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第15章

1
「……いたか? 」
「……駄目だ。こっちにはいない」
飛影の問い掛けに、風夜は首を振る。
「飛んで探してもみたけど、誰一人見つからなかったな」
「ったく、あいつら、何処へ行ったんだ?こっちの方が人数も多いのに見つけられないなんて……」
苛立たしそうに飛影が髪を掻き上げる 。
「……とにかく、一度戻って他の奴等にも話を……」
そこで風夜は言葉を止めた。
「どうした?白亜」
「ピ、ピイィ! 」
それまでキョロキョロと辺りを見回しながらも大人しくしていた白亜が急に騒ぎ出す。
「ピィ、ピイィッ」
鳴きながらも風夜の袖を加えて、何処かへ引っ張っていこうとする。
「おい、どうした? 」
「ピイィ、ピイイイイ」
「……ん? 」
白亜が引っ張っていこうとする方向へ視線を向けた飛影が何かに気付いたような声を上げた。
「おい、彼処! 」
「ん? 」
飛影にも声を掛けられ、彼が指した先を風夜も見る。
その先には黒いフードで顔を隠している女がいて、飛影と風夜を見るなり逃げるように走り出す。
「追うぞ! 」
「ああ! 」
それを見て飛影と風夜も走り出した。
2
逃げていく女を追い掛けていく内に、それまでいた市場を出る。
「くそっ、思ったより足が速いな」
「……いや、大丈夫だ。このままいけば……」
風夜が言いながら、女の逃げる先を見る。
その先にも数人の姿が見えてくる。
「……成る程な。あいつらと挟むのか 。だが、あいつらが気付かないと無理じゃないか。それに叫べば、あの女にも気付かれる」
「それも問題ない」
風夜が腕につけているブレスレットに向かって、小声で何かを言う。
その間にも女は前にいる数人に近付いていき、その横を通り抜けようとした瞬間、何かにつまづいたように転んだ 。
「おいおい……」
呆れながらも近付いていってから、飛影は何が起こったのかもわかった。
前に見えていた数人は、封魔と星夜、白鬼、龍牙、白夜だったらしく、女はすれ違い様に封魔に足を掛けられ、転倒したようだった。
「二人して何追い掛けてたんだ? 」
「神蘭達のことを探していたんじゃなかったのか? 」
龍牙と白夜に聞かれて、風夜が封魔に転ばされそのまま抑えつけられている女に視線を移す。
「……白亜がそいつに反応を示したんだよ。何か知ってるのは間違いない」
「そうだ」と言うように鳴き声を上げる白亜を宥めながら、風夜は言う。
それを聞いて、封魔達全員の視線が女へと向く。
その視線を受けて女は低く笑った。
「ふふふ……」
「……何がおかしい? 」
「あなた達が探している連中なら、私の術中よ」
「何だと? 」
「……あなた達も行ってみる? 」
そう言った女が取り出した物を見て、飛影はハッとして叫んだ。
「……!!まずい!散れ! 」
「もう遅いわ」
女が言ったと思った瞬間、何処かへと引き摺りこまれた。
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