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第18章

1
(うーん。なんか警戒してるのはいいんだけど、何の動きもないんだよね)
今も神蘭と話している月夜の様子を伺いながら、そんな事を思う。
(此処まで何もないと拍子抜けというか、警戒して気を張っているのが疲れてくるよ)
「おはよう、舞ちゃん」
「何、朝からボンヤリとしてるの? 」
二人を見ながらぼーっとしているように見えたのだろう舞に、綾と聖奈が声を掛けてくる。
「えっ?……ぼんやりなんてしてた? 」
「してたよ。それもあの二人を見てね 」
そう言って、聖奈が指したのは神蘭と月夜だった。
「何か考えごとしてたみたいだけど、あの二人がどうかしたの? 」
「いや、ええと……」
誤魔化すように笑って、話を逸らそうとして気付く。
「そういえば、花音先輩は? 」
「花音?……珍しくまだいないね」
綾がキョロキョロと部屋を見回す。
何とか話を誤魔化せるかと息をつこうとした時、大きな音を立てて開いた扉に舞は肩を大きくびくつかせた。
2
扉を開けたのは封魔で、入ってきた彼は神蘭と話している月夜の所へ近付いていく。
「……昨夜、一体何をしていた? 」
そう問い掛ける声が聞こえてくる。
「……封魔?急に何を? 」
神蘭が不思議そうに聞いたが、封魔はただ月夜だけを見ている。
その鋭い視線に月夜が身体を震わせたのが舞からでもわかり、それに気付いた神蘭が咎めるような視線を向ける。
「だから、急に何だ? 」
「お前は黙ってろ」
そう返した封魔に、神蘭がムッとしたのがわかった。
「答えられないのか? 」
「……っ……、俺は」
それでも神蘭には構わないというような封魔に、神蘭が月夜を庇うように割って入る。
「だから、何故そんな事を聞くんだ!何かあったのか? 」
「……答えろ」
「……っ!月夜なら、昨夜は私と話をしていた! 」
「……何時までだ? 」
そこで漸く神蘭の方を向く。
「まさか朝までずっと一緒だった訳じゃないだろ?何をしていたか、お前が知らない時間もあった筈だ」
「っ……! 」
封魔に言われて、神蘭の視線もきつくなる。
二人の間には不穏な空気が流れていた 。
「ちょっと、二人共! 」
「落ち着けよ! 」
睨み合う二人に鈴麗と白夜が声を上げる。
「だって……! 」
それに神蘭も声を上げたが、封魔は無言で踵を返すと、そのまま誰も見ないで出て行ってしまう。
「あいつ、どうしたんだ? 」
「……さあ? 」
入ってきた時より苛ついた様子の封魔に、龍牙と白鬼が呟く。
舞はそれをただ見ているしかなかったが、再び扉を開けて誰かが入ってくるのに気付いて視線を向ける。
入ってきていたのは風牙だった。
「……遅かったか」
入ってくるなり辺りを見回してそう呟いた風牙が肩を落とす。
「……だから、早く追いかけろって言っただろ? 」
「……追いついたとして、お前が止められなかった奴を止められると? 」
「無理だろうな」
「おい……」
後から入ってきた風夜に、風牙が据わった視線を向ける。
その様子から二人は封魔が苛ついていた理由も、依然として姿を見せない花音のことも知っているようだった。
3
「えっ!?先輩が……!? 」
「ああ……」
風夜に別の部屋へ連れ出され、聞いた話に舞は思わず声を上げる。
「それで、怪我の具合は? 」
「幸い大した怪我じゃない。自分ですぐ治したみたいだしな」
「……でも、本当に月夜だったの? 」
「……ああ」
「すぐ逃げられたが、俺と風夜二人で見たからな」
「……花音が軽傷だったのは、お前等二人が駆け付けたからでもあった訳か 」
風夜達から話を聞いて、飛影は息を吐いた。
「……だが、何でそこからああなったんだ? 」
「そうだよ。どうして封魔が? 」
「……勘付かれてな。花音が治療中に来て問い詰められたんだ」
「……ばれたって……」
「……花音が傷付けられたなら、お前等の方が切れるもんだと思っていたが」
飛影が言えば、風夜と風牙は肩を竦めた。
「……まあ、逆に冷静になったのは確かだな」
「恐らく、光鈴と光麗を斬ったことを今も気にしてるんだろうな。……だから、その転生者のことを気にかけている」
そこで風夜が少し考えるように目を閉じて言葉を続けた。
「……これは俺の考えだがな。……今回の狙いは、神蘭と封魔だろう。二人に対して、確実に揺さぶりをかけてきている」
それを聞いて舞も頷く。
「……うん。二人の〈傷〉を突いてきてるね」
「それにわからないこともある。……問題はその部分が今回の件にどう影響してくるか」
「……もし、あまり拗らせない内にどうにかするなら、術者の魔矢を叩けばいい」
「でも、そうしたら月夜はどうなるの ? 」
「……術者がいなくなれば、当然術は解ける」
「…………」
それが何を意味するのかは言われなくてもわかった。
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