第1部 再会と出会いの章
1
コウと街へ買い物に来てから数日後、ユウナは再び街へと来ていた。
前回とは違い、まるで旅でもしてくるような荷物を持ったコウと共にある建物の中に入る。
そこには武器を持った男女ばかりいて 、ユウナは思わず息を呑んだ。
「リリア! 」
そんなユウナを一瞥したコウが誰かの名を呼ぶ。
それに反応したのはこの間、コウに声を掛けてきた少女だった。
「コウがこの間言ってたのってこの子 ? 」
「ああ。まだこの世界に来てそんなに経ってないからな。一人で置いて行く訳にはいかないんだ」
それを聞いて、ユウナはハッとコウを見た。
「えっ?お兄ちゃん、何処か行くの? 」
「仕事で数日留守にするからな。その間のことはリリアに頼んである」
コウが言うと、リリアと呼ばれた少女がユウナに笑いかけてきた。
「リリア・シュティールよ。よろしく 」
「ユウナ・クヴェイルです。よろしくお願いします、リリアさん」
「リリアでいいわ」
「俺がいない間、この世界のこととかも教えてやってくれ」
「ええ、わかったわ」
自己紹介が終わったところでコウが言い、リリアは頷く。
「じゃあ、行ってくるな」
「ええ」
「気をつけてね」
何となくだがコウが行こうとしている場所は危険な気がして、そう声を掛ける。
それに対して、コウは片手をひらひらと振って行ってしまった。
2
「此処があなたの部屋。思い付く限りで必要な物は用意してあるから、何か足りない物があったら言って」
そう言い、去って行こうとするリリアをユウナは咄嗟に止める。
「待って!あのっ……」
「何? 」
「お兄ちゃんは仕事だと言ってたけど 、何処へ行ったんですか?そもそもどんな仕事を? 」
そう聞くと、リリアは一度溜息をついた。
「あなたにこの世界のことを教えてほしいと言っていたけど、自分の事もちゃんと話していないのね。……いいわ 。この世界のことより気になるでしょうし、今日はその話をしましょうか」
そう言われて、ユウナは頷いた。
「私がコウと出会ったのは五年前、ヴァイツさんに連れられて来た時ね。ヴァイツさんは傭兵で、いつも此処のギルドから仕事を受けていたの。ギルドには色々な情報も集まるから、コウの家族の手掛かりも探していたんでしょうね。……でも、何の情報も得られなかった」
「…………」
「二年前にヴァイツさんがいなくなってからはコウ自身が傭兵として働くようになったわ。家族だけでなく、ヴァイツさんのことも探したいと言ってね 」
「そのヴァイツさんは何処へ行ってしまったんですか? 」
その質問にリリアは首を横に振った。
「わからないの。いなくなる直前にもギルドに仕事を受けに来て、出掛けたっきり、行方がわからなくなったのよ 」
「そうですか……」
「それで、今回コウが行った仕事なんだけどね」
ヴァイツのことを話している間、暗くなりかけていた雰囲気を消すようにリリアは少し声を明るくさせた。
「この街の南西に山があるんだけど、其処に凶暴な魔物が住み着いてしまったみたいでね。その討伐に行ってもらったの」
「それって、危険なんじゃないんですか!? 」
「危険よ」
ユウナの問いにリリアはあっさりとそう返してくる。
「危険だけど、大丈夫。だからこそ、隊を組んで行くのだし、万全の準備をして行くんだから、ね? 」
そう言われて、最後に笑いかけてくる 。
リリアには、ユウナの中にある不安が伝わっているようだった。
コウと街へ買い物に来てから数日後、ユウナは再び街へと来ていた。
前回とは違い、まるで旅でもしてくるような荷物を持ったコウと共にある建物の中に入る。
そこには武器を持った男女ばかりいて 、ユウナは思わず息を呑んだ。
「リリア! 」
そんなユウナを一瞥したコウが誰かの名を呼ぶ。
それに反応したのはこの間、コウに声を掛けてきた少女だった。
「コウがこの間言ってたのってこの子 ? 」
「ああ。まだこの世界に来てそんなに経ってないからな。一人で置いて行く訳にはいかないんだ」
それを聞いて、ユウナはハッとコウを見た。
「えっ?お兄ちゃん、何処か行くの? 」
「仕事で数日留守にするからな。その間のことはリリアに頼んである」
コウが言うと、リリアと呼ばれた少女がユウナに笑いかけてきた。
「リリア・シュティールよ。よろしく 」
「ユウナ・クヴェイルです。よろしくお願いします、リリアさん」
「リリアでいいわ」
「俺がいない間、この世界のこととかも教えてやってくれ」
「ええ、わかったわ」
自己紹介が終わったところでコウが言い、リリアは頷く。
「じゃあ、行ってくるな」
「ええ」
「気をつけてね」
何となくだがコウが行こうとしている場所は危険な気がして、そう声を掛ける。
それに対して、コウは片手をひらひらと振って行ってしまった。
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「此処があなたの部屋。思い付く限りで必要な物は用意してあるから、何か足りない物があったら言って」
そう言い、去って行こうとするリリアをユウナは咄嗟に止める。
「待って!あのっ……」
「何? 」
「お兄ちゃんは仕事だと言ってたけど 、何処へ行ったんですか?そもそもどんな仕事を? 」
そう聞くと、リリアは一度溜息をついた。
「あなたにこの世界のことを教えてほしいと言っていたけど、自分の事もちゃんと話していないのね。……いいわ 。この世界のことより気になるでしょうし、今日はその話をしましょうか」
そう言われて、ユウナは頷いた。
「私がコウと出会ったのは五年前、ヴァイツさんに連れられて来た時ね。ヴァイツさんは傭兵で、いつも此処のギルドから仕事を受けていたの。ギルドには色々な情報も集まるから、コウの家族の手掛かりも探していたんでしょうね。……でも、何の情報も得られなかった」
「…………」
「二年前にヴァイツさんがいなくなってからはコウ自身が傭兵として働くようになったわ。家族だけでなく、ヴァイツさんのことも探したいと言ってね 」
「そのヴァイツさんは何処へ行ってしまったんですか? 」
その質問にリリアは首を横に振った。
「わからないの。いなくなる直前にもギルドに仕事を受けに来て、出掛けたっきり、行方がわからなくなったのよ 」
「そうですか……」
「それで、今回コウが行った仕事なんだけどね」
ヴァイツのことを話している間、暗くなりかけていた雰囲気を消すようにリリアは少し声を明るくさせた。
「この街の南西に山があるんだけど、其処に凶暴な魔物が住み着いてしまったみたいでね。その討伐に行ってもらったの」
「それって、危険なんじゃないんですか!? 」
「危険よ」
ユウナの問いにリリアはあっさりとそう返してくる。
「危険だけど、大丈夫。だからこそ、隊を組んで行くのだし、万全の準備をして行くんだから、ね? 」
そう言われて、最後に笑いかけてくる 。
リリアには、ユウナの中にある不安が伝わっているようだった。