このサイトは1ヶ月 (30日) 以上ログインされていません。 サイト管理者の方はこちらからログインすると、この広告を消すことができます。

第10章

1
「…………」
神界の上層部が住む建物を出て、天華は一人、街の外、人気のない方へ歩いていく。
(……やっぱり、誰かがつけてきてる)
気配を消してはいるが、それでも神族ではない気配を僅かに感じていた。
街を抜けるまでは仕掛けてくるつもりはないのだろうと判断し、天華は足早に街中を抜けることにして、スピードを上げる。
同じようにスピードを上げてきた相手は、街を抜け他の気配がなくなればすぐに襲い掛かってくるだろうと気を引き締める。
少しして、街を出て離れた所で足を止めて気配を探れば、すぐ近くまで距離を詰めてきているのがわかった。
(……来る!!)
薄まっていた気配が増し、殺気に変わったのを感じ、天華は手に細身の剣を出現させると身構えた。
その直後、風を斬る音と共に迫ってきた槍先を弾く。
「……何者!?」
視線を向けると、体勢を整え、構え直している少年がいた。
その顔は仮面で隠れていたが、気配から神族と魔族が入り混じっているのを感じ、顔を顰める。
「……あなた、魔神族ね。……それも結構、上位の方の……」
「……ああ」
肯定した少年が不意に仮面をずらし、素顔を見せる。
「……俺は魔神族十人衆の五番手、飛影。麗玲様の命により、お前の命を貰いにきた」
「……そう。思ったより動くのが早かったのね。……でも、残念。私は死ぬ訳にはいかないの。……一人で来たこと、後悔させてあげるわ」
そう言って、天華は今度は自分の番だと言うように地を蹴った。
2
「…………」
次の日、天華が目を覚ましたのはもう昼に近い時間だった。
(ううっ……、結局、眠れたのは朝に近い時間だったんだよね)
欠伸を噛み殺しながら、天華は身支度を整える。
魔神族が襲撃してくるようになり、対策の為に軍に詰めたり、会議に出たりとただでさえ忙しかったので、昨夜も遅かったのだ。
そして、漸く帰れるかと思ったら十人衆の襲撃を受けて戦闘になったのだが、疲れからかなかなか振り切ることが出来なかった。
(それにしても、十人衆が動き出したとなると、魔神族はもっと本格的に攻めてくるようになる筈。……軍や聖羅達にも伝えておかないとね)
そう思いながら、天華は深く溜息をついた。
天華が他の神子が集まっている場所へ来ると、それに気付いた聖羅が声を掛けてきた。
「遅かったわね、天華。昨日も夜遅かったの?」
「うん。まぁね」
頷いて空いていた席に着くと、隣から不意に手が伸びてきて、頬に温かさを感じた。
視線を向けると、隣にいた光鈴が手を引く。
「少し切れてたから治したよ。でも、昨日はなかったよね。何かあったの?」
「あー」
その言葉に戦闘の最中、一度頬を掠ったのを思い出す。
(そういえば、帰ったらすぐに寝ちゃったんだった)
「……天華、何を隠してるの?」
光鈴に答えないでいると、今度は聖羅が聞いてきて、口には出さないものの聖鈴と光麗も視線を向けてくる。
それに隠しても仕方ないと、天華は口を開き、夜中にあったことを話し始めた。
「魔神族の十人衆に襲われた!?」
「まぁ、一人だったから何とかなったけどね」
「……でも、十人衆とはいえ、一人でこんな中枢に入ってくるなんて」
「……考えたくはないけど、神界の中に手引きしている者がいるのかも」
聖鈴と光麗が不安そうに言うのを聞きながら、天華は襲撃の時を思い出す。
(魔神族十人衆の五番手って言ってたよね。……麗玲の命とは言ってたけど、一番手から四番手ではなく、下位の者でもない中途半端な位を送ってくるなんて……。……まさか……)
一人で中枢に現れた飛影。
先程の聖鈴と光麗の言葉。
胸騒ぎがした。
3/11ページ
スキ