第15章
1
「…………」
「……なんだかぼんやりしてますね、神蘭さん」
「……雷牙くんの一件があった時は大丈夫そうだったけど……」
ぼんやりと何か考えごとをしている神蘭を見ながら話す。
(……星蓮の話を聞いてからだよね)
過去に何かあったのか、詳しい事は舞にはわからないし、〈天華〉の記憶の中にもない。
どう接すればいいのかわからないでいる間に、鈴麗と聖羅が来て、神蘭に声を掛けているのが見える。
はっきりと何を話しているのかまでは聞こえてこないが、気分転換に外に誘っているようだった。
少し話をしてから、今度はその様子を見ていた舞達の方へ鈴麗と聖羅が近付いてくる。
「今、神蘭にも言ってたんだけど、少し外に出掛けてこない? 」
「城にいても、色々気が滅入りそうだしね」
そう声を掛けられ、舞は花音と視線を交わす。
「……いいかもね。……綾ちゃんと聖奈ちゃんも誘ってさ」
花音が少し楽しそうな声で言うのを聞きながら、舞も少し楽しみな気がしていていた。
2
緋皇に魔神族が入り込んでいないかを調べてもらってから、舞達は最初に話をしていたメンバーに綾、聖奈、聖姫 、楓を加えた九人で、市場のような場所へ来ていた。
何を買う訳でもないが、ただのんびりと見て回るだけでも面白く感じる。
(……たまには、女子だけでこういうのもいいかもね)
普段は軍人である神蘭や鈴麗、楓も今は聖羅や聖姫と色々な物を見て回っている中で、時々笑みを零している。
またいつ襲撃があるかわからない為、完全に気は抜けないが、それでもたまにはこういう時間があってもいいなと舞が顔を綻ばせた時、一つの声が掛けられた。
「……もし、そこのお嬢さん方」
「私達……ですか? 」
足を止め視線を向けると、黒づくめのマントで顔を隠した女性が立っている 。
「……何か用ですか? 」
「……いえ、ただ……」
「ただ……? 」
「あなた達は、どうやら過去に深い闇があるようですね。……どうですか?私ならその真実を知るお手伝いが出来ると思いますが」
「……いや、別に……」
「……必要ない」
舞を遮り、神蘭が言う。
「遠慮しなくていいんですよ。……あなた達が知りたい過去、私が教えてあげましょう」
「だから、必要ないって言って……」
そう言った鈴麗に、マントの女性が僅かにマントを外す。
その目が光ったかと思うと、身体から急に力が抜ける。
その後、今度は何処かへと強い力で引っ張られるような力を感じた。
3
「……ちゃん、……舞ちゃん! 」
身体を強く揺すられ、舞は目を開ける 。
すると、花音、綾、聖奈が心配そうに覗きこんでいた。
「……此処は? 」
「……わからない。皆、気が付いたら此処で倒れてたから」
「でも、この雰囲気は……」
「……神界よ」
聖羅の声がする。
「……私達、数分前まで魔界にいましたよね? 」
「……でも、間違いない。……神界よ 、此処」
楓の戸惑う声に、聖羅もそう言った。
「……じゃあ、私達はどうして神界に ? 」
「……あの女が何かしたのは間違いないだろうけど」
「目的がわからないわね」
神蘭と鈴麗が難しい顔をする。
その時、少し離れた所から物凄い力を感じた。
「……行ってみよう!……何かわかるかも」
そう言った舞に、花音達は頷く。
力を感じる方向へ向かい近付いていくと、反対からも徐々に近付いてくる気配があるのに気付く。
更に近付くにつれて、何やら揉めているような声も聞こえてきた。
「…………」
「……なんだかぼんやりしてますね、神蘭さん」
「……雷牙くんの一件があった時は大丈夫そうだったけど……」
ぼんやりと何か考えごとをしている神蘭を見ながら話す。
(……星蓮の話を聞いてからだよね)
過去に何かあったのか、詳しい事は舞にはわからないし、〈天華〉の記憶の中にもない。
どう接すればいいのかわからないでいる間に、鈴麗と聖羅が来て、神蘭に声を掛けているのが見える。
はっきりと何を話しているのかまでは聞こえてこないが、気分転換に外に誘っているようだった。
少し話をしてから、今度はその様子を見ていた舞達の方へ鈴麗と聖羅が近付いてくる。
「今、神蘭にも言ってたんだけど、少し外に出掛けてこない? 」
「城にいても、色々気が滅入りそうだしね」
そう声を掛けられ、舞は花音と視線を交わす。
「……いいかもね。……綾ちゃんと聖奈ちゃんも誘ってさ」
花音が少し楽しそうな声で言うのを聞きながら、舞も少し楽しみな気がしていていた。
2
緋皇に魔神族が入り込んでいないかを調べてもらってから、舞達は最初に話をしていたメンバーに綾、聖奈、聖姫 、楓を加えた九人で、市場のような場所へ来ていた。
何を買う訳でもないが、ただのんびりと見て回るだけでも面白く感じる。
(……たまには、女子だけでこういうのもいいかもね)
普段は軍人である神蘭や鈴麗、楓も今は聖羅や聖姫と色々な物を見て回っている中で、時々笑みを零している。
またいつ襲撃があるかわからない為、完全に気は抜けないが、それでもたまにはこういう時間があってもいいなと舞が顔を綻ばせた時、一つの声が掛けられた。
「……もし、そこのお嬢さん方」
「私達……ですか? 」
足を止め視線を向けると、黒づくめのマントで顔を隠した女性が立っている 。
「……何か用ですか? 」
「……いえ、ただ……」
「ただ……? 」
「あなた達は、どうやら過去に深い闇があるようですね。……どうですか?私ならその真実を知るお手伝いが出来ると思いますが」
「……いや、別に……」
「……必要ない」
舞を遮り、神蘭が言う。
「遠慮しなくていいんですよ。……あなた達が知りたい過去、私が教えてあげましょう」
「だから、必要ないって言って……」
そう言った鈴麗に、マントの女性が僅かにマントを外す。
その目が光ったかと思うと、身体から急に力が抜ける。
その後、今度は何処かへと強い力で引っ張られるような力を感じた。
3
「……ちゃん、……舞ちゃん! 」
身体を強く揺すられ、舞は目を開ける 。
すると、花音、綾、聖奈が心配そうに覗きこんでいた。
「……此処は? 」
「……わからない。皆、気が付いたら此処で倒れてたから」
「でも、この雰囲気は……」
「……神界よ」
聖羅の声がする。
「……私達、数分前まで魔界にいましたよね? 」
「……でも、間違いない。……神界よ 、此処」
楓の戸惑う声に、聖羅もそう言った。
「……じゃあ、私達はどうして神界に ? 」
「……あの女が何かしたのは間違いないだろうけど」
「目的がわからないわね」
神蘭と鈴麗が難しい顔をする。
その時、少し離れた所から物凄い力を感じた。
「……行ってみよう!……何かわかるかも」
そう言った舞に、花音達は頷く。
力を感じる方向へ向かい近付いていくと、反対からも徐々に近付いてくる気配があるのに気付く。
更に近付くにつれて、何やら揉めているような声も聞こえてきた。