第14章
1
(……あれから、何も仕掛けてこないなぁ)
入れ替わられた日から数日、舞はそんなことを思いながら城の中を歩いていた。
(何もないのはいいけど……、何だか不気味でもあるんだよね)
「……あれ? 」
その時、向かっている先に珍しい組み合わせを見付ける。
「なんか珍しいメンバーで話してるね 」
声を掛けると、その先にいた飛影、雷牙、白鬼、煌破が視線を向けてきた。
「珍しいって、俺等が話してるのがか ?」
「うん。……飛影と煌破が一緒なのはわかるけど」
言いつつ、雷牙と白鬼を見る。
いつもなら、雷牙は花音や風夜達と、白鬼は闘神達といる為、珍しく思えた 。
「……ああ。俺が話を聞きたかったからな」
そう答えたのは雷牙で、舞は首を傾げる。
「話って……」
「……魔神族についてのな。……白鬼は俺と同じように途中でなった訳だしな」
(そういえば……)
雷牙の言葉を聞いて、舞は彼もまた魔神族の血を引いていたことを思い出した。
光の街への襲撃や、神界が魔神族の手に堕ち、魔界へと来たりと色々なことがあり忘れていたが、彼としても少し落ち着いた時に話を聞いておきたかったのだろう。
そう思うと、自分がいては少し邪魔になるような気がして、舞は四人と別れようとしたが、その前に少し慌てた様子で花音が走ってきた。
2
呼びに来た花音と共に緋皇のいる謁見の間へと来ると、そこには既に他の仲間達は集まっていた。
「これを見ろ」
緋皇が翳した水晶が光り、ある光景を映し出す。
それは何処かの村のようだったが、酷く荒れ果てていた。
「これは? 」
「……魔界の辺境の地にある村の一つだ。小さな村だが、昨日までは村人達が普通に生活していた」
その言葉と共に景色が変わっていくが 、暮らしていたと思われる魔族の姿は何処にもない。
姿はないが、彼方此方に戦闘の後のようなものはある。
ぐるりと見回すに景色が動いた後、映ったのは風夜と莉鳳だった。
「どうだ? 」
『……駄目ですね。全滅のようです』
緋皇の問いに、莉鳳が首を横に振る。
「全滅って……」
『抵抗した跡はあったが、力の差がかなりあったみたいだ。……女子供はほぼ一撃だな』
「……わかった。とりあえず、一度戻って……」
緋皇が言いかけた時、映像として映っている二人の方から僅かに爆発音のようなものが聞こえてくる。
『……ここではないようですが、近隣の村のようですね。……様子を見てから戻ります』
莉鳳が言って、通信は切れた。
3
通信が切れてから二人が戻ってきたのは数時間後のことで、舞達は再び謁見の間へと集められていた。
「まずはこれを見てくれ」
何が起きていたのか映像を撮ってきたらしい風夜が水晶を翳す。
映し出された村の様子は、二人が元々調べに行っていた村とは違い、襲撃を受けている最中のようだった。
逃げ回っている村の女性や子供、立ち向かい倒れていく男の魔族達。
襲撃者と思われる魔神族は二人で、その姿が大きく映った時、息を大きくのんだのは雷牙だった。
「……嘘だろ? 」
そう呟いた声を聞きながら、舞は映っている二人を見る。
それは前に雷牙の両親だと発覚していた二人だったが、その時とは様子が大分変わっているようだった。
「……少し様子を見ていたけど、とても正気には見えませんでした。……戦いを楽しんでいるような……、たまに反撃を受けてもまるで痛みも感じていないような感じでしたね」
「ちっ……」
それを聞いた封魔が舌打ちする。
「…………とにかく、今回は偵察が目的だったので戻ってきてしまいましたが、恐らくこの村ももう駄目かと」
「……そうだろうな」
そう呟いた緋皇は目を伏せた。
「そうだろうなって、このまま放っておいたら、もっと被害が大きくなるんじゃないの!? 」
「……そうは言っても、情報が足りない。……ああいう理性のないタイプは厄介だからな」
思わず口を挟んだ舞に緋皇はそう返してくる。
「でも、あの状態は……」
「……昔の俺と同じだな」
その時、聞こえてきたのは神蘭と封魔のそんな言葉だった。
それを聞いた他の龍牙達も覚えがあるようで頷いていて、花音と綾も何かを思い出したようだった。
「……お前には心当たりがあるのか? 」
莉鳳の問いに封魔は頷く。
「ああ。数百年前の俺があんな状態だったからな」
「というのは、数百年前の神界に既にそんな技術があったのか? 」
「……ああ。……と言っても、俺をそうするように言ったのは、総長……魔神族側の奴だった訳だけどな」
「……魔神族にそんな技術はないからな。確かに神族のものなんだろうが」
「何故、神族はそんな人を兵器にするようなことをしていたんだ? 」
飛影と煌破の問いに、封魔がちらりと星蓮に視線がやった。
「……いい機会かもね。……このあたりで全て話してしまいましょう」
「……いいんだな? 」
「ええ。……神帝もいなくなり、上層部も散った今、咎められることもないでしょうしね」
確認するように言った封魔に、星蓮が溜息混じりに返す。
それを聞いて、舞は少し違和感のようなものを感じていた。
(……あれから、何も仕掛けてこないなぁ)
入れ替わられた日から数日、舞はそんなことを思いながら城の中を歩いていた。
(何もないのはいいけど……、何だか不気味でもあるんだよね)
「……あれ? 」
その時、向かっている先に珍しい組み合わせを見付ける。
「なんか珍しいメンバーで話してるね 」
声を掛けると、その先にいた飛影、雷牙、白鬼、煌破が視線を向けてきた。
「珍しいって、俺等が話してるのがか ?」
「うん。……飛影と煌破が一緒なのはわかるけど」
言いつつ、雷牙と白鬼を見る。
いつもなら、雷牙は花音や風夜達と、白鬼は闘神達といる為、珍しく思えた 。
「……ああ。俺が話を聞きたかったからな」
そう答えたのは雷牙で、舞は首を傾げる。
「話って……」
「……魔神族についてのな。……白鬼は俺と同じように途中でなった訳だしな」
(そういえば……)
雷牙の言葉を聞いて、舞は彼もまた魔神族の血を引いていたことを思い出した。
光の街への襲撃や、神界が魔神族の手に堕ち、魔界へと来たりと色々なことがあり忘れていたが、彼としても少し落ち着いた時に話を聞いておきたかったのだろう。
そう思うと、自分がいては少し邪魔になるような気がして、舞は四人と別れようとしたが、その前に少し慌てた様子で花音が走ってきた。
2
呼びに来た花音と共に緋皇のいる謁見の間へと来ると、そこには既に他の仲間達は集まっていた。
「これを見ろ」
緋皇が翳した水晶が光り、ある光景を映し出す。
それは何処かの村のようだったが、酷く荒れ果てていた。
「これは? 」
「……魔界の辺境の地にある村の一つだ。小さな村だが、昨日までは村人達が普通に生活していた」
その言葉と共に景色が変わっていくが 、暮らしていたと思われる魔族の姿は何処にもない。
姿はないが、彼方此方に戦闘の後のようなものはある。
ぐるりと見回すに景色が動いた後、映ったのは風夜と莉鳳だった。
「どうだ? 」
『……駄目ですね。全滅のようです』
緋皇の問いに、莉鳳が首を横に振る。
「全滅って……」
『抵抗した跡はあったが、力の差がかなりあったみたいだ。……女子供はほぼ一撃だな』
「……わかった。とりあえず、一度戻って……」
緋皇が言いかけた時、映像として映っている二人の方から僅かに爆発音のようなものが聞こえてくる。
『……ここではないようですが、近隣の村のようですね。……様子を見てから戻ります』
莉鳳が言って、通信は切れた。
3
通信が切れてから二人が戻ってきたのは数時間後のことで、舞達は再び謁見の間へと集められていた。
「まずはこれを見てくれ」
何が起きていたのか映像を撮ってきたらしい風夜が水晶を翳す。
映し出された村の様子は、二人が元々調べに行っていた村とは違い、襲撃を受けている最中のようだった。
逃げ回っている村の女性や子供、立ち向かい倒れていく男の魔族達。
襲撃者と思われる魔神族は二人で、その姿が大きく映った時、息を大きくのんだのは雷牙だった。
「……嘘だろ? 」
そう呟いた声を聞きながら、舞は映っている二人を見る。
それは前に雷牙の両親だと発覚していた二人だったが、その時とは様子が大分変わっているようだった。
「……少し様子を見ていたけど、とても正気には見えませんでした。……戦いを楽しんでいるような……、たまに反撃を受けてもまるで痛みも感じていないような感じでしたね」
「ちっ……」
それを聞いた封魔が舌打ちする。
「…………とにかく、今回は偵察が目的だったので戻ってきてしまいましたが、恐らくこの村ももう駄目かと」
「……そうだろうな」
そう呟いた緋皇は目を伏せた。
「そうだろうなって、このまま放っておいたら、もっと被害が大きくなるんじゃないの!? 」
「……そうは言っても、情報が足りない。……ああいう理性のないタイプは厄介だからな」
思わず口を挟んだ舞に緋皇はそう返してくる。
「でも、あの状態は……」
「……昔の俺と同じだな」
その時、聞こえてきたのは神蘭と封魔のそんな言葉だった。
それを聞いた他の龍牙達も覚えがあるようで頷いていて、花音と綾も何かを思い出したようだった。
「……お前には心当たりがあるのか? 」
莉鳳の問いに封魔は頷く。
「ああ。数百年前の俺があんな状態だったからな」
「というのは、数百年前の神界に既にそんな技術があったのか? 」
「……ああ。……と言っても、俺をそうするように言ったのは、総長……魔神族側の奴だった訳だけどな」
「……魔神族にそんな技術はないからな。確かに神族のものなんだろうが」
「何故、神族はそんな人を兵器にするようなことをしていたんだ? 」
飛影と煌破の問いに、封魔がちらりと星蓮に視線がやった。
「……いい機会かもね。……このあたりで全て話してしまいましょう」
「……いいんだな? 」
「ええ。……神帝もいなくなり、上層部も散った今、咎められることもないでしょうしね」
確認するように言った封魔に、星蓮が溜息混じりに返す。
それを聞いて、舞は少し違和感のようなものを感じていた。