第12章
1
「……此処は? 」
意識が戻り、目を開けると、見慣れない天井がまず見えた。
ゆっくりと身体を起こし辺りを見回すと、やはり見慣れない部屋にいて、まだ気付いていない花音、聖奈、綾が寝かされていた。
自分もだが、傷の手当てはしてある。
だが、身体は酷く怠い。
(どうなってるんだろう?私達、神界で麗玲達に…… )
そんなことを思っていると、身動ぎして花音が身体を起こすのがわかった。
「先輩! 」
「舞ちゃん?……私達、助かったの?それに……此処は」
今いる場所に心当たりがあるようにも見える花音に、舞が声を掛けようと口を開きかけたところでドアが開いた。
「……気がついたか? 」
その声と共に風夜が入ってくる。
その服装はいつもの白を基調としたものではなく、黒を基調としたものになっていた。
「何、その服? 」
「……ああ、これか。これが正装なんだよ。魔族が魔王と謁見する時のな」
「……えっ?魔王……」
思わず、舞は目を丸くした。
「魔王って、じゃあ此処は……」
「魔界だよ。……全員、此処に転移させられたんだ。……俺はこれから莉鳳と報告に行く。気がついたならちょうどいい。お前達も来い」
その言葉に舞は少し戸惑ったが、もし助けてもらったのだとしたら、行った方がいい気がした。
2
途中で莉鳳とも合流した舞達は、兵が守る大きな扉の前に来る。
扉の両側にいた魔族の兵は一度は警戒したが、風夜と莉鳳の姿を見てすぐに警戒を解き、扉を開いた。
「……来たか」
一歩踏み出したところで思っていたより若い声が聞こえてくる。
視線を向けると、正面の玉座にはまだ十五、六位の少年が座っていた。
「……あの方が今の魔王だ」
「……えっ? 」
莉鳳の言葉に、舞は思わず声を上げてしまい、それが聞こえたのか少年がククッと笑った。
「……そうだ。俺が今の魔王、緋皇。……まぁ、つい一年前になったばかりのまだまだ若輩者だがな」
「……一年前……」
「先代は一年前の戦いの責任をとって地位をおりたのさ」
そこまで言って、緋皇は風夜と莉鳳を見た。
「……そろそろ、報告を聞こうか?神界はどうなった? 」
その問いに口を開いたのは、莉鳳だった。
3
「…………そうか。とうとう神界は落ちたか」
莉鳳から話を聞いた緋皇がそう呟いて目を閉じる。
「……数百年前からいつかはそんな日が来るかもしれないとは思っていたが 俺の代になってこんなにすぐとは」
「あのっ……」
そこで舞は思い切って口を開いた。
「……何だ? 」
「私達を此処へ移動させたのは、あなたなんですか? 」
「……ああ、その二人は今の魔界には必要な奴等だからな。何かあった時には俺にわかるようにしておいた。……それと」
そこで緋皇はニヤリと笑った。
「神界の奴等に恩を売っておくのも悪くないだろ? 」
「……恩を売るも何も……、俺達の方が借りはある筈ですが」
「確かにそうだが、この件は十分チャラに出来ると思うぞ」
「……どうですかね、それは」
「「? 」」
二人の間でだけ通じ合っている話に、舞と花音は戸惑い、説明を求めるように風夜を見る。
「……俺も此処で生活するようになってから知った話だが、今までの魔族と神族の戦いは魔神族に仕組まれていたものらしい」
「……どういうこと? 」
「……そのままの意味だ」
舞は一年前の戦いを知らなかったが、今聞いたことは気になった。
「……此処は? 」
意識が戻り、目を開けると、見慣れない天井がまず見えた。
ゆっくりと身体を起こし辺りを見回すと、やはり見慣れない部屋にいて、まだ気付いていない花音、聖奈、綾が寝かされていた。
自分もだが、傷の手当てはしてある。
だが、身体は酷く怠い。
(どうなってるんだろう?私達、神界で麗玲達に…… )
そんなことを思っていると、身動ぎして花音が身体を起こすのがわかった。
「先輩! 」
「舞ちゃん?……私達、助かったの?それに……此処は」
今いる場所に心当たりがあるようにも見える花音に、舞が声を掛けようと口を開きかけたところでドアが開いた。
「……気がついたか? 」
その声と共に風夜が入ってくる。
その服装はいつもの白を基調としたものではなく、黒を基調としたものになっていた。
「何、その服? 」
「……ああ、これか。これが正装なんだよ。魔族が魔王と謁見する時のな」
「……えっ?魔王……」
思わず、舞は目を丸くした。
「魔王って、じゃあ此処は……」
「魔界だよ。……全員、此処に転移させられたんだ。……俺はこれから莉鳳と報告に行く。気がついたならちょうどいい。お前達も来い」
その言葉に舞は少し戸惑ったが、もし助けてもらったのだとしたら、行った方がいい気がした。
2
途中で莉鳳とも合流した舞達は、兵が守る大きな扉の前に来る。
扉の両側にいた魔族の兵は一度は警戒したが、風夜と莉鳳の姿を見てすぐに警戒を解き、扉を開いた。
「……来たか」
一歩踏み出したところで思っていたより若い声が聞こえてくる。
視線を向けると、正面の玉座にはまだ十五、六位の少年が座っていた。
「……あの方が今の魔王だ」
「……えっ? 」
莉鳳の言葉に、舞は思わず声を上げてしまい、それが聞こえたのか少年がククッと笑った。
「……そうだ。俺が今の魔王、緋皇。……まぁ、つい一年前になったばかりのまだまだ若輩者だがな」
「……一年前……」
「先代は一年前の戦いの責任をとって地位をおりたのさ」
そこまで言って、緋皇は風夜と莉鳳を見た。
「……そろそろ、報告を聞こうか?神界はどうなった? 」
その問いに口を開いたのは、莉鳳だった。
3
「…………そうか。とうとう神界は落ちたか」
莉鳳から話を聞いた緋皇がそう呟いて目を閉じる。
「……数百年前からいつかはそんな日が来るかもしれないとは思っていたが 俺の代になってこんなにすぐとは」
「あのっ……」
そこで舞は思い切って口を開いた。
「……何だ? 」
「私達を此処へ移動させたのは、あなたなんですか? 」
「……ああ、その二人は今の魔界には必要な奴等だからな。何かあった時には俺にわかるようにしておいた。……それと」
そこで緋皇はニヤリと笑った。
「神界の奴等に恩を売っておくのも悪くないだろ? 」
「……恩を売るも何も……、俺達の方が借りはある筈ですが」
「確かにそうだが、この件は十分チャラに出来ると思うぞ」
「……どうですかね、それは」
「「? 」」
二人の間でだけ通じ合っている話に、舞と花音は戸惑い、説明を求めるように風夜を見る。
「……俺も此処で生活するようになってから知った話だが、今までの魔族と神族の戦いは魔神族に仕組まれていたものらしい」
「……どういうこと? 」
「……そのままの意味だ」
舞は一年前の戦いを知らなかったが、今聞いたことは気になった。