第26章
1
「……っ! 」
咄嗟に麗玲の手を掴み、無理矢理引っ張るようにして舞は走り出す。
気配だけでみれば、神族の者達だが逃げなくてはならないと思った。
(でも、どうすれば……。何処に逃げる? )
街の中に入って大丈夫なのか、城へ近付けていいのか迷う。
それでも、自分達へ狙いをつけられてしまえば立ち止まっている訳にはいかなかった。
「ま……、舞!? 」
「いいから!こっち! 」
戸惑ったような声を上げる麗玲の手を引き、走るスピードを上げる。
舞が逃げる先として選んだのは、麗玲を見つけた森の更に奥だった。
(この辺りまでくれば……)
森の奥の方まで来て、舞は足を止め、大きく息を吐いた。
麗玲の手を離し、彼女に向き直る。
「さてと、何があったのか聞いてもいい? 」
様子のおかしい麗玲に声を掛けた。
だが、彼女は怯えるような表情で落ち着きなく辺りを見回している。
「……麗……」
それを見て、再び声を掛けようとした時、辺りを激しく光が照らしたかと思うと、舞達の周りにあった筈の木は消し飛んでいた。
「えっ……?ええっ!? 」
いきなりのことに舞は周囲を見回す。
それと同時に麗玲はその場に膝をついてしまい、震えだした。
「もう駄目!!……私、消されちゃう ! 」
「な、何言って……」
そこまで言って、幾つかの気配に囲まれていることに気付く。
見上げると、やはり幾つもの無表情が舞達二人を見下ろしていた。
「……標的発見」
表情と同じく感情のない声で一人が言い、上空から降りてくる。
「……魔神族の神子。神帝の命令により排除する」
「……っ! 」
その声を聞いた麗玲の震えが大きくなる。
「ちょ、ちょっと待って! 」
舞が麗玲を庇うように立つと、それまでは主に麗玲に向けられていた目が舞の方を向いた。
「……この気配……、神族の神子、天華と一致」
「やはり排除する」
「わ、私も? 」
思わず舞は呟く。
そんな彼女に二、三人が向かってくる 。
その前に誰かが立ち塞がったかと思うと、次の瞬間、彼等は吹き飛んでいた 。
2
誰が割って入ってきたのかと視線を向け、封魔だと気付く。
「あり……」
助けに来てくれたのだと礼を言おうとした舞だったが、彼はそれに気付かなかったのか、視線すら寄こさずに突っ込んでいく。
それに違和感を感じはしたのだが、今のこの状況では話をしている余裕はないのかもしれないと思い直す。
だが、その違和感が気のせいではなかったというのを知ったのはそれからすぐのことだった。
「!! 」
次々と倒れ伏す神族の兵士らしき者達に、舞は信じられないというような表情を浮かべていた。
今はもう舞と麗玲、封魔しか立っている者はいない。
それだけの力をもって、封魔は彼等を捩じ伏せた。
兵士達に異常な怯えを見せる麗玲と、容赦無く地に伏せさせた封魔。
どちらにも違和感を感じずにはいられない。
そんなことを思っている間にも、封魔はその内の一人を乱暴に掴み上げていた。
「ちょ、ちょっと! 」
そうかと思うと、蹴りを入れてぐったりとしたその身体を抱える。
「……戻るぞ」
そこで漸く口を開いたかと思うと、麗玲を一瞥する。
「お前も来い」
言って、一人の兵士だけを連れていこうとするのを見て、舞は声を上げた。
「他の人はどうするの!? 」
それを聞いて、封魔が向けてきた目は冷たいものだった。
「……検体は一人で十分。それにもう手遅れだ」
話は終わりだというように歩き出す。
舞は一度振り返ったが、麗玲を促すだけで城へと足を向けた。
「……っ! 」
咄嗟に麗玲の手を掴み、無理矢理引っ張るようにして舞は走り出す。
気配だけでみれば、神族の者達だが逃げなくてはならないと思った。
(でも、どうすれば……。何処に逃げる? )
街の中に入って大丈夫なのか、城へ近付けていいのか迷う。
それでも、自分達へ狙いをつけられてしまえば立ち止まっている訳にはいかなかった。
「ま……、舞!? 」
「いいから!こっち! 」
戸惑ったような声を上げる麗玲の手を引き、走るスピードを上げる。
舞が逃げる先として選んだのは、麗玲を見つけた森の更に奥だった。
(この辺りまでくれば……)
森の奥の方まで来て、舞は足を止め、大きく息を吐いた。
麗玲の手を離し、彼女に向き直る。
「さてと、何があったのか聞いてもいい? 」
様子のおかしい麗玲に声を掛けた。
だが、彼女は怯えるような表情で落ち着きなく辺りを見回している。
「……麗……」
それを見て、再び声を掛けようとした時、辺りを激しく光が照らしたかと思うと、舞達の周りにあった筈の木は消し飛んでいた。
「えっ……?ええっ!? 」
いきなりのことに舞は周囲を見回す。
それと同時に麗玲はその場に膝をついてしまい、震えだした。
「もう駄目!!……私、消されちゃう ! 」
「な、何言って……」
そこまで言って、幾つかの気配に囲まれていることに気付く。
見上げると、やはり幾つもの無表情が舞達二人を見下ろしていた。
「……標的発見」
表情と同じく感情のない声で一人が言い、上空から降りてくる。
「……魔神族の神子。神帝の命令により排除する」
「……っ! 」
その声を聞いた麗玲の震えが大きくなる。
「ちょ、ちょっと待って! 」
舞が麗玲を庇うように立つと、それまでは主に麗玲に向けられていた目が舞の方を向いた。
「……この気配……、神族の神子、天華と一致」
「やはり排除する」
「わ、私も? 」
思わず舞は呟く。
そんな彼女に二、三人が向かってくる 。
その前に誰かが立ち塞がったかと思うと、次の瞬間、彼等は吹き飛んでいた 。
2
誰が割って入ってきたのかと視線を向け、封魔だと気付く。
「あり……」
助けに来てくれたのだと礼を言おうとした舞だったが、彼はそれに気付かなかったのか、視線すら寄こさずに突っ込んでいく。
それに違和感を感じはしたのだが、今のこの状況では話をしている余裕はないのかもしれないと思い直す。
だが、その違和感が気のせいではなかったというのを知ったのはそれからすぐのことだった。
「!! 」
次々と倒れ伏す神族の兵士らしき者達に、舞は信じられないというような表情を浮かべていた。
今はもう舞と麗玲、封魔しか立っている者はいない。
それだけの力をもって、封魔は彼等を捩じ伏せた。
兵士達に異常な怯えを見せる麗玲と、容赦無く地に伏せさせた封魔。
どちらにも違和感を感じずにはいられない。
そんなことを思っている間にも、封魔はその内の一人を乱暴に掴み上げていた。
「ちょ、ちょっと! 」
そうかと思うと、蹴りを入れてぐったりとしたその身体を抱える。
「……戻るぞ」
そこで漸く口を開いたかと思うと、麗玲を一瞥する。
「お前も来い」
言って、一人の兵士だけを連れていこうとするのを見て、舞は声を上げた。
「他の人はどうするの!? 」
それを聞いて、封魔が向けてきた目は冷たいものだった。
「……検体は一人で十分。それにもう手遅れだ」
話は終わりだというように歩き出す。
舞は一度振り返ったが、麗玲を促すだけで城へと足を向けた。