第13章
1
魔神族が入れ替わっているということに気付いたものの、動きがないことを少し不気味に思い始めて数日後。
舞達は朝から飛び込んできた風華、蒼牙、紅牙に起こされていた。
「た、大変だ!大変なんだよ! 」
「な、何?朝からどうしたの? 」
「あ、あのね、風兄様が……」
「いいから、とにかく早く来てよ! 」
痺れを切らせたのか、蒼牙が腕を引っ張ってくる。
何が起きたのかわかったのは、彼等に連れられ、大広間に来てからだった。
「「「「えっ!? 」」」」
入った途端、見えた異様な光景に思わず声を上げる。
目の前では、同じ顔が二つずつ、三ヶ所で睨み合っていた。
「……悪いな。朝起きてきた時にはもうこの状態でな」
事情を話してあった風牙がそう声を掛けてくる。
(……多分、今朝戻ってきた方が本物なんだろうけど、こうなっちゃうと)
どちらが偽者なのかわからなくなってしまった。
「……これが狙いか」
「でも、どうする?これじゃあ、どうにも動けないぞ」
蒼魔と白鬼の言葉に睨み合っている六人を見る。
「仕方ないだろ。手を出せないなら」
煌破が何かを思いついたというように笑う。
「本人達にけりをつけさせればいい」
それに戸惑いはあったが、舞達が手を出せないのなら、それしかないのかもしれなかった。
2
(とはいえ、大丈夫なのかな? )
煌破が言ったことが緋皇の耳に入ったことで、場所は確保できたが、まだ正体を明らかにしていない今、舞達に仕掛けてくるとは思えないが、不安要素はまだあった。
(もし、今、押されている方が本物だとしたら?)
そんなことを思っていると、何かが叩きつけられたような音がする。
それを視線で探せば、叩きつけられたのは風夜のようだった。
「やべっ、切れた」
呟いたのは風牙なのか、火焔なのかわからなかったが、その声の直後、叩きつけられた方の雰囲気が変わった気がした。
「……まどろっこしいことはやめだ」
低く呟き、顔を上げた彼の目は紅く染まっている。
そして、刀身を伸ばしてもう一人の自分を攻撃するのかと思いきや、彼が狙ったのは飛影だった。
「え、ええっ!? 」
それを見て、思わず舞は声を上げる。
「……っ……! 」
不意打ちともとれる攻撃を避わした飛影の背後に封魔が現れる。
「……まずは一人」
その言葉と共に斬られた飛影の姿が歪む。
数秒後、其処に倒れていたのは、変化の解けた魔神族の姿だった。
「「兄者! 」」
それを見て、叫んだのが聞こえる。
その声にハッとしたのは舞達で、ニヤリと笑ったのが風夜だった。
「……兄者? 」
態とらしく声を上げた風夜に、いまだに風夜と封魔になっていた二人もハッとする。
「さぁ、どうする? 」
「「っ……! 」」
封魔に問い掛けられた二人の魔神族の姿が彼等本人のものへと変わる。
その表情は苦々しいものになっている 。
だが、その時、その二人の近くの空間が歪むのが見えた。
「もういいわ。退きなさい」
歪んだ空間から女の声が聞こえてくる 。
その指示に二人は倒された一人をチラリとみたが、その中へと姿を消していった。
魔神族が入れ替わっているということに気付いたものの、動きがないことを少し不気味に思い始めて数日後。
舞達は朝から飛び込んできた風華、蒼牙、紅牙に起こされていた。
「た、大変だ!大変なんだよ! 」
「な、何?朝からどうしたの? 」
「あ、あのね、風兄様が……」
「いいから、とにかく早く来てよ! 」
痺れを切らせたのか、蒼牙が腕を引っ張ってくる。
何が起きたのかわかったのは、彼等に連れられ、大広間に来てからだった。
「「「「えっ!? 」」」」
入った途端、見えた異様な光景に思わず声を上げる。
目の前では、同じ顔が二つずつ、三ヶ所で睨み合っていた。
「……悪いな。朝起きてきた時にはもうこの状態でな」
事情を話してあった風牙がそう声を掛けてくる。
(……多分、今朝戻ってきた方が本物なんだろうけど、こうなっちゃうと)
どちらが偽者なのかわからなくなってしまった。
「……これが狙いか」
「でも、どうする?これじゃあ、どうにも動けないぞ」
蒼魔と白鬼の言葉に睨み合っている六人を見る。
「仕方ないだろ。手を出せないなら」
煌破が何かを思いついたというように笑う。
「本人達にけりをつけさせればいい」
それに戸惑いはあったが、舞達が手を出せないのなら、それしかないのかもしれなかった。
2
(とはいえ、大丈夫なのかな? )
煌破が言ったことが緋皇の耳に入ったことで、場所は確保できたが、まだ正体を明らかにしていない今、舞達に仕掛けてくるとは思えないが、不安要素はまだあった。
(もし、今、押されている方が本物だとしたら?)
そんなことを思っていると、何かが叩きつけられたような音がする。
それを視線で探せば、叩きつけられたのは風夜のようだった。
「やべっ、切れた」
呟いたのは風牙なのか、火焔なのかわからなかったが、その声の直後、叩きつけられた方の雰囲気が変わった気がした。
「……まどろっこしいことはやめだ」
低く呟き、顔を上げた彼の目は紅く染まっている。
そして、刀身を伸ばしてもう一人の自分を攻撃するのかと思いきや、彼が狙ったのは飛影だった。
「え、ええっ!? 」
それを見て、思わず舞は声を上げる。
「……っ……! 」
不意打ちともとれる攻撃を避わした飛影の背後に封魔が現れる。
「……まずは一人」
その言葉と共に斬られた飛影の姿が歪む。
数秒後、其処に倒れていたのは、変化の解けた魔神族の姿だった。
「「兄者! 」」
それを見て、叫んだのが聞こえる。
その声にハッとしたのは舞達で、ニヤリと笑ったのが風夜だった。
「……兄者? 」
態とらしく声を上げた風夜に、いまだに風夜と封魔になっていた二人もハッとする。
「さぁ、どうする? 」
「「っ……! 」」
封魔に問い掛けられた二人の魔神族の姿が彼等本人のものへと変わる。
その表情は苦々しいものになっている 。
だが、その時、その二人の近くの空間が歪むのが見えた。
「もういいわ。退きなさい」
歪んだ空間から女の声が聞こえてくる 。
その指示に二人は倒された一人をチラリとみたが、その中へと姿を消していった。