第25章
1
「「「「「…………」」」」」
神界のある森の中、麗玲達は息を潜めていた。
自分達のことを探しているのか、得体の知れない者達があちこちに見える。
(どうして……、どうしてこんなことに……)
気配を消し、様子を伺いながらも麗玲の中ではそんな言葉ばかりが浮かぶ。
今までも思い通りにならなかったことは勿論ある。
それでも確かに自分の願っていたものは手に出来ていたはずなのだ。
自分は夢を叶えたはずなのだ。
なのに、今のこの状況はどういうことなのか。
そんなことばかりをぐるぐると考えていた麗玲は、強く肩を揺すられ我に返った。
「な、何? 」
「……大丈夫ですか?顔色が悪いですよ」
肩を揺すったのは隼刀のようでそう声を掛けてくる。
彼だけでなく、後の三人も麗玲のことを見ていて、指示を待っているようだった。
それはわかっているのだが、どうすればいいのか考えがまとまらない。
その為、指示を待つ四人に何も返せない。
思い出すのは生きていた神帝に、麗玲と共にいる四人がなすすべもなく吹っ飛ばされた時のことだった。
ずっと神界軍、神子、闘神達に守られていた、一度は討ったと思っていた神帝。
その神帝は今再び現れ、得体の知れない連中を使って、自分達を追っている 。
見つかればどうなるか。それは考えたくない。
だが、この先どうすればいいか、全く思いつかない。
その時、麗玲は自分達を探している者達の中の一人と目が合った気がした。
「……!! 」
ニヤリと笑ったのを見た麗玲の背に冷たいものが走る。
次の瞬間、麗玲は後の四人に逃げるよう叫んで自身も走り出した。
2
「はぁ……、はぁ……」
逃げ出してどの位の時間が経ったのか 、麗玲は後ろを振り返る。
自分達を追ってきている者は、徐々にその数を増やしている。
そして、その者達からは疲れている様子など少しも見えなかった。
(……このままじゃ、捕まるのも時間の問題)
そう思っていると、自分以外の四人が視線を交わし合い、その足を止めた。
「麗玲様、ここは我々にお任せを」
「!!な、何言って……」
「あなたが逃げる時間くらい稼ぎます 」
「その間にお逃げください」
閻夜、世璃、翔月が言い、走ってきた道を引き返していく。
「ちょ、待ちなさい! 」
それを止めようと声を上げた麗玲の前には隼刀が立った。
「さぁ、早く行ってください。俺達が抑えている間に」
「っ……!あなた達四人は、私といると言ったじゃない!?私を一人にしないって! 」
「……俺達はあなた様を守るとも言いました」
戦闘が始まったのだろう音が聞こえてくる中、隼刀も麗玲に背を向ける。
「……どうか逃げてください」
「で、でも! 」
その時、閻夜達が抑えきれなかったのだろう数人が迫ってくる。
「……早く行け!! 」
「……っ!! 」
敬語ですらなくなった言葉で怒鳴られ 、麗玲は弾かれたように走り出す。
納得いかなくても、今は走り出すしかなかった。
「「「「「…………」」」」」
神界のある森の中、麗玲達は息を潜めていた。
自分達のことを探しているのか、得体の知れない者達があちこちに見える。
(どうして……、どうしてこんなことに……)
気配を消し、様子を伺いながらも麗玲の中ではそんな言葉ばかりが浮かぶ。
今までも思い通りにならなかったことは勿論ある。
それでも確かに自分の願っていたものは手に出来ていたはずなのだ。
自分は夢を叶えたはずなのだ。
なのに、今のこの状況はどういうことなのか。
そんなことばかりをぐるぐると考えていた麗玲は、強く肩を揺すられ我に返った。
「な、何? 」
「……大丈夫ですか?顔色が悪いですよ」
肩を揺すったのは隼刀のようでそう声を掛けてくる。
彼だけでなく、後の三人も麗玲のことを見ていて、指示を待っているようだった。
それはわかっているのだが、どうすればいいのか考えがまとまらない。
その為、指示を待つ四人に何も返せない。
思い出すのは生きていた神帝に、麗玲と共にいる四人がなすすべもなく吹っ飛ばされた時のことだった。
ずっと神界軍、神子、闘神達に守られていた、一度は討ったと思っていた神帝。
その神帝は今再び現れ、得体の知れない連中を使って、自分達を追っている 。
見つかればどうなるか。それは考えたくない。
だが、この先どうすればいいか、全く思いつかない。
その時、麗玲は自分達を探している者達の中の一人と目が合った気がした。
「……!! 」
ニヤリと笑ったのを見た麗玲の背に冷たいものが走る。
次の瞬間、麗玲は後の四人に逃げるよう叫んで自身も走り出した。
2
「はぁ……、はぁ……」
逃げ出してどの位の時間が経ったのか 、麗玲は後ろを振り返る。
自分達を追ってきている者は、徐々にその数を増やしている。
そして、その者達からは疲れている様子など少しも見えなかった。
(……このままじゃ、捕まるのも時間の問題)
そう思っていると、自分以外の四人が視線を交わし合い、その足を止めた。
「麗玲様、ここは我々にお任せを」
「!!な、何言って……」
「あなたが逃げる時間くらい稼ぎます 」
「その間にお逃げください」
閻夜、世璃、翔月が言い、走ってきた道を引き返していく。
「ちょ、待ちなさい! 」
それを止めようと声を上げた麗玲の前には隼刀が立った。
「さぁ、早く行ってください。俺達が抑えている間に」
「っ……!あなた達四人は、私といると言ったじゃない!?私を一人にしないって! 」
「……俺達はあなた様を守るとも言いました」
戦闘が始まったのだろう音が聞こえてくる中、隼刀も麗玲に背を向ける。
「……どうか逃げてください」
「で、でも! 」
その時、閻夜達が抑えきれなかったのだろう数人が迫ってくる。
「……早く行け!! 」
「……っ!! 」
敬語ですらなくなった言葉で怒鳴られ 、麗玲は弾かれたように走り出す。
納得いかなくても、今は走り出すしかなかった。