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第17章

1
花音達の救出に失敗した舞達は、別行動だった龍牙達と合流した後、街の外れにあった建物の中へ身を隠していた 。
「……それでこれからどうするんだ? 」
舞達から話を聞いた龍牙がそう問い掛けてくる。
「……このまま一度引き上げたとしても、次がいつ来られるかわからないな 。……此処にいても私達が潜入したのがばれた以上、今いない麗玲達が戻ってくるのも時間の問題だしな」
「それに、こっちでも問題があってな 」
神蘭の呟きに、白鬼が返してくる。
「問題? 」
「ああ。……じっとしていられなかったみたいでな」
その言葉で問題というのが何のことなのかわかった。
「……あんた達、風夜に大人しくしているようにいわれたんじゃないのか。 ……それなのに、何故来た? 」
白夜が連れてきた二人の姿を見た途端 、風牙がそう口を開く。
声を掛けられた二人は花音の両親であり、風夜に釘を刺されていたことを知っている舞も何故此処にいるのかと視線を向けた。
「……確かに釘は刺されたけど、私達の娘と息子のことだ。待っているだけなんて出来なかったんだよ」
その言葉に何ヶ所からか溜息が聞こえてくる。
「……まぁ、来てしまったのは仕方ない。……送っていきますよ」
そう言い、刹那が花音の両親を見る。
遠回しに帰れと言っているのが伝わったのか、二人は表情を顰めたが、その時、舞達のいる建物の辺りが揺れた。
2
建物の外へと出ると、そこには数え切れない位の軍人達の姿があった。
「……これって……」
「……神界軍の者達だな」
「あははは、見ーつけた」
囲んでいる者達を見ていた舞に、封魔が答えると、綺羅の声が聞こえてくる 。
「街の中にまだいるとは思ってたけど 、本当にいるとはね」
そう言って姿を現した綺羅は笑みを浮かべていたが、不機嫌そうにも見えた 。
「……さっきはよくもやってくれたね 。妙な力を使ってくれちゃってさ。… …まぁ、いいや。今はいないからね。……さっきの続き……今度こそ、あの風使いの魔族がいっただろう場所へ送ってあげる」
それを聞いて、舞はチラッと風牙を見て、彼が首を横に振ったのを確認する 。
どういう意味での否定かはわからないが、落ち着いている様子から綺羅が思っているようなことにはなっていないのだろうと判断して、綺羅の方へ視線を戻す。
彼女の横にはいつの間にか再会した時の花音のように虚ろな表情をした光輝の姿があった。
(先輩だけじゃなくて、光輝まで…… !? )
花音が操られていたことで予想はしていたが、実際に目にすれば綺羅に対して怒りが湧いてくる。
「「光輝!! 」」
その時、後ろから花音の両親の声が聞こえてくる。
光輝はそれをチラリと見たものの、それ以上の反応を見せることはない。
だが、綺羅はそれを見て、何かを思い付いたようだった。
「またまた、いいこと思い付いちゃったかも」
そう言った綺羅が何かの印を組む。
その直後、光輝の身体が一度痙攣したように震え、その後、向けられた光輝の視線からは憎悪が感じられた。
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