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第24章

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ある知らせを受け、麗玲は足早に牢へ向かっていた。
彼女が足を止めたのは一つの牢の前で 、既に中には四人の人物がいる。
「天奏がいないってどういうことなの !? 」
そう声を発すると、中を調べていた四人が一斉に視線を向けてきた。
「昨日の夜まではいたのよね!? 」
「はい。昨日の見回りの時には確かに 」
麗玲の問い掛けに、翔月が答える。
「それは何時頃だ? 」
「いつも通り、定刻だ」
「ということは、二十三時以降ね。鍵は? 」
「俺が持ったままだ」
翔月が鍵の束を見せる。
閻夜、世璃、翔月のやり取りを見ていた麗玲は隼刀が一言も発していないことに気付いた。
「隼刀? 」
鍵穴を調べている彼に近付く。
「何か見つけた? 」
「……というより、何もなさすぎるんですよ。見てもらえばわかると思いますが」
そう言って、鍵穴を指す。
「鍵をこじ開けた様子もなければ、壊した形跡もない。……それなら、どうやって鍵を開けたのか」
「鍵はずっと翔月が持っていたのよね ? 」
「はい」
翔月が頷いたのを見てから、麗玲は閻夜と世璃を見る。
何か思い当たることがあったのか、彼等は渋い表情をしていた。
「……二人には何か心当たりがありそうね」
「はい。今、思い出したのですが、牢の鍵は一つではないのです」
「……神界軍の総長として私が持っていたものの他にもう一つ」
「それは今、何処に? 」
問い掛けに二人は一度視線を交わし、世璃が口を開いた。
「……魔界です」
「魔界だと!? 」
「……正確には、現闘神の内の誰か」
「もっと正確にいえば、封魔が持っている可能性が一番高いかと。……最後に待機状態になっていたのはあいつでしたから」
「そんなこと、今はどうでもいいわ! ! 」
麗玲は思わず、声を荒げていた。
「問題は天奏を舞達に連れていかれたかもしれないってことよ!今までの裏切り者より、一番まずい状況だわ」
「ですが、奴等だとしたら天奏が囚われたことを何故知り、どうやって助けに? 」
「奴等の仲間には空間使いがいる。魔王の力でも、侵入することが出来るだろう」
「天奏のことは、大方玲莉から漏れたのでしょう」
「麗玲様、どうしますか? 」
隼刀、翔月、世璃、閻夜が指示を仰ぐように視線を向けてくる。
視線を受け、麗玲は一度目を閉じてから、四人に強い視線を向けた。
「魔界へ行くわ。すぐに準備しなさい 」
「「「「はっ!」」」」
麗玲の言葉に、四人は一度散っていく 。
麗玲自身も準備をしようとその場を立ち去ろうとして、ふとある気配を感じて周囲を見回した。
「……気の所為かしら?誰かに見られているような気がしたのだけど」
呟いて更に気配を探してみたが、誰の気配も感じず、今度こそ準備の為に踵を返す。
彼女がいた場所よりずっと奥の牢。そこで
「チャンスだな」
と呟き、低く笑った者がいたのに気付かなかった。
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