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第24章

1
「…………」
「どうだった? 」
皆が集まっている部屋の中に入ってくる風夜を見て、花音が声を掛ける。
彼は溜息をつくと、口を開いた。
「ああ。一応、全員検査したけどな。今は異常は見つからなかった」
「……ということは、あくまでもあの笛の影響下でああなっていたってことか」
「そうだな」
龍牙が言ったことに、風夜が頷く。
「ところで、あの人はどうなったの? 」
玲莉のことが気になり問い掛ける。
名前は出さなかったが、風夜には伝わったようだった。
「あいつなら取り調べ中だ。……これからどうなるかは態度次第だな」
「出来るなら、今の神界の状況を知りたいところだな」
神蘭の呟きに舞も頷く。
確かにずっと現れる刺客を退けているだけで、自分達の中で今の神界の状況について知っているものはいない。
もし、玲莉が話してくれるなら、彼女が知っていることだけでも知りたいと思う。
(いずれは神界を取り戻さないといけないんだもの。少しでも情報を得ておかないと作戦も立てられないよね)
そんなことを思っていると、莉鳳が入ってくるのがわかった。
「何か聞けたの? 」
「ああ」
舞が声を掛けると、莉鳳は近付いてきた。
「……麗玲達がこれからどう動いてくるかはわからないらしい。最近は魔矢 、白羅、凰呀に任せていたみたいだしな。ただ、十人衆の上位四人に動きはないということと、もう一つ」
そこまで言うと、莉鳳は舞や花音をじっと見てから口を開いた。
「天奏が投獄されたらしい」
「「えっ!? 」」
「……魔神族を裏切った。麗玲がそう判断してそうなったらしい」
それを聞いて、思わず舞は花音と顔を見合わせた。
2
もう少し詳しいことを聞きたくて、舞と花音は玲莉のいる部屋へと来ていた 。
莉鳳か風夜、どちらの判断かはわからないが、牢ではなく見張り付きの部屋にいた彼女は訪れた舞と花音を警戒したように見てきた。
「何よ? 」
「えっと……ちょっと聞きたいことがあって」
少しでも距離をとろうとしているのか 、壁に背をつけている玲莉に苦笑しながら、舞は口を開いた。
「天奏のことなんだけど、投獄されたって……」
それに玲莉は少しきょとんとした後、頷いた。
「ええ、そうよ。……天奏様には少し前から疑いがかけられていた。まず最初に疑っていたのは、凰呀……様で、それから調べていたみたいね。……それで証拠が集まったから、麗玲様に見せたのよ。……私はそれがどんなものか見てないからわからないけど、あなた達には予想つくんじゃないの」
その言葉の通りだった。
天奏が疑われるようになった原因らしきものは幾つか思いつく。
思いつくのだが、数百年前自分達を裏切った天奏が今になって、リスクを犯して舞達を助けている理由は思いつかなかった。
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