第17章
1
「……うっ……、ぐっ……! 」
蔓の槍が消え、風夜が倒れ込む。
「……風……夜……」
「……綺羅ぁ! 」
激昂して斬りかかった飛影の一撃を躱し、綺羅は頬を膨らませる。
「何よ!今のは其奴が自分で刺されにきたんだよ。私が狙ったのはその女の方」
そう言って再び蔓を放とうとした綺羅へ火球が直撃した。
「あっつーい、何するの!? 」
「これ以上、二人に手出しさせない! 」
睨みつけた綺羅をそれ以上に鋭い視線で火焔が睨み返す。
綺羅の前に立つ飛影と火焔を確認し、舞は花音と風夜へと駆け寄った。
「……先輩、花音先輩! 」
倒れて意識もない風夜を茫然と見ている花音に舞は声を上げる。
それでも花音にはその声は聞こえていないようで、倒れている彼から視線が外れることはない。
「……嘘……、……何……これ、何で ……、こんな……」
「先輩!先輩!しっかりして! 」
何とか花音に正気に戻ってもらい、治療しなければ本当に危ないと舞は必死に声を掛ける。
「先輩……!ねぇ、しっかりしてよ!早く治療しないと、本当に死……」
「いったーい」
「!! 」
その時聞こえてきた声に、舞はハッと振り返る。
すると、そこでは綺羅が頭を抱えて座り込み、その近くに凰呀の姿があった 。
(こんな時に……! )
新手の姿に舌打ちしたくなる。
だが、それから少しして扉が開かれそこから飛び込んできた神蘭達の姿にホッとする。
そんな舞とは逆に入ってきた神蘭達は状況が上手く把握出来ないようだった 。
「……何だよ、これ。どんな状況だよ 」
いつの間に合流していたのか、外で魔神族の兵を引き付ける方に回っていた筈の風牙が呟く。
「一体……、これは……? 」
同じように戸惑った様子で、神蘭も声を掛けてくる。
そこでまた花音の様子が変わっていることに気付いた。
2
「……死……、風夜が……?……私の ……」
「!! 」
「いやああああぁ!! 」
呆然と呟いたかと思うと、花音の身体から溢れた力に吹き飛ばされる。
「うっ……! 」
「っ……!大丈夫か? 」
床に叩き付けられる前に、飛影に受け止められる。
そのお陰で痛みは感じなかったが、すぐに身体から力が抜け始めるのを感じた。
「……な、……何? 」
「……いけない!ここにいたらまずいわ!……刹那! 」
そう声を上げたのは聖羅で、彼女は此処から離脱するように伝える。
「待って!此処から離れるって、先輩達は!? 」
力の渦の中にいる花音、その近くで倒れている風夜、此処にはいない光輝の三人をどうするつもりかと聖羅を見れば、首を横に振った。
「いいから!今は此処から離れるのが先! 」
急かすように声を上げる聖羅に、刹那が能力を発動させる。
次の瞬間には舞達は建物から出てしまっていた。
3
「何で先輩達を残してきたの? 」
「……今は仕方なかったのよ」
聖羅に近付き声を上げた舞に、聖羅は溜息交じりにそう返してくる。
「彼処にいたら、私達も危なかったわ 」
「どういうこと? 」
綾が首を傾げる。
「彼処にいて、何も感じなかった? 」
「……何だか、力を吸い取られるような気はしたけど……」
「……吸い取られたのは力じゃないわ 。……生命そのものよ」
そう言った聖羅に思わず目を見開いた 。
「い、生命そのものって……」
「そのままよ。……光鈴の力が治癒なのは知っているでしょう? 」
それに舞は頷く。
「あれもその力の一つよ。……他のものの生命力を抜き取り、それを高度の治癒力へと変えるもの」
「なら、風夜は……」
「……多分、彼のことはわかってるでしょうから、大丈夫。あの場にはいなかった光輝もね。……普通なら、対象者を絞って使うんだけど、暴走状態で見境いなくなってたから、一度距離を置いたのだけど……」
「もう一度入り込むのは難しい……か 」
飛影の呟きに、聖羅が頷く。
「……一度、龍牙達と合流しますか? 」
「……そうね」
神蘭に声を掛けられ、聖羅が答えながら視線を向けてくる。
連れ出せなかった三人のことは気になってはいたが、今は体制を立て直した方がいいのも事実だった。
「……うっ……、ぐっ……! 」
蔓の槍が消え、風夜が倒れ込む。
「……風……夜……」
「……綺羅ぁ! 」
激昂して斬りかかった飛影の一撃を躱し、綺羅は頬を膨らませる。
「何よ!今のは其奴が自分で刺されにきたんだよ。私が狙ったのはその女の方」
そう言って再び蔓を放とうとした綺羅へ火球が直撃した。
「あっつーい、何するの!? 」
「これ以上、二人に手出しさせない! 」
睨みつけた綺羅をそれ以上に鋭い視線で火焔が睨み返す。
綺羅の前に立つ飛影と火焔を確認し、舞は花音と風夜へと駆け寄った。
「……先輩、花音先輩! 」
倒れて意識もない風夜を茫然と見ている花音に舞は声を上げる。
それでも花音にはその声は聞こえていないようで、倒れている彼から視線が外れることはない。
「……嘘……、……何……これ、何で ……、こんな……」
「先輩!先輩!しっかりして! 」
何とか花音に正気に戻ってもらい、治療しなければ本当に危ないと舞は必死に声を掛ける。
「先輩……!ねぇ、しっかりしてよ!早く治療しないと、本当に死……」
「いったーい」
「!! 」
その時聞こえてきた声に、舞はハッと振り返る。
すると、そこでは綺羅が頭を抱えて座り込み、その近くに凰呀の姿があった 。
(こんな時に……! )
新手の姿に舌打ちしたくなる。
だが、それから少しして扉が開かれそこから飛び込んできた神蘭達の姿にホッとする。
そんな舞とは逆に入ってきた神蘭達は状況が上手く把握出来ないようだった 。
「……何だよ、これ。どんな状況だよ 」
いつの間に合流していたのか、外で魔神族の兵を引き付ける方に回っていた筈の風牙が呟く。
「一体……、これは……? 」
同じように戸惑った様子で、神蘭も声を掛けてくる。
そこでまた花音の様子が変わっていることに気付いた。
2
「……死……、風夜が……?……私の ……」
「!! 」
「いやああああぁ!! 」
呆然と呟いたかと思うと、花音の身体から溢れた力に吹き飛ばされる。
「うっ……! 」
「っ……!大丈夫か? 」
床に叩き付けられる前に、飛影に受け止められる。
そのお陰で痛みは感じなかったが、すぐに身体から力が抜け始めるのを感じた。
「……な、……何? 」
「……いけない!ここにいたらまずいわ!……刹那! 」
そう声を上げたのは聖羅で、彼女は此処から離脱するように伝える。
「待って!此処から離れるって、先輩達は!? 」
力の渦の中にいる花音、その近くで倒れている風夜、此処にはいない光輝の三人をどうするつもりかと聖羅を見れば、首を横に振った。
「いいから!今は此処から離れるのが先! 」
急かすように声を上げる聖羅に、刹那が能力を発動させる。
次の瞬間には舞達は建物から出てしまっていた。
3
「何で先輩達を残してきたの? 」
「……今は仕方なかったのよ」
聖羅に近付き声を上げた舞に、聖羅は溜息交じりにそう返してくる。
「彼処にいたら、私達も危なかったわ 」
「どういうこと? 」
綾が首を傾げる。
「彼処にいて、何も感じなかった? 」
「……何だか、力を吸い取られるような気はしたけど……」
「……吸い取られたのは力じゃないわ 。……生命そのものよ」
そう言った聖羅に思わず目を見開いた 。
「い、生命そのものって……」
「そのままよ。……光鈴の力が治癒なのは知っているでしょう? 」
それに舞は頷く。
「あれもその力の一つよ。……他のものの生命力を抜き取り、それを高度の治癒力へと変えるもの」
「なら、風夜は……」
「……多分、彼のことはわかってるでしょうから、大丈夫。あの場にはいなかった光輝もね。……普通なら、対象者を絞って使うんだけど、暴走状態で見境いなくなってたから、一度距離を置いたのだけど……」
「もう一度入り込むのは難しい……か 」
飛影の呟きに、聖羅が頷く。
「……一度、龍牙達と合流しますか? 」
「……そうね」
神蘭に声を掛けられ、聖羅が答えながら視線を向けてくる。
連れ出せなかった三人のことは気になってはいたが、今は体制を立て直した方がいいのも事実だった。