第1部 再会と出会いの章
1
「…………」
コウに仮面を弾かれ、素顔を見せたジンは、ユウナとコウへ視線を向けてはくるものの、口は開かない。
だが、それはユウナも同じだった。
正直、頭の中は混乱している。
(仮面の男がジンお兄ちゃんだったってことは、今まで私達を狙ってきてたのって……)
そう思い、ジンへ視線を向ける。
「何で……、どうしてジンお兄ちゃんが? 」
そう声を掛けたが、彼は何も言わないまま一度下げていた大剣を構え直した 。
「待てよ!何でユウナを狙うんだ!? 」
コウも双剣を構え直し、割って入ってくる。
「退け、コウ!……俺はお前を傷付けるつもりはない」
漸く口を開いたかと思えば、ジンはユウナだけを真っ直ぐに見てくる。
その表情は兄が妹に向けるものとは思えないくらい険しく、何故か敵意のようなものも感じた。
「……もう一度言う。退け」
「……断る」
低い声で言うジンに、コウの返す声も低くなるのがわかった。
「……そうか。なら、……退けるしかないな! 」
「……やれるなら、やってみろよっ! 」
二人が同時に走り出し、中央辺りで剣がぶつかり合う。
「さっきから聞いていれば、意味のわからないことを言ったり、ユウナを傷付けようとしたり、一体どうしたっていうんだ!? 」
「知らないならそのままでいいさ。だが、そいつは斬る! 」
「させるかっ! 」
お互いに力を入れたのか、双剣と大剣が散らしていた火花が大きくなる。
それを見ながらも、ユウナは今起きていることが信じられないままだった。
自分の兄が一人はユウナのことを狙い 、もう一人はユウナを庇い、戦っている。
「何で……、どうして、こんなことに ……」
そう呟いた時、何人かが此方へ走ってくる音が聞こえてきた。
「ユウナ! 」
振り返ると、リリア、フィア、レイドが駆け寄ってくる。
「ちっ! 」
「っ!! 」
それに気付いたのかジンはコウから飛び退くと、素早く身を翻した。
「待てっ! 」
コウが呼び止めるように声を上げたが 、それにも構わず彼は去っていってしまった。
2
あれから 祭りに戻る気にはなれず、ユウナ達はギルドに来ていた。
「ねぇ、どういうこと?あの男、仮面を付けてた奴等の一人でしょ。顔見知りだったの? 」
「……ああ」
リリアの問いにコウが頷く。
「あいつは俺達の兄だ」
「兄って……、じゃあ、どうしてあなた達を襲ってくるのよ」
「知るかよ」
「ねぇ、そもそもあの仮面を付けてる集団って、どんな連中なの?」
「襲って来たのは今回と俺達が助けた時だけじゃないんだろ? 」
投げやりに答えるコウに、フィアとレイドがそう問い掛けたが、コウは首を横に振った。
「……わからない。俺を襲撃してきた時も突然のことだったしな。……連中のことは何も……」
「調べようとは思わなかったのか? 」
「……思ったことはある。だが」
「何もわからなかったのよね」
コウの言葉の後半をリリアが引き継ぐ 。
「ああ。だから、まさか兄貴がいるとは……」
言いながら、コウが視線を向けてくるのはわかったが、今は何も返す気にもなれなかった。
「……なら、情報屋にでも頼んでみるか」
少し考えた後、レイドが口を開く。
「情報屋? 」
「ああ。傭兵として旅をしている最中に知り合った腕の良い情報屋を知ってる。そいつに頼めば、連中のこともわかるはずだ」
「そうそう。びっくりするくらい仕事早いし、正確なんだよ」
フィアがにっこりと笑って言う。
「もし頼むなら、繋ぐけどどうする? 」
レイドが言ったのを聞いて、コウは少し考えた後、頼むことを決めたようだった。
「…………」
コウに仮面を弾かれ、素顔を見せたジンは、ユウナとコウへ視線を向けてはくるものの、口は開かない。
だが、それはユウナも同じだった。
正直、頭の中は混乱している。
(仮面の男がジンお兄ちゃんだったってことは、今まで私達を狙ってきてたのって……)
そう思い、ジンへ視線を向ける。
「何で……、どうしてジンお兄ちゃんが? 」
そう声を掛けたが、彼は何も言わないまま一度下げていた大剣を構え直した 。
「待てよ!何でユウナを狙うんだ!? 」
コウも双剣を構え直し、割って入ってくる。
「退け、コウ!……俺はお前を傷付けるつもりはない」
漸く口を開いたかと思えば、ジンはユウナだけを真っ直ぐに見てくる。
その表情は兄が妹に向けるものとは思えないくらい険しく、何故か敵意のようなものも感じた。
「……もう一度言う。退け」
「……断る」
低い声で言うジンに、コウの返す声も低くなるのがわかった。
「……そうか。なら、……退けるしかないな! 」
「……やれるなら、やってみろよっ! 」
二人が同時に走り出し、中央辺りで剣がぶつかり合う。
「さっきから聞いていれば、意味のわからないことを言ったり、ユウナを傷付けようとしたり、一体どうしたっていうんだ!? 」
「知らないならそのままでいいさ。だが、そいつは斬る! 」
「させるかっ! 」
お互いに力を入れたのか、双剣と大剣が散らしていた火花が大きくなる。
それを見ながらも、ユウナは今起きていることが信じられないままだった。
自分の兄が一人はユウナのことを狙い 、もう一人はユウナを庇い、戦っている。
「何で……、どうして、こんなことに ……」
そう呟いた時、何人かが此方へ走ってくる音が聞こえてきた。
「ユウナ! 」
振り返ると、リリア、フィア、レイドが駆け寄ってくる。
「ちっ! 」
「っ!! 」
それに気付いたのかジンはコウから飛び退くと、素早く身を翻した。
「待てっ! 」
コウが呼び止めるように声を上げたが 、それにも構わず彼は去っていってしまった。
2
あれから 祭りに戻る気にはなれず、ユウナ達はギルドに来ていた。
「ねぇ、どういうこと?あの男、仮面を付けてた奴等の一人でしょ。顔見知りだったの? 」
「……ああ」
リリアの問いにコウが頷く。
「あいつは俺達の兄だ」
「兄って……、じゃあ、どうしてあなた達を襲ってくるのよ」
「知るかよ」
「ねぇ、そもそもあの仮面を付けてる集団って、どんな連中なの?」
「襲って来たのは今回と俺達が助けた時だけじゃないんだろ? 」
投げやりに答えるコウに、フィアとレイドがそう問い掛けたが、コウは首を横に振った。
「……わからない。俺を襲撃してきた時も突然のことだったしな。……連中のことは何も……」
「調べようとは思わなかったのか? 」
「……思ったことはある。だが」
「何もわからなかったのよね」
コウの言葉の後半をリリアが引き継ぐ 。
「ああ。だから、まさか兄貴がいるとは……」
言いながら、コウが視線を向けてくるのはわかったが、今は何も返す気にもなれなかった。
「……なら、情報屋にでも頼んでみるか」
少し考えた後、レイドが口を開く。
「情報屋? 」
「ああ。傭兵として旅をしている最中に知り合った腕の良い情報屋を知ってる。そいつに頼めば、連中のこともわかるはずだ」
「そうそう。びっくりするくらい仕事早いし、正確なんだよ」
フィアがにっこりと笑って言う。
「もし頼むなら、繋ぐけどどうする? 」
レイドが言ったのを聞いて、コウは少し考えた後、頼むことを決めたようだった。