第1部 再会と出会いの章
1
「…………? 」
コウが魔物の討伐に向かってから一週間、ユウナは下の階が騒がしいのに気付いて目を覚ました。
(何かあったのかな? )
そんなことを思いながら、階段を下りていく。
ギルドになっている一階では其処にいる人達が慌ただしく動いていた。
話を聞けそうな人がいないかと辺りを見回していると、ユウナに気付いたのか、リリアが駆け寄ってくる。
「ユウナ! 」
「リリアさん、何かあったんですか?随分、慌ただしいですけど」
「討伐隊が帰ってきたのよ」
「本当? 」
それを聞いて、ユウナは笑みを浮かべる。
だが、それとは逆にリリアの表情は暗かった。
「リリアさん?どうしたんですか? 」
「…………依頼は失敗したの。討伐隊は戻ってきたけれど、半数は死傷者が出たって」
「…………えっ? 」
その言葉にコウを見送った時のことを思い出す。
「…………お兄ちゃんは? 」
「……わからないわ。情報も錯綜していて、誰が無事で誰がそうじゃないのか。それに……、今回の失敗で逆に魔物を刺激してしまった。魔物がこの街へ向かってきてるという話もあるから 、軍の派遣も要請しているところなの 」
そこまで言った時、リリアは他の人に呼ばれて行ってしまった。
2
「お兄ちゃん!! 」
討伐隊で怪我を負っている者達がいると聞いた街の病院へとユウナは駆け込む。
コウを探していると、治療室の前で項垂れているのを見つけた。
近付いていくとユウナに気付いたのか 、俯かせていた顔を上げる。
ユウナはその表情と彼の身体の状況を見て、息を飲んだ。
彼の表情からは正気を感じられない。
見たところ、大きな怪我はなさそうだったが、その服は誰かの血に濡れていた。
「お兄……ちゃん? 」
「…………ユウナか。……少し一人にしてくれないか? 」
「でも……」
「いいから!向こう行ってろ! 」
「!! 」
急に大きな声を出され、ユウナは身体をびくつかせる。
それがわかったのか、コウが罰の悪そうな表情になった。
「わ、悪い」
「ううん。……私、ギルドに帰るね」
そう言うと、ユウナは踵を返した。
ギルドに戻るとは言ったものの、出てくる時の慌ただしさを思い出せば、自分がそこにいるのは邪魔になる気がして、街の中をぶらつく。
(図書館にでも行こうかな)
ただ目的もなく歩き回っているのも落ち着かない。
そう思って、図書館へ向かおうとした時だった。
ズシンッ
何か重いものが動くような音と振動が伝わってくる。
「えっ? 」
一体何が起きたのかと思うと同時に、ユウナの近くにあった建物が崩れ落ち 、彼女に大きな影がかかった。
「…………? 」
コウが魔物の討伐に向かってから一週間、ユウナは下の階が騒がしいのに気付いて目を覚ました。
(何かあったのかな? )
そんなことを思いながら、階段を下りていく。
ギルドになっている一階では其処にいる人達が慌ただしく動いていた。
話を聞けそうな人がいないかと辺りを見回していると、ユウナに気付いたのか、リリアが駆け寄ってくる。
「ユウナ! 」
「リリアさん、何かあったんですか?随分、慌ただしいですけど」
「討伐隊が帰ってきたのよ」
「本当? 」
それを聞いて、ユウナは笑みを浮かべる。
だが、それとは逆にリリアの表情は暗かった。
「リリアさん?どうしたんですか? 」
「…………依頼は失敗したの。討伐隊は戻ってきたけれど、半数は死傷者が出たって」
「…………えっ? 」
その言葉にコウを見送った時のことを思い出す。
「…………お兄ちゃんは? 」
「……わからないわ。情報も錯綜していて、誰が無事で誰がそうじゃないのか。それに……、今回の失敗で逆に魔物を刺激してしまった。魔物がこの街へ向かってきてるという話もあるから 、軍の派遣も要請しているところなの 」
そこまで言った時、リリアは他の人に呼ばれて行ってしまった。
2
「お兄ちゃん!! 」
討伐隊で怪我を負っている者達がいると聞いた街の病院へとユウナは駆け込む。
コウを探していると、治療室の前で項垂れているのを見つけた。
近付いていくとユウナに気付いたのか 、俯かせていた顔を上げる。
ユウナはその表情と彼の身体の状況を見て、息を飲んだ。
彼の表情からは正気を感じられない。
見たところ、大きな怪我はなさそうだったが、その服は誰かの血に濡れていた。
「お兄……ちゃん? 」
「…………ユウナか。……少し一人にしてくれないか? 」
「でも……」
「いいから!向こう行ってろ! 」
「!! 」
急に大きな声を出され、ユウナは身体をびくつかせる。
それがわかったのか、コウが罰の悪そうな表情になった。
「わ、悪い」
「ううん。……私、ギルドに帰るね」
そう言うと、ユウナは踵を返した。
ギルドに戻るとは言ったものの、出てくる時の慌ただしさを思い出せば、自分がそこにいるのは邪魔になる気がして、街の中をぶらつく。
(図書館にでも行こうかな)
ただ目的もなく歩き回っているのも落ち着かない。
そう思って、図書館へ向かおうとした時だった。
ズシンッ
何か重いものが動くような音と振動が伝わってくる。
「えっ? 」
一体何が起きたのかと思うと同時に、ユウナの近くにあった建物が崩れ落ち 、彼女に大きな影がかかった。