第22章
1
魔神族のアジトでもある城の中、凰呀は一人歩いていた。
「……天奏様の裏切りを知らせたことで今までの失敗を挽回するチャンスは増えたが、どうするかな? 」
次の作戦を考えながら呟く。
その時、前方から一人の少女が歩いてきた。
(ん?あいつは、確か……)
近付いてくる彼女を見ながら、あることを思い出す。
そこから思い付いたことがあり、凰呀はニヤリと笑うと足を止め、近くの壁に寄りかかって、少女が自分の前を通りかかるのを待つことにした。
「おい! 」
「!! 」
通り過ぎようとしたところを呼び止めるように声を掛ける。
少女はビクッと肩を震わせて足を止めた。
「……な、何でしょう?……凰呀様」
「様はもういらないだろう。お前も末席とはいえ、十人衆になったんだからな。……なぁ、玲莉」
肩を竦めてそう声を掛けると、少女ー玲莉は首を横に振った。
「……いえ、私はただ、……綺羅様、魔矢様、白羅様、破皇様が抜けた分、 繰り上がっただけです」
「……煌破も裏切って、十人衆も五人になってしまったからな」
彼女があえて出さなかった名を口にすると、再び肩を震わせたが、構わずに続けた。
「そんなことないだろう。……お前の実力は、十分十人衆だ。流石、飛影、煌破に仕え鍛錬してきただけのことはある。あの二人も補佐として、お前の実力を買っていたみたいだしな」
そこで、玲莉は表情を歪めた。
「ええ。……私はあの二人を上司として仕えていました。二人が私の力を買ってくれていたこと、私が信頼していたのは事実。でも、……裏切った。飛影様も煌破様も、私には何も言わないで……、突然いなくなってしまった」
「置いていった二人が憎くないか? 」
「…………」
その問いに、玲莉は首を横に振った。
「ならば、天華は? 」
「……憎くは……ないです。……ただ 、彼女がいなければ……」
そこで言葉を止めてしまったが、それを気にせず、凰呀は玲莉に手を差し出した。
「どうだ?今回、俺と手を組まないか ? 」
「私がですか? 」
「ああ。俺には残されたチャンスが少ない。お前はまだ大きな任務を任されたことがない。……どうだ?合同で動くには、俺がいる間が最後のチャンスだぞ」
「…………」
少し迷いながらも、伸ばしてきた手を握る。そうしながら、凰呀は内心で笑った。
「ならば、天華は? 」
「……憎くは……ないです。……ただ 、彼女がいなければ……」
そこで言葉を止めてしまったが、それを気にせず、凰呀は玲莉に手を差し出した。
「どうだ?今回、俺と手を組まないか ? 」
「私がですか? 」
「ああ。俺には残されたチャンスが少ない。お前はまだ大きな任務を任されたことがない。……どうだ?合同で動くには、俺がいる間が最後のチャンスだぞ」
「…………」
少し迷いながらも、伸ばしてきた手を握る。そうしながら、凰呀は内心で笑った。
玲莉と別れた後、凰呀は魔宝具が保管されている部屋へと来ていた。
番をしている魔神族に声を掛け、二つの魔宝具を手にとる。
「これと、……これを借りるぞ」
「いいですけど、麗玲様からの許可は ? 」
「勿論、おりてるさ」
そう答え、二つを持って部屋を出る。
「……さてと」
持ってきた二つの魔宝具を見る。
一つはペンダントに水晶が付いたもの 、もう一つは横笛の形をしている。
「まずはこっちからだな」
凰呀はそう呟くと、ある場所へ向かった。
魔神族のアジトでもある城の中、凰呀は一人歩いていた。
「……天奏様の裏切りを知らせたことで今までの失敗を挽回するチャンスは増えたが、どうするかな? 」
次の作戦を考えながら呟く。
その時、前方から一人の少女が歩いてきた。
(ん?あいつは、確か……)
近付いてくる彼女を見ながら、あることを思い出す。
そこから思い付いたことがあり、凰呀はニヤリと笑うと足を止め、近くの壁に寄りかかって、少女が自分の前を通りかかるのを待つことにした。
「おい! 」
「!! 」
通り過ぎようとしたところを呼び止めるように声を掛ける。
少女はビクッと肩を震わせて足を止めた。
「……な、何でしょう?……凰呀様」
「様はもういらないだろう。お前も末席とはいえ、十人衆になったんだからな。……なぁ、玲莉」
肩を竦めてそう声を掛けると、少女ー玲莉は首を横に振った。
「……いえ、私はただ、……綺羅様、魔矢様、白羅様、破皇様が抜けた分、 繰り上がっただけです」
「……煌破も裏切って、十人衆も五人になってしまったからな」
彼女があえて出さなかった名を口にすると、再び肩を震わせたが、構わずに続けた。
「そんなことないだろう。……お前の実力は、十分十人衆だ。流石、飛影、煌破に仕え鍛錬してきただけのことはある。あの二人も補佐として、お前の実力を買っていたみたいだしな」
そこで、玲莉は表情を歪めた。
「ええ。……私はあの二人を上司として仕えていました。二人が私の力を買ってくれていたこと、私が信頼していたのは事実。でも、……裏切った。飛影様も煌破様も、私には何も言わないで……、突然いなくなってしまった」
「置いていった二人が憎くないか? 」
「…………」
その問いに、玲莉は首を横に振った。
「ならば、天華は? 」
「……憎くは……ないです。……ただ 、彼女がいなければ……」
そこで言葉を止めてしまったが、それを気にせず、凰呀は玲莉に手を差し出した。
「どうだ?今回、俺と手を組まないか ? 」
「私がですか? 」
「ああ。俺には残されたチャンスが少ない。お前はまだ大きな任務を任されたことがない。……どうだ?合同で動くには、俺がいる間が最後のチャンスだぞ」
「…………」
少し迷いながらも、伸ばしてきた手を握る。そうしながら、凰呀は内心で笑った。
「ならば、天華は? 」
「……憎くは……ないです。……ただ 、彼女がいなければ……」
そこで言葉を止めてしまったが、それを気にせず、凰呀は玲莉に手を差し出した。
「どうだ?今回、俺と手を組まないか ? 」
「私がですか? 」
「ああ。俺には残されたチャンスが少ない。お前はまだ大きな任務を任されたことがない。……どうだ?合同で動くには、俺がいる間が最後のチャンスだぞ」
「…………」
少し迷いながらも、伸ばしてきた手を握る。そうしながら、凰呀は内心で笑った。
玲莉と別れた後、凰呀は魔宝具が保管されている部屋へと来ていた。
番をしている魔神族に声を掛け、二つの魔宝具を手にとる。
「これと、……これを借りるぞ」
「いいですけど、麗玲様からの許可は ? 」
「勿論、おりてるさ」
そう答え、二つを持って部屋を出る。
「……さてと」
持ってきた二つの魔宝具を見る。
一つはペンダントに水晶が付いたもの 、もう一つは横笛の形をしている。
「まずはこっちからだな」
凰呀はそう呟くと、ある場所へ向かった。