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第9章

1
舞達が気を失っている雷牙達を連れて屋敷へ戻ってくると、神蘭達は帰ってきていた。
「これで、皆戻ってきたって訳ね」
「封魔は?」
「眠らせたわ。見張り付きでね」
聖羅の言葉に、舞は部屋の中を見回す。
全員いるのかと思っていたが、蒼魔、星夜、楓の姿はなかった。
(見張りって、三人掛かりで……?)
「それより、何があったの?戻ってきたら、また炎が街を焼いてるし」
「この子達に聞いたら、舞達は何処かに行っちゃったって言うしね」
綾が紅牙と蒼牙を見ながら言った。
「それは……」
「……魔神族十人衆が動き出した。街を焼いた炎は、その内の一人が其奴の力を利用して放ったものだ」
舞が話すより先に飛影が火焔を指して言う。
「……とはいえ、今回の奴は十人衆の中でも格下。……既に、もういないしな」
「いないって、倒したのか!? 」
驚いたように声を掛けてきた龍牙に、舞は苦笑いしながら、視線だけを風夜に向ける。
同じように飛影や花音も彼に視線を向けていて、それを見た風牙が大きく息をはいたのがわかった。
「……どおりでな。戻ってくる途中でやけに荒れてる気がしたんだよ」
「……まぁ、やりたい放題だったな」
「……でも、格下とはいえ十人衆だろ?それを一人でって……」
「「……それだけ、此奴が切れた時はおっかないんだよ!!」」
「あ、あはははは」
白夜の言葉に、風牙と火焔が風夜を指で指しながら言う。
それに舞はただ苦笑いするしかなかった。
2
そんな話をしていると、不意に外から今まで感じなかった気配を感じ、舞は扉の方へ視線を向けた。
全員が気配を感じたのか、視線を向けてはいるが、誰も警戒する様子はない。
(それにこの気配は……)
感じる気配は一人ではなく、五人分だ。
「ただいま。遅くなったわ」
扉が開かれ、そこから総長と副総長の裏切りを知ってから再び神界へ戻っていた星蓮が入ってくる。
だが、感じた気配どおり一人ではなかったらしく、彼女の後ろから三人の男女とフードとマントで姿を隠している人物が一人入ってきた。
「聖波様!光鳳様!光蘭様!」
「……久しぶりだな」
「どうして、此処に? 」
神蘭の問いに、三人はフードとマントを身に付けたままの一人を見る。
「……聖姫様、もう外していただいても大丈夫ですよ」
星蓮の言葉に、フードの人物が僅かに頷いて、フードを取り去る。
そこから現れたのは、綺麗な銀髪と翡翠の目を持つ少女だった。
(うわぁ……)
舞がそう内心で呟くと、ふと星蓮が彼女に向かって膝をつく。
気が付けば彼女だけでなく、此処にいない封魔、蒼魔、星夜、楓を除いた神界の者達が全員、少女に膝をつき、頭を垂れさせていた。
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