第1部 再会と出会いの章
1
「引越し? 」
一週間振りに帰ってきた森のコウの家 。
朝食の席でコウが話したことにユウナはそう返した。
「……ああ。この一週間、考えていたんだけどな。リリアからも物件を幾つか教えてもらった。此処にいて、この間のようなことが俺のいない間にあっても嫌だからな」
コウが言っているのは、街の中で襲われた時のことだろうと思った。
「同じことがあったとしても、まだ街中の方がギルドの者もいるし、此処よりは襲われることが少ない筈だ」
「でも……」
コウが此処に住んでいたのは、前に一緒にいたヴァイツのことを待っているからではないかと口に出そうとして、首を横に振られた。
「…………」
何も言うなというようなコウの様子に少し戸惑っていると、彼はふっと笑った。
「とにかく、荷物を纏めたら此処を出るぞ」
「……わかった」
もう此処を出るということは決めているらしく、ユウナは頷くしかなかった 。
2
まだ荷物もそんなになかった為、すぐに準備が出来たユウナと殆どのものを置いていくことにしたコウは、半日後にはもう街のギルドへと着いていた。
そこで待っていたリリアが机の上に幾つかの写真が載った紙を広げる。
何かと見てみると、それらには彼女が見つけてくれたのだろう物件が載っていた。
さっと目を通すと、アパートやマンション、一軒家等様々ものを探してくれたようだった。
「とりあえず、このギルドに近い場所を探してみたんだけど、気に入りそうなのはある? 」
「俺は何処でもいいから、ユウナが選んでいいぞ」
「気になるところがなければまた探すから、無理に決めなくていいわよ。その代わり、見つかるまではギルドにいてもらうことになるんだけど」
コウとリリアが言うのを聞きながら、物件を見ていたユウナは一枚の紙で目を止める。
それに載っていたのは一軒家で、小さな庭のついた家だった。
「そこが気になる? 」
じっと見ていると、リリアが声を掛けてくる。
「えっ?は、はい。……何かいいなって」
「なら、試してみる? 」
「?」
その言葉にユウナは首を傾げた。
3
「なんか面白いね」
「ん? 」
荷物を置いて、ユウナは口を開く。
今、ユウナとコウがいるのは、ユウナが気になっていた一軒家だった。
そんなに大きな家ではないが、ユウナとコウが自室を其々持つことは出来る 。
庭も小さいが、花壇を作ることは出来そうだ。
ユウナが面白いと言ったのは、気になる物件に一週間試しに住んでみることが出来、気に入ればそのまま購入出来るというシステムだった。
実際に中に入って色々なところを見て回ったが、自室になる部屋も充分な広さがあり、全体的に見てもコウと二人で暮らすには良いと思った。
「ね、此処にしよう」
「試さなくていいのか? 」
一週間の期間を設けなくてもいいのかと聞いてくるコウにユウナは頷く。
「うん。此処、気に入っちゃった」
「そうか」
そう答えると、コウはそのまま手続きをしてくると出掛けていく。
それを見送り、ユウナは思わずふふっと笑った。
コウと再会してから森の中で一緒に暮らしていたが、元々はヴァイツの家だった為、彼の残した物を使っていたのだ。
この家も家具などは備え付けの物があったが、それでも今回は二人で用意する物も多いだろう。
それを思うと、これからが楽しみだった。
「引越し? 」
一週間振りに帰ってきた森のコウの家 。
朝食の席でコウが話したことにユウナはそう返した。
「……ああ。この一週間、考えていたんだけどな。リリアからも物件を幾つか教えてもらった。此処にいて、この間のようなことが俺のいない間にあっても嫌だからな」
コウが言っているのは、街の中で襲われた時のことだろうと思った。
「同じことがあったとしても、まだ街中の方がギルドの者もいるし、此処よりは襲われることが少ない筈だ」
「でも……」
コウが此処に住んでいたのは、前に一緒にいたヴァイツのことを待っているからではないかと口に出そうとして、首を横に振られた。
「…………」
何も言うなというようなコウの様子に少し戸惑っていると、彼はふっと笑った。
「とにかく、荷物を纏めたら此処を出るぞ」
「……わかった」
もう此処を出るということは決めているらしく、ユウナは頷くしかなかった 。
2
まだ荷物もそんなになかった為、すぐに準備が出来たユウナと殆どのものを置いていくことにしたコウは、半日後にはもう街のギルドへと着いていた。
そこで待っていたリリアが机の上に幾つかの写真が載った紙を広げる。
何かと見てみると、それらには彼女が見つけてくれたのだろう物件が載っていた。
さっと目を通すと、アパートやマンション、一軒家等様々ものを探してくれたようだった。
「とりあえず、このギルドに近い場所を探してみたんだけど、気に入りそうなのはある? 」
「俺は何処でもいいから、ユウナが選んでいいぞ」
「気になるところがなければまた探すから、無理に決めなくていいわよ。その代わり、見つかるまではギルドにいてもらうことになるんだけど」
コウとリリアが言うのを聞きながら、物件を見ていたユウナは一枚の紙で目を止める。
それに載っていたのは一軒家で、小さな庭のついた家だった。
「そこが気になる? 」
じっと見ていると、リリアが声を掛けてくる。
「えっ?は、はい。……何かいいなって」
「なら、試してみる? 」
「?」
その言葉にユウナは首を傾げた。
3
「なんか面白いね」
「ん? 」
荷物を置いて、ユウナは口を開く。
今、ユウナとコウがいるのは、ユウナが気になっていた一軒家だった。
そんなに大きな家ではないが、ユウナとコウが自室を其々持つことは出来る 。
庭も小さいが、花壇を作ることは出来そうだ。
ユウナが面白いと言ったのは、気になる物件に一週間試しに住んでみることが出来、気に入ればそのまま購入出来るというシステムだった。
実際に中に入って色々なところを見て回ったが、自室になる部屋も充分な広さがあり、全体的に見てもコウと二人で暮らすには良いと思った。
「ね、此処にしよう」
「試さなくていいのか? 」
一週間の期間を設けなくてもいいのかと聞いてくるコウにユウナは頷く。
「うん。此処、気に入っちゃった」
「そうか」
そう答えると、コウはそのまま手続きをしてくると出掛けていく。
それを見送り、ユウナは思わずふふっと笑った。
コウと再会してから森の中で一緒に暮らしていたが、元々はヴァイツの家だった為、彼の残した物を使っていたのだ。
この家も家具などは備え付けの物があったが、それでも今回は二人で用意する物も多いだろう。
それを思うと、これからが楽しみだった。