉に中から出て来た者達を先に行かせ、麗玲は笑みを浮かべる。
「……さてと、どうなるかしらね。さぁ、私達も行きましょう」
「はーい」
そして、元気良く返事を返した綺羅を連れ、麗玲は牢を後にした。
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