第26章
1
「麗玲」
舞が麗玲の部屋へと来たのは、次の日の昼を少し過ぎた頃だった。
「……何? 」
「……封魔が莉鳳に頼んでたこと。あの結果が出たよ」
「!!どうだったの!? 」
ハッとしたように聞き返してくる。
「やっぱり、数百年前に封魔が受けた実験と同じものみたい」
「それじゃあ……」
「……もし、十人衆の四人が捕らえられているとしたら」
「……実験に使われる」
舞が言おうとしていたことの後半を引き継ぐように言って、麗玲は舞を見てきた。
「……それで、私が頼んだことは? 」
「…………」
無言で首を横に振る。
結果を聞いた上でもう一度神界に行くことを問い掛けてみたのだが、言われたのは待機だったのだ。
「……やっぱりそうよね。私達のやってきたことを考えれば、そう簡単に助けてくれるなんて……」
そう呟いたかと思うと、麗玲はそれまで座っていたベッドから立ち上がると 、すたすたと窓へと近付いていった。
「えっ!?ちょっと、麗玲! 」
思いもしなかった行動に舞は慌てて声を上げる。
すると、彼女は寂しげな、何処か諦めているようにも見える表情で振り返ってきた。
「いいのよ。……こうなるのはわかってた」
そう言うと、麗玲は前に向き直る。
「……協力を断わられるのは仕方ないわ。私達を受け入れられない気持ちはわかる。……でも、私はあの四人を諦めることも出来ないの。だから、……一人でも助けに行く! 」
「待って! 」
再び歩き出そうとした麗玲へ舞は咄嗟に声を上げた。
「……舞? 」
「私も……」
一度言葉を止め、決意を固めると再度口を開く。
「私も行くよ。……協力する」
そう返すと、麗玲は驚いたように目を見開いた。
「本当? 」
「うん」
頷き返してから、舞は苦笑いする。
「って言っても、私一人行ったところでどのくらい役に立つかもわからないんだけどね」
そう言うと、麗玲は首を横に振った。
「そんなことないわ。……そういってくれただけでも嬉しいし、何よりあなたの強さを私は知っているもの」
「……同時に甘さも知られてる気がするけど」
「でも、その甘さが今回、私を助けようとしてくれてる」
麗玲が僅かに笑みを浮かべた。
「その優しさに感謝するわ。……ありがとう」
「お礼はまだ早過ぎるよ。全部これからなんだから。そうでしょ? 」
「……そうね」
「……さぁ、そろそろ行こう」
そう言って、手を差し出す。
「あまり此処で話していたら、誰かに気付かれるかも。そしたら、きっと止められるよ」
「……ええ。行きましょう」
麗玲が舞の手をとり、二人は一度顔を見合わせると大きく頷き合う。
「「行こう、神界へ」」
その言葉と共に、二人の姿は消えた。
「麗玲」
舞が麗玲の部屋へと来たのは、次の日の昼を少し過ぎた頃だった。
「……何? 」
「……封魔が莉鳳に頼んでたこと。あの結果が出たよ」
「!!どうだったの!? 」
ハッとしたように聞き返してくる。
「やっぱり、数百年前に封魔が受けた実験と同じものみたい」
「それじゃあ……」
「……もし、十人衆の四人が捕らえられているとしたら」
「……実験に使われる」
舞が言おうとしていたことの後半を引き継ぐように言って、麗玲は舞を見てきた。
「……それで、私が頼んだことは? 」
「…………」
無言で首を横に振る。
結果を聞いた上でもう一度神界に行くことを問い掛けてみたのだが、言われたのは待機だったのだ。
「……やっぱりそうよね。私達のやってきたことを考えれば、そう簡単に助けてくれるなんて……」
そう呟いたかと思うと、麗玲はそれまで座っていたベッドから立ち上がると 、すたすたと窓へと近付いていった。
「えっ!?ちょっと、麗玲! 」
思いもしなかった行動に舞は慌てて声を上げる。
すると、彼女は寂しげな、何処か諦めているようにも見える表情で振り返ってきた。
「いいのよ。……こうなるのはわかってた」
そう言うと、麗玲は前に向き直る。
「……協力を断わられるのは仕方ないわ。私達を受け入れられない気持ちはわかる。……でも、私はあの四人を諦めることも出来ないの。だから、……一人でも助けに行く! 」
「待って! 」
再び歩き出そうとした麗玲へ舞は咄嗟に声を上げた。
「……舞? 」
「私も……」
一度言葉を止め、決意を固めると再度口を開く。
「私も行くよ。……協力する」
そう返すと、麗玲は驚いたように目を見開いた。
「本当? 」
「うん」
頷き返してから、舞は苦笑いする。
「って言っても、私一人行ったところでどのくらい役に立つかもわからないんだけどね」
そう言うと、麗玲は首を横に振った。
「そんなことないわ。……そういってくれただけでも嬉しいし、何よりあなたの強さを私は知っているもの」
「……同時に甘さも知られてる気がするけど」
「でも、その甘さが今回、私を助けようとしてくれてる」
麗玲が僅かに笑みを浮かべた。
「その優しさに感謝するわ。……ありがとう」
「お礼はまだ早過ぎるよ。全部これからなんだから。そうでしょ? 」
「……そうね」
「……さぁ、そろそろ行こう」
そう言って、手を差し出す。
「あまり此処で話していたら、誰かに気付かれるかも。そしたら、きっと止められるよ」
「……ええ。行きましょう」
麗玲が舞の手をとり、二人は一度顔を見合わせると大きく頷き合う。
「「行こう、神界へ」」
その言葉と共に、二人の姿は消えた。
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