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第8章

1
舞達のところへ火焔達が連れて行かれたという連絡が届いた頃、雷牙達は光の街の外、破皇という名の魔神族の前にいた。
「……やはり、失敗したか? 」
「これは一体……」
破皇の後ろ、気を失っている火焔達の姿を見て、雷牙が言う。
「どうやら我々の襲撃すらも闘神達に邪魔をされてしまったからな。早々に次の手を考えたという訳だ」
破皇が懐から何かを取り出す。
「といっても、俺が天奏様から授かったのはこの珠だけだがな」
そう言い、紅い珠を見せてくる。
「……それは? 」
「この世界の連中から奪った力がこの珠には込められているそうだ。……こいつは確か〈火〉の一族だったか。だから、〈火〉の一族以外の奴等は俺には必要ない」
破皇のその言葉と同時に気を失っている火焔以外の姿が消える。
「「「!!」」」
「……さてと、それじゃ、始めるとするか」
そう呟いたのと同時に、破皇が倒れている火焔へと近付くと、持っていた珠を火焔に翳す。
その直後、その珠は徐々に巨大化し始め、火焔をその中へと取り込んでしまった。
2
「な、なんてことを……」
「元はお前等が封魔を始末し損ねたのが悪いのだからな」
呟いた夜天に、破皇はふんっと鼻を鳴らす。
「それに言っただろう?……失敗したからには、次の手段に出ると」
そう言って、火焔を閉じ込めた珠を見る。
「これは……、その次の手段の第一段階だ」
巨大化した珠へと手を翳す。
それと同時に珠が光り始め、熱を帯びたように感じた。
「っ!うあああああっ! 」
光が強まるにつれて、中に閉じ込められている火焔が声を上げる。
「「「火焔! 」」」
ぐったりとしていた筈の火焔が上げた苦痛の声に、名を呼ぶことしか出来ない三人の前で破皇は楽しげに笑みを浮かべる。
「さぁ、始めるぞ! 」
その言葉と同時に、珠から炎が街へと向かって放たれた。
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