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第21章

1
「……どうにかなったようね」
水晶で舞達の様子を見ていた天奏は魔宝具の消滅を見て呟いた。
「途中、何度かひやひやしたけど…… 、天華としての力も目覚めたようだし 、宝具も扱えるようになった。……まずまずの成果かしら」
水晶の向こう側では花音と神蘭以外の四人が倒れていたが、力を使いきった一時的なものだと知っている為、心配はないと映像を消す。
それと同時に自分が放出し、他の水晶を使ってある場所へ飛ばしていた力を消す。
ふうと息をついたところで、部屋の扉が叩かれた。
「はい」
返事を返すと扉が開かれる。
そこから入ってきたのは、厳しい表情をした凰呀だった。彼だけでなく、魔神族の兵も数人入ってくる。
それを見て天奏は目を細める。
その間にも彼等は天奏の周りを囲んでいた。
「これは一体どういうことかしら? 」
「……あなたにはある疑いがかけられている。……麗玲様がお呼びですよ、天奏様」
「…………」
凰呀が言うのに、天奏はただ黙って従うことにした。
2
凰呀や兵士達に囲まれたまま、麗玲の元へ連れられていくと、彼女は不機嫌な顔を向けてきた。
「……凰呀から聞いたわ。あなた、何だか怪しい行動をしているそうね」
「……何のことかしら? 」
「惚ける気? 」
そう言いながら、麗玲は天奏へ向かって何かを投げてくる。
「これは? 」
呟いて拾い上げると、それは水晶で何かを映し始める。
その映像に、天奏は目を見開いた。
映像は、 今まで何度か天奏が舞達と接触していた時のもの。
花音と光輝を神界で捕らえていた時の光輝とのやり取り。その後、花音と風夜を逃した時。
魔宝具の情報をもたらした時。
管理していた魔宝具と聖宝具を手に何処へ出掛けるところ。
映し出された映像はそこまでで、再び麗玲の声が聞こえてきた。
「あなたが持っていたものと、舞以外の四人が持っていたものが同じ。……これはどういうことかしらね? 」
「…………」
返す言葉に迷っていると、麗玲はふふっと笑った。
「……言い返せないのかしら?……これらは全部本当なのね」
「…………」
「あくまでも黙秘するということかしら?……いいわ。証拠はこの通り。凰呀が集めてくれたもの」
(……確かに怪しまれてはいたものね 。……調べられていることに気付かなかった私のミスね)
麗玲の言葉に、ちらりと凰呀の方に視線をやり、そう思う。
「とにかく、あなたには色々と聞かないといけないことがあるようね。……力を封じて、捕えておきなさい」
それを聞いて、天奏は諦めと共に溜息をついて、目を閉じる。
力を封じる装置を付けられ、牢へと連れていこうとする兵士達に逆らうつもりはなかった。
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