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受け継がれるもの

1
過去の王族達が作り出していた空間から花音達が出ると、残っていた光輝達が倒れていた。
「光輝……!」
「……うっ……、姉上?」
「大丈夫?」
「……気をつけろ。この空間、こっちの攻撃を全て跳ね返してくるぞ」
駆け寄り光輝を助け起こしていると、すぐ近くにいた凍矢が言った。
「そう。この空間は私の為のもの。この空間にいる以上、私は最強。お前達は私にダメージを与えることは出来ないのだ」
そう言って笑った大臣の前に、同じように笑みを浮かべた風夜が進み出た。
「……なるほどな。なら、この空間を壊せば、お前にダメージを与えることが出来るってことだろ?」
「ふ、そうだが、そんなこと出来る訳が……」
元大臣がそこまで言った時、風夜が目を閉じる。
「「!!」」
それと同時に、千歳と昴が目を見開いた。
「この力……」
「前より力を増しているっ……」
そう呟き、息をのんだ二人の前で、風夜が目を開ける。
「はあっ!」
風夜から放たれた魔力が、空間の壁にぶつけられる。
それは一瞬の拮抗もなく、壁を内側から吹き飛ばした。
「な、何っ?」
あっという間の出来事に、元大臣は声を上げる。
「ば、馬鹿な……!」
「どうした?あの空間を壊しただけで、随分動揺してるじゃないか?」
涼しい表情をして言った風夜を元大臣は一瞬睨み付けたが、すぐに表情を戻す。
「……ふ、ふん。ただ私の術を一つ破っただけで、いい気になるなよ。お前と一緒にいる奴等は殆ど手負い。同属性であるお前達兄妹の力は、私に通用しない。魔族一人も、神族の二人も、私の力の方が強いのだから恐れることはない。……私の勝利は、変わらないのだ!」
自分にも言い聞かせるように言い、元大臣は魔力を巨大な球状のものにして放った。
「っ……!」
それを防ぐことも、ましてや傷付いた光輝達が避けられるとも思えず、花音は身を縮める。
だがそんな彼女達の前に誰かが割って入ったかと思うと、そこから動かなくなる。
「……変わらない……、か。それはどうだろうな?」
「なっ……」
魔力の巨大な球を片手で止めていた風夜がそれを振り払う。
それと同時に、彼の背に黒い翼が生える。
その翼はもう一人の風夜の力を借りていた時よりも増えて、三対になっていた。
2
「な、何だ、その姿は……!?お前にはもう、魔族としての力はなかったはずだぞ!」
そう言った元大臣は、風夜と《風夜》を見る。
「……確かに、俺は一度力を失ったかもしれない。だが、これはかつて存在を許されなかった風の国の王族達から貰った力だ」
「何……っ!」
「……彼等はお前がこのまま国を治め、窮姫達の好きにされることをよしとはしていない。それは俺も同じだ。だから……」
そこまで言って、風夜が姿を消す。
彼が次に姿を現したのは、元大臣の背後だった。
「……お前の野望も、ここまでだ」
言いつつ、元大臣を蹴り飛ばす。
その動きについていけなかったのか、元大臣はなすすべもなく吹っ飛ばされた。
その元大臣に向けて、風夜は更に風の渦を放つ。
「ぐあああっ!」
その中心に捕らえられた元大臣は、そのまま宙へ打ち上げられていく。
風夜が風の渦を消した時には、元大臣の身体はボロボロだった。
「ぐっ……、私が……、最上級クラスになったこの私が、負けるというのか……、漸く私の夢が叶ったというのに……、漸くこの国の王に……」
倒れたまま、そう呟く声がする。
そんな元大臣へ、風夜が近付いていく。
その時、幾つかの足音が近付いてくるのが聞こえ、謁見の間の扉が開かれる。
見ると、それは別行動中だった火焔達だった。
「こっちは終わったわよ」
「大丈夫ですか?」
彼等と行動していた神麗が言い、傷を負っている夜天達を見て、星華が駆け寄ってきた。
「終わったって、王様達を助けられたの?」
「ああ、先に城を出てもらった。それより、こっちは……」
倒れている元大臣と、姿が変わっている風夜、彼とは別に存在している《風夜》を見て、火焔が言う。
「それは、えっと……」
それに花音が答えようとした時、倒れていたはずの元大臣が動いた。
「……諦めるものか……、私は王になるのだ!もう何処の国でも、構わんっ!」
そう叫んだかと思うと、手を刃のような形に変形させ、突っ込んでこようとする。
だが、その前にその身体を光線のようなものが貫いた。
「がっ……!」
信じられないというように目を見開いた元大臣が倒れていく。
倒れた身体は次第に動かなくなり、消滅しはじめる。
それを風夜は、冷たい目で見ていた。
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