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第18章

1
「……何だか、余計によくわからなくなっちゃったね」
「……そうですね」
花音と話しながら、舞は溜息をつく。
「……記憶が戻れば、その辺りの話も聞けるかもしれないけど」
「……どうなんだろ?封魔さんの言ってることが本当なら、悠長に話をすること出来るのかな? 」
舞が言えば、花音は首を傾げる。
その時、部屋を出ていった白鬼の声が聞こえ、声のした方を見れば、彼だけではなく封魔の姿もあった。
「もう話は終わったのか? 」
「はい」
「ところでこんな所で何をしているの ? 」
白鬼に花音が頷き、舞はその間窓から外を見ている封魔が気になり、その横から同じように外を覗いた。
(あれは……、神蘭さんと鈴麗さん、 ……それに、……月夜)
窓からは中庭が見下ろせ、そこで三人が話しているのが見えた。
「……何だか楽しそうだね」
三人の様子は穏やかそうに見え、思わず呟く。
「……あくまでも外見上はな」
「月夜が記憶を失っているからこその平穏って奴か」
「……信じるのか? 」
肩を竦めた白鬼に封魔が視線を向ける 。
「奴が記憶喪失だってことだ。……本当に何も覚えていないと思っているのか? 」
視線の先は白鬼だが、この質問は舞と花音にも向けられているのだろう。
「……そう聞くってことは、お前は疑っているんだな」
どう答えたらいいか迷っていると、質問の答えになっていないことを白鬼が返す。
それを気にした様子もなく、封魔は再び視線を庭へと戻した。
「……ああ。俺は彼奴が本当に記憶喪失だとは思っていない。……嘗て、軍を数年間、騙し切っていた奴だ。何が目的かはわからないが、信じるのは危険すぎる」
「……そのこと、神蘭には言ったのか ? 」
「…………」
「言ってないんだな……。俺が見た感じだと、神蘭の奴、警戒もしてないぞ 」
溜息交じりに白鬼は言う。
「……話さなくていいのか? 」
「……今はいい」
そう言うと、封魔は立ち去っていってしまった。
「……彼奴、また一人で抱え込んでいなければいいけどな」
白鬼が呟くのを聞きながら、舞はもう一度中庭にいる三人を見下ろす。
「……そろそろ、私達も行こう。風夜達が待ってるよ」
そこで花音に言われ、中庭から視線を外す。
確かにそろそろ戻らないと、風夜か飛影の何方かが痺れを切らせて探しにきてしまいそうな位には時間が経っていた。
2
「漸く戻ってきたか……」
「で、何か聞けたのか? 」
飛影と風夜に声を掛けられ、舞は苦笑いを浮かべる。
「あまり、詳しいことは聞けてないんだけど……」
そう言ってから、それでも聞けた事を話し始める。
対してなかった為、すぐに話し終わってしまったが、聞き終わった飛影は難しい表情をしていた。
「……死んだ筈の奴が記憶のない状態で現れた……か」
「飛影? 」
「それが本当なら、魔矢の仕業だろうな」
「そんな……、死者を蘇らせることが出来るの!? 」
驚いた声を上げた花音に、飛影は首を横に振った。
「正確には違う。魔矢が操れるのは、亡骸だけだ。……つまり、あの月夜って奴は、殺されても身体は残っていたんだな」
「それでも、封魔に斬られたのは数百年前の話でしょ?今までその身体を保管していたってこと? 」
頷く飛影に、風夜は顔を引き攣らせた

「……趣味悪いな」
「……今に始まったことじゃないさ。ただ、わからないのは奴の目的だ。… …記憶喪失で入り込ませて、何を狙っているんだ? 」
それを聞いて思い出すのは、月夜のことを見て抱き着き、その後も楽しそうに話していた神蘭と、逆に警戒を露わにしていた封魔の二人だった。
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