第16章
1
「……っ…….!!……!! 」
「……ん? 」
夜、何時かはわからなかったが、誰かが魘されている気配に舞は目を覚ます 。
(……誰が? )
見れば、横にいる聖奈とその横の綾はぐっすりと眠っている。
「……!っ……! 」
魘されているのは綾の向こうにいる花音のようで、舞は起こした方がいいのかもしれないとベッドから降りようとする。
だが、その前に花音が飛び起きた。
「お父さん! お母さん! 」
叫んで起き上がった花音に舞は驚く。
「……何?何かあったの? 」
「……花音? 」
その声に眠っていた聖奈と綾も目を覚ます。
「……あ……」
「先輩、大丈夫ですか? 」
全員起きてしまったこともあり、電気を点けて声を掛ける。
「……ごめん、起こしちゃったね。… …大丈夫、何でもないよ」
花音はそう言ってきたが、とても大丈夫そうには見えず、舞は綾や聖奈と視線を交わし合った。
「でも……」
「本当に大丈夫だから。……三人はまた休んでて。私も水飲んできたら、また休むから」
そう言って花音は出て行ってしまう。
「……まぁ、まだ夜中だし、朝になったら話を聞くなり、誰かに相談するなりしよう」
綾の言葉に舞は頷く。
確かに今はもう一度休んで朝を待った方が花音の為にもいい気がした。
2
朝になり目を覚ました舞は部屋の中を見回して、花音がいないことに気付いた。
「先輩? 」
いつからいないのか気になり、舞は花音が眠っていたベッドへ近付く。
シーツを触って確かめようとしたところで、隣から綾の声がした。
「……花音なら戻ってきてないよ」
「えっ? 」
「……私、寝てたけど、やっぱり花音のことが気になって、ちょこちょこ起きてたの。……あの時出て行ってから戻ってきてないよ」
身体を起こしながら、綾が続ける。
(……やっぱり、あの時追い掛けた方がよかったかな)
そう思いながらも、朝食を摂る為食堂へ向かうことにした。
食堂に入ると花音の姿があり、神蘭と話をしていた。
それを見て少し安心していると、誰かが欠伸をするのが聞こえてきた。
「ふああ~! 」
「何だ?寝不足か? 」
「そういえば、お前、何回も起きてたみたいだな」
次いで聞こえてきた火焔と夜天の声に視線を向けると、どうやら先程欠伸をしていたのは光輝だった。
「そんなに寝付けなかったのか? 」
「……ああ。……嫌な夢を見てな」
それを聞いて、花音が魘されていたことを思い出す。
(……これって、偶然なのかな? )
内容までははっきりとわからなかったが、花音と光輝は姉弟だと聞いていた為、その二人が同じように魘されていたのなら、ただの夢と判断してはいけない気がした。
3
キイイイッ
ドアが開いて花音が出て行く。
「……これで何日目? 」
「……三日は続いてるよね」
舞と同じように身体を起こした聖奈と綾が言う。
「……私、先輩の所、行ってくるよ」
もう放っておくことは出来ないと、舞は二人に言う。
聖奈と綾が頷いたのを見て、舞も部屋を出た。
(先輩の所へ行くって言って出てきたけど、先輩、何処に行っちゃったんだろう? )
そんなことを思いながら、舞は廊下を歩いていく。
すると、少し先にある扉が開いて誰かが出てくる。
(彼処って、確か……光輝と夜天、雷牙がいる部屋……)
暗くてはっきりと誰が出てきたのかわからなかったが、取り敢えず追い掛けていくと、城のテラスへと出る。
そこで漸く自分が追い掛けてきたが光輝だとわかる。
それと同時に、此方へ背を向けている花音がいることにも気付いた。
「……姉上」
呼び掛けた光輝の声に、花音は振り返る。
「……姉上も眠れないのか? 」
「…………うん。光輝も? 」
「……ああ。……何だか知らないが、忘れたいあの時の夢ばかり見せられる 。……お陰で気分は最悪だ」
苛々している様子の声が舞のところまで聞こえてくる。
そんな様子を花音はじっと見ていたが 、少しして意を決したように口を開いた。
「光輝」
「ん? 」
「明日、刹那くんに協力してもらって一度お父さんとお母さんのところに行こう」
「……!!……それは」
「……無事かどうか確認したいの。でも、何かあった時一人じゃ恐いから」
「………………」
花音の言葉に、光輝は暫く考え込む。
その後、渋々といった様子で頷くのが見えた。
「……っ…….!!……!! 」
「……ん? 」
夜、何時かはわからなかったが、誰かが魘されている気配に舞は目を覚ます 。
(……誰が? )
見れば、横にいる聖奈とその横の綾はぐっすりと眠っている。
「……!っ……! 」
魘されているのは綾の向こうにいる花音のようで、舞は起こした方がいいのかもしれないとベッドから降りようとする。
だが、その前に花音が飛び起きた。
「お父さん! お母さん! 」
叫んで起き上がった花音に舞は驚く。
「……何?何かあったの? 」
「……花音? 」
その声に眠っていた聖奈と綾も目を覚ます。
「……あ……」
「先輩、大丈夫ですか? 」
全員起きてしまったこともあり、電気を点けて声を掛ける。
「……ごめん、起こしちゃったね。… …大丈夫、何でもないよ」
花音はそう言ってきたが、とても大丈夫そうには見えず、舞は綾や聖奈と視線を交わし合った。
「でも……」
「本当に大丈夫だから。……三人はまた休んでて。私も水飲んできたら、また休むから」
そう言って花音は出て行ってしまう。
「……まぁ、まだ夜中だし、朝になったら話を聞くなり、誰かに相談するなりしよう」
綾の言葉に舞は頷く。
確かに今はもう一度休んで朝を待った方が花音の為にもいい気がした。
2
朝になり目を覚ました舞は部屋の中を見回して、花音がいないことに気付いた。
「先輩? 」
いつからいないのか気になり、舞は花音が眠っていたベッドへ近付く。
シーツを触って確かめようとしたところで、隣から綾の声がした。
「……花音なら戻ってきてないよ」
「えっ? 」
「……私、寝てたけど、やっぱり花音のことが気になって、ちょこちょこ起きてたの。……あの時出て行ってから戻ってきてないよ」
身体を起こしながら、綾が続ける。
(……やっぱり、あの時追い掛けた方がよかったかな)
そう思いながらも、朝食を摂る為食堂へ向かうことにした。
食堂に入ると花音の姿があり、神蘭と話をしていた。
それを見て少し安心していると、誰かが欠伸をするのが聞こえてきた。
「ふああ~! 」
「何だ?寝不足か? 」
「そういえば、お前、何回も起きてたみたいだな」
次いで聞こえてきた火焔と夜天の声に視線を向けると、どうやら先程欠伸をしていたのは光輝だった。
「そんなに寝付けなかったのか? 」
「……ああ。……嫌な夢を見てな」
それを聞いて、花音が魘されていたことを思い出す。
(……これって、偶然なのかな? )
内容までははっきりとわからなかったが、花音と光輝は姉弟だと聞いていた為、その二人が同じように魘されていたのなら、ただの夢と判断してはいけない気がした。
3
キイイイッ
ドアが開いて花音が出て行く。
「……これで何日目? 」
「……三日は続いてるよね」
舞と同じように身体を起こした聖奈と綾が言う。
「……私、先輩の所、行ってくるよ」
もう放っておくことは出来ないと、舞は二人に言う。
聖奈と綾が頷いたのを見て、舞も部屋を出た。
(先輩の所へ行くって言って出てきたけど、先輩、何処に行っちゃったんだろう? )
そんなことを思いながら、舞は廊下を歩いていく。
すると、少し先にある扉が開いて誰かが出てくる。
(彼処って、確か……光輝と夜天、雷牙がいる部屋……)
暗くてはっきりと誰が出てきたのかわからなかったが、取り敢えず追い掛けていくと、城のテラスへと出る。
そこで漸く自分が追い掛けてきたが光輝だとわかる。
それと同時に、此方へ背を向けている花音がいることにも気付いた。
「……姉上」
呼び掛けた光輝の声に、花音は振り返る。
「……姉上も眠れないのか? 」
「…………うん。光輝も? 」
「……ああ。……何だか知らないが、忘れたいあの時の夢ばかり見せられる 。……お陰で気分は最悪だ」
苛々している様子の声が舞のところまで聞こえてくる。
そんな様子を花音はじっと見ていたが 、少しして意を決したように口を開いた。
「光輝」
「ん? 」
「明日、刹那くんに協力してもらって一度お父さんとお母さんのところに行こう」
「……!!……それは」
「……無事かどうか確認したいの。でも、何かあった時一人じゃ恐いから」
「………………」
花音の言葉に、光輝は暫く考え込む。
その後、渋々といった様子で頷くのが見えた。