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第20章

1
「ちょっと、ちょっと!急いで来てみたら何してるの? 」
変わり果てた白羅を前に言い合いしていた神蘭と封魔を見て、舞は二人の間に割って入った。
「今はそんな言い合いしてる場合じゃないでしょ!? 」
「……まぁ、それだけ元気なら、間に合ったってことでいいんだけどな」
「……俺個人としたら、封魔に話があるけどな」
舞と共に来ていた飛影と風夜が白羅の前を塞ぐ。
それと同時にもう一人一緒に来ていた花音が封魔へと手を翳した。
「回復するつもりか?そうはいくか! 」
花音が何をしようとしたか気付いたのだろう白羅が大剣を振り上げようとし 、何故か崩れ落ちた。
「……な……に……? 」
『あー……』
何が起きたのかと目を見開く中で、気まずそうな声を上げたのは大剣についている顔だった。
『最初から飛ばしすぎたなぁ』
「どういうことだ? 」
『お前の身体はまだ俺様の力についてきてない。それから、俺様は暫く眠っていて、これ程の力を使ったのは久々だった。その反動だ。……今回はこれ以上無理だな。退くぞ』
「なんだと? 」
そう言った大剣の顔を白羅は睨み付ける。
『まぁ、慌てるな。……万全の状態なら、もっと楽に捩じ伏せられる』
「…………」
それでも白羅は納得していない様子だったが、突然目を見開いたかと思うと姿を消した。
2
納得してはいなかった筈の白羅が退いていったことに舞は飛影に視線を向けた。
「退いていったみたいだけど、いきなりどうしたんだろ? 」
「さあな」
その時、また別の声が聞こえてくる。
「麗玲が呼び戻したのよ」
「天奏……」
現れた天奏は舞達をじっと見つめてくる。
「あなた達は私について来なさい。あまり時間がないわ」
「……どういうことだ? 」
聞き返した飛影の声には警戒がふくまれていた。
「そのままの意味よ。……思ったより 、白羅と魔宝具の相性がよかったみたいでね。……その力で魔界を攻めようとしてるわ」
「!! 」
その言葉に舞は目を見開く。
「因みに言っとくけど、魔宝具の力を完全に使い熟した場合、今のあなた達に勝ち目はないでしょうね」
「「「「「「…………」」」」」」
その言葉に舞は天華だった時のことを思い出し無言になる。
魔神族である飛影や、今その力を目の当たりにしたばかりの神蘭と封魔の表情も硬いものだった。
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