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第14章

(一体、何処へ行ったんだろう? )
出て行った二人を探し、舞は城内を歩く。
中庭辺りまで来た時、話し声が聞こえてきてその方向へ足を向ける。
そこでは雷牙と封魔が向き合うようにして話をしていた。
「……なぁ、本当にあの状態になってしまったら、もう元に戻らないのか? 」
「……難しいだろうな。……まだ映像でしか見ていないが、俺より自我を失っているように見えた。……あれだけの力だ。俺の時よりも何倍も強い力を加えられている筈。……それさえも上回る精神力を持っていれば、正気に戻る可能性もあったかもしれないが」
「…………」
封魔の答えに、雷牙は黙り込んだ。
「……助けることは出来ないのか?倒すしか、方法はないのか? 」
「……すまないな。……俺が正気に戻った後、実験の資料やデータを処分しておけば、こんなことにはならなかったかもしれない」
「……過ぎたことは仕方ないさ。俺も助けられる方法があるなら、聞いておきたかったけど、……ないのなら、… …覚悟は決める」
そう言った雷牙に、封魔が視線を向ける。
「……本当に覚悟を決められるのか?お前の両親だろ?……その二人を討てるのか? 」
「……確かに、俺の両親だ。……だが産みの親というだけで、一緒に過ごした記憶も思い出もない。……討ったところで、俺は傷付いたりしない。……俺の大切なものは他にも沢山あるしな 」
封魔に答える雷牙の声が舞の所にも聞こえてくる。
言葉では大丈夫だと言っていたが、まだ迷いがあるように聞こえた。
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