第11章
1
「……いたたたっ、もう何なの?こんな急に……」
言いつつ、足元を見る。
そこには何故か氷が張っていた。
「何でこんな所に……、氷が……」
そう呟いた時、ピキッと今度は何かが凍りつくような音が聞こえてくる。
「えっ?ええっ!? 」
何が起きているのかと視線を動かすと氷が張られている範囲が広がりつつある。
それだけでなく、舞達の身体も足元から凍り始めていた。
「これって……! 」
「ちっ!……火焔! 」
「ああ!」
花音が目を見開き、風夜が舌打ちする。
返事を返した火焔が地に手をつけば、今度は熱を感じ、足元の氷が解けるのがわかった。
「!!……今度は上からよ! 」
足が動くようになり、ほっとした直後星夢の声がする。
視線を上げると、今度は氷が何本もの氷柱のようになって、上空から降りそそごうとしていた。
「伏せろ!! 」
風夜の声に姿勢を低くすれば、舞達を中心に風が吹き荒れる。
「……もういいぞ」
その声に身を起こせば、風によって弾き飛ばされたのだろう氷が地面に落ちていた。
「やっぱり、これって……」
「ええ、間違いないわ」
落ちた氷を見て、花音と星夢が言い、その横にいた風夜が少し離れた場所に視線を動かす。
「……いるんだろ?そろそろ出て来いよ」
その声に反応したのか、そこに一人の人物が現れる。
それは数日前に攫われた内の一人である凍矢だった。
2
「!! 」
現れた凍矢の表情を見て、舞は息をのむ。
(……何?あの表情……)
目に光はなく、虚ろな表情からは意思が感じられない。
「……綺羅の仕業だな」
「……ああ。奴のやりそうなことだ」
「綺羅? 」
飛影と煌破の会話に出てきた聞いたことのない名に思わず聞き返す。
「……十人衆の一人だ。人の意識を奪い、操る力を持っている」
飛影が言ったのと同時に、花音と風夜が不快そうに顔を顰めた。
「じゃあ、どうすればいいの? 」
「……とりあえず、動きを封じるぞ。その後は……」
言いながら、飛影が綾を見る。
「お前が綺羅の力を打ち消せ。〈光麗〉の力なら、それが出来る筈だ」
それを聞いた綾の表情からは、緊張が伝わってくる。
それでも、彼女は大きく一度頷いた。
「……うっ……」
気を失わせて数十分、呻いて目を開けた凍矢の目には光が戻っていて、舞はほっと息をついた。
「……気分はどう? 」
そのことに一番ほっとしていたのは力を使った綾で、まだぼんやりとしていると凍矢に声を掛ける。
「……あまりよくはないな。意識はなかったのに何をしたのかははっきりと覚えてる。身体の自由が全くきかなくて、最悪な気分だ。……お前はよくあそこまで抵抗出来たな」
「……俺には風牙の力もあったからな」
凍矢と風夜の話は舞にはわからなかったが、前に同じようなことがあったのだろうと思う。
「……動けるなら、そろそろ行くぞ。綺羅の奴に術を解いたことはもうばれているだろうから、他の奴等が送り込まれる前に一気に突入する」
そう言った煌破に、舞達は頷いた。
「……いたたたっ、もう何なの?こんな急に……」
言いつつ、足元を見る。
そこには何故か氷が張っていた。
「何でこんな所に……、氷が……」
そう呟いた時、ピキッと今度は何かが凍りつくような音が聞こえてくる。
「えっ?ええっ!? 」
何が起きているのかと視線を動かすと氷が張られている範囲が広がりつつある。
それだけでなく、舞達の身体も足元から凍り始めていた。
「これって……! 」
「ちっ!……火焔! 」
「ああ!」
花音が目を見開き、風夜が舌打ちする。
返事を返した火焔が地に手をつけば、今度は熱を感じ、足元の氷が解けるのがわかった。
「!!……今度は上からよ! 」
足が動くようになり、ほっとした直後星夢の声がする。
視線を上げると、今度は氷が何本もの氷柱のようになって、上空から降りそそごうとしていた。
「伏せろ!! 」
風夜の声に姿勢を低くすれば、舞達を中心に風が吹き荒れる。
「……もういいぞ」
その声に身を起こせば、風によって弾き飛ばされたのだろう氷が地面に落ちていた。
「やっぱり、これって……」
「ええ、間違いないわ」
落ちた氷を見て、花音と星夢が言い、その横にいた風夜が少し離れた場所に視線を動かす。
「……いるんだろ?そろそろ出て来いよ」
その声に反応したのか、そこに一人の人物が現れる。
それは数日前に攫われた内の一人である凍矢だった。
2
「!! 」
現れた凍矢の表情を見て、舞は息をのむ。
(……何?あの表情……)
目に光はなく、虚ろな表情からは意思が感じられない。
「……綺羅の仕業だな」
「……ああ。奴のやりそうなことだ」
「綺羅? 」
飛影と煌破の会話に出てきた聞いたことのない名に思わず聞き返す。
「……十人衆の一人だ。人の意識を奪い、操る力を持っている」
飛影が言ったのと同時に、花音と風夜が不快そうに顔を顰めた。
「じゃあ、どうすればいいの? 」
「……とりあえず、動きを封じるぞ。その後は……」
言いながら、飛影が綾を見る。
「お前が綺羅の力を打ち消せ。〈光麗〉の力なら、それが出来る筈だ」
それを聞いた綾の表情からは、緊張が伝わってくる。
それでも、彼女は大きく一度頷いた。
「……うっ……」
気を失わせて数十分、呻いて目を開けた凍矢の目には光が戻っていて、舞はほっと息をついた。
「……気分はどう? 」
そのことに一番ほっとしていたのは力を使った綾で、まだぼんやりとしていると凍矢に声を掛ける。
「……あまりよくはないな。意識はなかったのに何をしたのかははっきりと覚えてる。身体の自由が全くきかなくて、最悪な気分だ。……お前はよくあそこまで抵抗出来たな」
「……俺には風牙の力もあったからな」
凍矢と風夜の話は舞にはわからなかったが、前に同じようなことがあったのだろうと思う。
「……動けるなら、そろそろ行くぞ。綺羅の奴に術を解いたことはもうばれているだろうから、他の奴等が送り込まれる前に一気に突入する」
そう言った煌破に、舞達は頷いた。