第1部 再会と出会いの章
1
「!! 」
恐る恐るそれを見上げて目を見開く。
視線の先に二足歩行で翼を持っている竜のような生物がいる。
「……あ」
ユウナに気付いて見下ろしてくるその目に身体が竦む。
恐怖で動けないユウナの前で、竜がその爪を振り上げる。
もう駄目だと目を瞑った瞬間、誰かに身体を抱き抱えられた感覚の後、宙に浮いたように感じた。
「? 」
何が起きたのかと目を開けると、此方を見下ろしている少年と視線が合う。
「大丈夫か? 」
「は、はい」
声を掛けられ、自分が助けられたことに気付く。
礼を言おうとして、ユウナは竜が再び爪を振り上げたのを見た。
「危なっ……」
それにユウナは叫び掛けたが、その時何処からか飛んできた巨大な火球が竜へと直撃した。
「はあっ! 」
身体を焼かれ怯んだ竜へ向き直った少年が手から放ったのは風の刃で、身体を切り裂かれた竜は倒れ動かなくなった。
「大丈夫か? 」
「はい、ありがとうございます」
再度問い掛けられ、今度こそそう返す 。
それを聞いて、少年がほっとしたように息を吐いた時、その少年を呼ぶ声がした。
「ヴェルス」
「兄上」
「その子は? 」
助けてくれた少年より年上の少年が現れ、問い掛ける。
「逃げ遅れた民間人だ。これから避難所に……」
「「ユウナ!! 」」
その時、今度はユウナを呼ぶ声が聞こえ、コウとリリアが駆け寄ってくるのが見えた。
「お兄ちゃん!リリアさん! 」
二人の姿を見て、ユウナも二人の方へ向かおうとして、近くから聞こえた声にその足を止めた。
「ギルドの関係者か」
「あなた達は!! 」
年上の少年の声と共に足を止めたリリアが目を見開く。
「ヴェルス王子!それに……、ジェイス王子まで! 」
ユウナの側にいる二人を見てそう叫んだリリアに、ユウナは思わず二人をまじまじと見てしまった。
2
(この二人が王子……)
前にリリアが言ったように王族と関わることなどないと思っていたのだが、まさかこんな状況で会うとは思わなかった。
「ギルドの傭兵達が失敗したからと此処に来たが、自分の身すら守れないどころか状況も分からず、一人でふらついている奴がいるとはな」
「お言葉ですが、その子はギルドの構成員ではありません。目を離したのは此方の落ち度だとは認めますが、その子のことはあまり悪く言わないでもらえます? 」
鼻で笑うように言ったジェイスへ、少しムッとしたようにリリアが言う。
(もしかして、ギルドと王族の人ってあまり仲良くないのかな)
そんなことを思っていると、今度は少女の声が二人分聞こえてきた。
「「お兄様! 」」
ユウナと同じ年位の少女とその子より年下の少女が駆け寄ってくる。
ジェイス、ヴェルスを兄と呼んだことから、二人は王女なのだろう。
そんなことを思っていると、その二人に気付いたジェイスとヴェルスが表情を変えた。
彼等の視線は年上の少女の方へ向けられる。
「シルファ、何故、お前が此処にいる !?それも、セルフィまで連れてきて 」
「そ、それはお兄様達が心配で……」
「ふん。落ちこぼれに心配されるとはな」
ジェイスに言われたシルファが俯く。
「ご、ごめんなさい」
「……そんなことより」
小声で言うシルファから視線を逸らしたジェイスがリリアを見る。
その視線を受けたリリアは溜息をついた。
「……ギルドのリーダーのところへ案内します」
「ああ」
そう言い、歩き出したリリアにジェイスはついていく。
それを見ていると、ユウナはコウに肩を叩かれた。
「俺達も帰ろう」
「う、うん」
コウにそう促されて歩き出す。
だが、何故か背後にいるヴェルスや、一言も発さなかったセルフィの視線が自分を追ってきているような気がした 。
「!! 」
恐る恐るそれを見上げて目を見開く。
視線の先に二足歩行で翼を持っている竜のような生物がいる。
「……あ」
ユウナに気付いて見下ろしてくるその目に身体が竦む。
恐怖で動けないユウナの前で、竜がその爪を振り上げる。
もう駄目だと目を瞑った瞬間、誰かに身体を抱き抱えられた感覚の後、宙に浮いたように感じた。
「? 」
何が起きたのかと目を開けると、此方を見下ろしている少年と視線が合う。
「大丈夫か? 」
「は、はい」
声を掛けられ、自分が助けられたことに気付く。
礼を言おうとして、ユウナは竜が再び爪を振り上げたのを見た。
「危なっ……」
それにユウナは叫び掛けたが、その時何処からか飛んできた巨大な火球が竜へと直撃した。
「はあっ! 」
身体を焼かれ怯んだ竜へ向き直った少年が手から放ったのは風の刃で、身体を切り裂かれた竜は倒れ動かなくなった。
「大丈夫か? 」
「はい、ありがとうございます」
再度問い掛けられ、今度こそそう返す 。
それを聞いて、少年がほっとしたように息を吐いた時、その少年を呼ぶ声がした。
「ヴェルス」
「兄上」
「その子は? 」
助けてくれた少年より年上の少年が現れ、問い掛ける。
「逃げ遅れた民間人だ。これから避難所に……」
「「ユウナ!! 」」
その時、今度はユウナを呼ぶ声が聞こえ、コウとリリアが駆け寄ってくるのが見えた。
「お兄ちゃん!リリアさん! 」
二人の姿を見て、ユウナも二人の方へ向かおうとして、近くから聞こえた声にその足を止めた。
「ギルドの関係者か」
「あなた達は!! 」
年上の少年の声と共に足を止めたリリアが目を見開く。
「ヴェルス王子!それに……、ジェイス王子まで! 」
ユウナの側にいる二人を見てそう叫んだリリアに、ユウナは思わず二人をまじまじと見てしまった。
2
(この二人が王子……)
前にリリアが言ったように王族と関わることなどないと思っていたのだが、まさかこんな状況で会うとは思わなかった。
「ギルドの傭兵達が失敗したからと此処に来たが、自分の身すら守れないどころか状況も分からず、一人でふらついている奴がいるとはな」
「お言葉ですが、その子はギルドの構成員ではありません。目を離したのは此方の落ち度だとは認めますが、その子のことはあまり悪く言わないでもらえます? 」
鼻で笑うように言ったジェイスへ、少しムッとしたようにリリアが言う。
(もしかして、ギルドと王族の人ってあまり仲良くないのかな)
そんなことを思っていると、今度は少女の声が二人分聞こえてきた。
「「お兄様! 」」
ユウナと同じ年位の少女とその子より年下の少女が駆け寄ってくる。
ジェイス、ヴェルスを兄と呼んだことから、二人は王女なのだろう。
そんなことを思っていると、その二人に気付いたジェイスとヴェルスが表情を変えた。
彼等の視線は年上の少女の方へ向けられる。
「シルファ、何故、お前が此処にいる !?それも、セルフィまで連れてきて 」
「そ、それはお兄様達が心配で……」
「ふん。落ちこぼれに心配されるとはな」
ジェイスに言われたシルファが俯く。
「ご、ごめんなさい」
「……そんなことより」
小声で言うシルファから視線を逸らしたジェイスがリリアを見る。
その視線を受けたリリアは溜息をついた。
「……ギルドのリーダーのところへ案内します」
「ああ」
そう言い、歩き出したリリアにジェイスはついていく。
それを見ていると、ユウナはコウに肩を叩かれた。
「俺達も帰ろう」
「う、うん」
コウにそう促されて歩き出す。
だが、何故か背後にいるヴェルスや、一言も発さなかったセルフィの視線が自分を追ってきているような気がした 。