第18章
1
(ううっ……、やっぱり変な空気…… )
「……ねぇ、何かあったの? 」
何処か重苦しい雰囲気に舞が内心呟いていると、朝は姿を見せなかった花音が小声で聞いてくる。
「ええと……」
どう話したらいいか考えながら、舞はその原因の方を見た。
神蘭はやはり月夜を気にかけているのか彼と話をしていて、その周りに封魔以外の神界の者達がいる。
封魔はというと一人離れた所へ座り、何か考え事をしているようでたまに星夜や楓、蒼魔が視線を向けているのがわかった。
それからどの位の時間が経ったのか、封魔は立ち上がるとそのまま出て行こうとし、扉の前で一度立ち止まる。
「……俺は少しの間、別行動をとる 」
視線は向けずそう言って、今度こそ出て行ってしまう。
「……あれは俺と同じ考えだな」
それを見て言ったのは飛影で、
「同じ考え? 」
朝、話していた所にはいなかった花音は首を傾げていたが、舞には何のことかわかった。
「……この状況を変えるには魔矢を叩くのが一番問題ない解決方法だってことだ。……という訳で、俺も行ってくるか」
そう言った飛影が席を立つと同時に少し離れた所にいる煌破を呼び付けた。
「……何だよ」
近付いてきた煌破に説明している飛影を見て、舞も首を傾げている花音に朝の事を話す。
「……そうだったんだ」
「……はい。それで……」
「封魔の奴も狙いを魔矢に絞ったんだろ。合流できるかはわからないが、俺達も奴を探しに行く」
「……うん。わかった」
その言葉に舞は頷いた。
2
「……三人を見送ったのはいいけど、今になってよく考えたら、あれで良かったのかな? 」
「舞ちゃん? 」
神蘭達の様子を見ながら、呟いた舞を花音が不思議そうに見てくる。
「だって、この状況を変える為に魔矢を倒すってことは、神蘭も本人も知らない所で、月夜も殺すってことでしょう?それで本当にいいのかなって」
「それなら、話すのか?神蘭に」
「俺が思うに余計ややこしい事になりそうだけどな」
花音と二人だと思っていた所で聞こえてきた風夜と風牙の声に振り返る。
「でもさ、何も知らないでいきなりいなくなったら、それって……悲しいよ 。仮初めの時間かもしれないけど、あの二人、あれだけ楽しそうなのに……
」
そう言って、舞は神蘭と月夜の方を見た。
「そう言ってもな。このままだと、神蘭と封魔の間が拗れていくぞ。最悪、そこから俺達まで分断する」
「……もしかして、それが狙い? 」
「……だな。……手遅れになる前に手は打たないとだが、情報が少なすぎる 。……当事者達すらまともにその時の記憶がないときてるからな」
この件に関しては龍牙達が話していたことを知らなければならないだろうが 、それを知る術もない。
「……可能性があるとすれば、やっぱり……、刹那か」
「……私、刹那くんに話してみる」
そう言って花音は刹那を探しにいってしまった。
3
「……なるほどな」
花音が連れてきた刹那に事情を説明すると、彼は少し考え込み、それから口を開いた。
「……出来ないこともないが、俺の力だけだと時間が掛かりすぎるし、飛ぶのが数百年前だと時空が不安定で危険だ。……まぁ、方法がない訳じゃないが」
「その方法って……」
「……俺達が嘗て暮らしていた時の一族の街。そこの祭壇にある陣を使えば ……後はその時のことを少しでも知ってる奴がいれば、そいつの記憶を元にその時間軸へ飛べる」
「……それなら、それは白鬼に頼むか 」
風夜が呟いて、舞達を見てきた。
「お前達は待ってろよ」
「えっ? 」
すっかり自分も行くつもりだった舞はそう声を上げた。
「な、何で? 」
「お前等まで来たら、月夜を見張る奴がいなくなる」
「見張ってるつもりはなかったんだけど……」
「とにかく、俺と刹那、白鬼で行ってくる。その間……」
「俺はこいつ等のお守り役か……」
風牙が肩を竦める。
少し納得いかなかったが、花音があっさりと頷いたこともあり、舞も行くのを諦めるしかなかった。
(ううっ……、やっぱり変な空気…… )
「……ねぇ、何かあったの? 」
何処か重苦しい雰囲気に舞が内心呟いていると、朝は姿を見せなかった花音が小声で聞いてくる。
「ええと……」
どう話したらいいか考えながら、舞はその原因の方を見た。
神蘭はやはり月夜を気にかけているのか彼と話をしていて、その周りに封魔以外の神界の者達がいる。
封魔はというと一人離れた所へ座り、何か考え事をしているようでたまに星夜や楓、蒼魔が視線を向けているのがわかった。
それからどの位の時間が経ったのか、封魔は立ち上がるとそのまま出て行こうとし、扉の前で一度立ち止まる。
「……俺は少しの間、別行動をとる 」
視線は向けずそう言って、今度こそ出て行ってしまう。
「……あれは俺と同じ考えだな」
それを見て言ったのは飛影で、
「同じ考え? 」
朝、話していた所にはいなかった花音は首を傾げていたが、舞には何のことかわかった。
「……この状況を変えるには魔矢を叩くのが一番問題ない解決方法だってことだ。……という訳で、俺も行ってくるか」
そう言った飛影が席を立つと同時に少し離れた所にいる煌破を呼び付けた。
「……何だよ」
近付いてきた煌破に説明している飛影を見て、舞も首を傾げている花音に朝の事を話す。
「……そうだったんだ」
「……はい。それで……」
「封魔の奴も狙いを魔矢に絞ったんだろ。合流できるかはわからないが、俺達も奴を探しに行く」
「……うん。わかった」
その言葉に舞は頷いた。
2
「……三人を見送ったのはいいけど、今になってよく考えたら、あれで良かったのかな? 」
「舞ちゃん? 」
神蘭達の様子を見ながら、呟いた舞を花音が不思議そうに見てくる。
「だって、この状況を変える為に魔矢を倒すってことは、神蘭も本人も知らない所で、月夜も殺すってことでしょう?それで本当にいいのかなって」
「それなら、話すのか?神蘭に」
「俺が思うに余計ややこしい事になりそうだけどな」
花音と二人だと思っていた所で聞こえてきた風夜と風牙の声に振り返る。
「でもさ、何も知らないでいきなりいなくなったら、それって……悲しいよ 。仮初めの時間かもしれないけど、あの二人、あれだけ楽しそうなのに……
」
そう言って、舞は神蘭と月夜の方を見た。
「そう言ってもな。このままだと、神蘭と封魔の間が拗れていくぞ。最悪、そこから俺達まで分断する」
「……もしかして、それが狙い? 」
「……だな。……手遅れになる前に手は打たないとだが、情報が少なすぎる 。……当事者達すらまともにその時の記憶がないときてるからな」
この件に関しては龍牙達が話していたことを知らなければならないだろうが 、それを知る術もない。
「……可能性があるとすれば、やっぱり……、刹那か」
「……私、刹那くんに話してみる」
そう言って花音は刹那を探しにいってしまった。
3
「……なるほどな」
花音が連れてきた刹那に事情を説明すると、彼は少し考え込み、それから口を開いた。
「……出来ないこともないが、俺の力だけだと時間が掛かりすぎるし、飛ぶのが数百年前だと時空が不安定で危険だ。……まぁ、方法がない訳じゃないが」
「その方法って……」
「……俺達が嘗て暮らしていた時の一族の街。そこの祭壇にある陣を使えば ……後はその時のことを少しでも知ってる奴がいれば、そいつの記憶を元にその時間軸へ飛べる」
「……それなら、それは白鬼に頼むか 」
風夜が呟いて、舞達を見てきた。
「お前達は待ってろよ」
「えっ? 」
すっかり自分も行くつもりだった舞はそう声を上げた。
「な、何で? 」
「お前等まで来たら、月夜を見張る奴がいなくなる」
「見張ってるつもりはなかったんだけど……」
「とにかく、俺と刹那、白鬼で行ってくる。その間……」
「俺はこいつ等のお守り役か……」
風牙が肩を竦める。
少し納得いかなかったが、花音があっさりと頷いたこともあり、舞も行くのを諦めるしかなかった。