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第20章

1
(何だ?さっきと何かが違う)
神蘭がそう思った時、何処からか声が聞こえてきた。
『さっきはよくもやってくれたな』
「……この声は何処から? 」
思わず呟いた時、白羅の持つ黒い大剣の鍔の部分で何かが動いた気がした。
「えっ? 」
『痛かったぞ。お陰で目は覚めたがなぁ』
そう言い、ニヤリとしたのは鍔の水晶に映る顔だった。
「け、剣の鍔に顔が……!? 」
後ずさった神蘭とは逆に封魔は一歩前に踏み出す。
「目が覚めたと言ったな。ずっとその剣に宿っていたって訳か」
『宿っているというか、この剣は俺が此奴に合わせて変化した姿だ。此奴の力になる為にな。……それで、白羅。どうだ?今の状態は』
「……ああ、最高だ。……力が漲っている」
呼び掛けた声に白羅の顔には笑みが浮かんでいた。
『よし……、なら、さっさとかたをつけてしまえ。……自分で決着はつけたいだろう』
「……ああ」
『少し様子を見てやる。無理そうだったり、不甲斐なさすぎると思った時にはわかってるな』
「…………」
その言葉には無言だった白羅が黒い大剣に黒いオーラのようなものを纏わせると、封魔へと斬りかかる。
「ちっ! 」
受け止めようと剣を構え掛けたものの 、オーラを警戒したのか、封魔は手を翳す。
封魔の力が盾のようになった所で、大剣が激しくぶつかった。
2
「っ……! 」
僅かに押されたのだろう、封魔の足が後ろに下がったものの、すぐに踏み止まる。
それを見ていたのだろう、鍔の顔が声を上げた。
『いいぞ!そのまま、もっと力を絞り出せ!このまま押し込め!! 』
「……くっ! 」
強まった力にか封魔が呻く。
「……っ……、このっ……」
小さく呟いたかと思うと、彼の剣の周りを光が包んだ。
次の瞬間、盾を維持していた方の力を抜いたのがわかる。
それで少しバランスを崩したのだろう白羅へと、剣を素早く斬りあげた。
「ぐっ」
無防備になった所への一撃で、白羅は傷を庇おうと前屈みになる。
そこへ容赦無く斬り付け、回し蹴り、駄目押しとばかりに放った剣圧は全て命中したようだった。
「……今度こそ、やったのか! 」
割り込めず、ただ見ているしかなかった神蘭はそう言いながら、封魔の横へ並ぶ。
「……いや、まだだ」
封魔が言ったのと同時に、周りの空気が一気に禍々しいものへと変わった。
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