第16章
1
「……うっ……」
花音が気が付くと、其処は何かの装置の中だった。
(な、何?……私、一体どうなっちゃったの? )
何があったのかよく覚えていない。
ただ、最後に麗玲の目が光ったのを見た後からの記憶が全くないのだけはわかる。
「あら?気が付いたの? 」
装置の外から麗玲のそんな声が聞こえてくる。
視線を向けると、此方を見て口元に笑みを浮かべている彼女がいた。
「ふふ、気分はどう? 」
「……この装置は一体? 」
「ふふ、これからあなたの力を少し戴こうと思ってね。……大丈夫、ちゃんと残しといてあげるわ」
その言葉と共に力を吸い取られる感覚に襲われる。
「うああああ! 」
身体から力が抜けていくにつれて、痛みも走る。
再び意識を失うのに、そんなに時間は掛からなかった。
2
「姉上! 」
飛び込んで見えた光景に光輝は足を止める。
「あ、姉上……」
「あら? 」
閉じ込められている機械の中で意識を失っている花音を見付ける。
近付こうとして、その前にいる麗玲に気が付いた。
「……姉上に何をした? 」
問い掛けると、麗玲は「ふふ」と笑い 、幾つかの珠を見せてくる。
「見てよ、この珠。綺麗でしょう?… …光鈴の力を入れたものよ」
「……何? 」
それを聞いて、光鈴は再び花音を見る 。
ぐったりとして意識が戻る様子がないのを見て、麗玲を睨み付けた。
「……大丈夫なんだろうな?もし、姉上に何かあったら……」
「どうするって?言っとくけど、あなたの大切なものはまだ私の手の中にあるのよ 」
それを聞いて、光輝は歯を食いしばる 。
「……ふふ、大丈夫よ。まだその子の力は必要なんだから。……私達、魔神族の持たない治癒力はね」
そこで光輝の方に珠を一つ投げてくる 。
「あなたにも一つあげるわ。……姉に負担を掛けたくなければ、使わないに越したことはないけどね」
そう言って麗玲は立ち去ろうとしたが 、すぐに何かを思い出したように足を止めた。
「そうそう、忘れるところだったわ」
振り返った麗玲が再び何かを放ってくる。受け止めれば、其れは鍵だった。
「あなた達の両親は返してあげるわ。光鈴はもう手に入ったし、あなたにとっては人質としての価値はあまりないみたいだから」
そう言い、今度こそ去っていく。
「…………」
光輝も渡された鍵をじっと見つめた後 、踵を返した。
3
地下へと続く階段を下りていき、一つの牢の前で立ち止まる。
中にいた二人の人物はその気配に気付いてか、視線を向けてきて、息をのんだ。
「「光輝!? 」」
「…………」
二人が上げた声に何も返さないまま、光輝は鍵を開ける。
「……出ろ」
開いたことを確認すると、すぐに背を向けて短く言う。
「……待って! 」
それに振り返ると、此方を懐かしそうに見る両親がいた。
「光輝、大きくなったな」
「ねぇ、もっとちゃんと顔を見せて」
そう言ってくる両親に少し苛つく。
「……どんな状況だと思ってるんだ?逃がしてやるから、さっさと帰れ」
そう言い案内する為に歩き出そうとして、今度は腕を掴まれたがすぐに振り払った。
「光輝? 」
「……少しでいい。話を……」
「話すことなんてない!……あんた達が無用心にも捕まった所為で姉上は…
…」
そこまで言って、ハッとして言葉を止めたが少し遅かった。
「花音?あの子もいるの!? 」
「花音がどうしたんだ?無事なのか! ? 」
そう声を掛けてきたが、もうこれ以上何を言うつもりもなかった。
「……いいから、黙ってついてこい。……あんた達は関わらずにとっとと帰ればいいんだよ」
言い放ち、もう話す気はないと背を向け足早に歩き出す。
両親は何度か話し掛けてはきたが、何も返さないでいる内に諦めたようだった。
「……うっ……」
花音が気が付くと、其処は何かの装置の中だった。
(な、何?……私、一体どうなっちゃったの? )
何があったのかよく覚えていない。
ただ、最後に麗玲の目が光ったのを見た後からの記憶が全くないのだけはわかる。
「あら?気が付いたの? 」
装置の外から麗玲のそんな声が聞こえてくる。
視線を向けると、此方を見て口元に笑みを浮かべている彼女がいた。
「ふふ、気分はどう? 」
「……この装置は一体? 」
「ふふ、これからあなたの力を少し戴こうと思ってね。……大丈夫、ちゃんと残しといてあげるわ」
その言葉と共に力を吸い取られる感覚に襲われる。
「うああああ! 」
身体から力が抜けていくにつれて、痛みも走る。
再び意識を失うのに、そんなに時間は掛からなかった。
2
「姉上! 」
飛び込んで見えた光景に光輝は足を止める。
「あ、姉上……」
「あら? 」
閉じ込められている機械の中で意識を失っている花音を見付ける。
近付こうとして、その前にいる麗玲に気が付いた。
「……姉上に何をした? 」
問い掛けると、麗玲は「ふふ」と笑い 、幾つかの珠を見せてくる。
「見てよ、この珠。綺麗でしょう?… …光鈴の力を入れたものよ」
「……何? 」
それを聞いて、光鈴は再び花音を見る 。
ぐったりとして意識が戻る様子がないのを見て、麗玲を睨み付けた。
「……大丈夫なんだろうな?もし、姉上に何かあったら……」
「どうするって?言っとくけど、あなたの大切なものはまだ私の手の中にあるのよ 」
それを聞いて、光輝は歯を食いしばる 。
「……ふふ、大丈夫よ。まだその子の力は必要なんだから。……私達、魔神族の持たない治癒力はね」
そこで光輝の方に珠を一つ投げてくる 。
「あなたにも一つあげるわ。……姉に負担を掛けたくなければ、使わないに越したことはないけどね」
そう言って麗玲は立ち去ろうとしたが 、すぐに何かを思い出したように足を止めた。
「そうそう、忘れるところだったわ」
振り返った麗玲が再び何かを放ってくる。受け止めれば、其れは鍵だった。
「あなた達の両親は返してあげるわ。光鈴はもう手に入ったし、あなたにとっては人質としての価値はあまりないみたいだから」
そう言い、今度こそ去っていく。
「…………」
光輝も渡された鍵をじっと見つめた後 、踵を返した。
3
地下へと続く階段を下りていき、一つの牢の前で立ち止まる。
中にいた二人の人物はその気配に気付いてか、視線を向けてきて、息をのんだ。
「「光輝!? 」」
「…………」
二人が上げた声に何も返さないまま、光輝は鍵を開ける。
「……出ろ」
開いたことを確認すると、すぐに背を向けて短く言う。
「……待って! 」
それに振り返ると、此方を懐かしそうに見る両親がいた。
「光輝、大きくなったな」
「ねぇ、もっとちゃんと顔を見せて」
そう言ってくる両親に少し苛つく。
「……どんな状況だと思ってるんだ?逃がしてやるから、さっさと帰れ」
そう言い案内する為に歩き出そうとして、今度は腕を掴まれたがすぐに振り払った。
「光輝? 」
「……少しでいい。話を……」
「話すことなんてない!……あんた達が無用心にも捕まった所為で姉上は…
…」
そこまで言って、ハッとして言葉を止めたが少し遅かった。
「花音?あの子もいるの!? 」
「花音がどうしたんだ?無事なのか! ? 」
そう声を掛けてきたが、もうこれ以上何を言うつもりもなかった。
「……いいから、黙ってついてこい。……あんた達は関わらずにとっとと帰ればいいんだよ」
言い放ち、もう話す気はないと背を向け足早に歩き出す。
両親は何度か話し掛けてはきたが、何も返さないでいる内に諦めたようだった。