第5章
1
「「はぁ……はあ……」」
「「「…………っ」」」
息を切らせて神蘭達は座り込む。
「何だ?もうばてたのか? 」
呼吸を整えていた神蘭の耳に、聖波のそんな声が聞こえてくる。
「…………もう、ばてたのかって…… 」
「封魔なんかはあっさりとこなしていたぞ」
「…………これを……か。化物かよ、彼奴」
龍牙のそんな声が聞こえてきて、神蘭は内心苦笑する。
(確かに……これは……)
聖波に言いつけられた体力作りの内容を思い出した。
(この重りを付けて、いきなりあの山を往復だもんなぁ)
聖波が修行をみてくれることになってから数日、基礎的な戦術や戦法を教えてもらう他、手足に重りを付けて、薬草を採りに行った山への往復を繰り返すという日を繰り返していた。
何往復かに一回という頻度で、聖波が放つ式達との戦闘があるが、正直これで強くなっているのか自信はない。
それでも聖波には聖波のやり方があるのだろうと今は信じるしかなかった。
2
修行が始まって数日、聖波に言われた通りのことを終え、神蘭達が戻ってくると、彼は真剣な表情で何かを読んでいた。
「……何かあったんですか? 」
聖波の表情から嫌な予感がして、神蘭は問い掛ける。
「!!……いや、大したことじゃない 。……それより、今日の分はもう終わったのか? 」
戻ってきた神蘭達にも気付かなかったのか、自分の読んでいたものを隠すと何事もなかったかのように話しかけてくる。
「…………お陰様でこっちはくたくただよ」
引っかかることは勿論あるのだろうが 、気付かない振りをしているのか、龍牙がそう返す。
「……なら、ゆっくり休んでろ。……俺は少し出掛けてくる」
そう言うと、聖波は出て行ってしまった。
「……あれ、絶対何か隠してるよな」
聖波を見送ってから、龍牙が呟く。
それは神蘭も他の三人も思っていたことらしかった。
「でも、何を隠してるのかはさっぱりね」
「……あまりいい情報ではないのは確かなんだろうが、それが何かわからないことには動くに動けないな」
鈴麗と白鬼が口々に言う。
「……仕方ないよ。……今は私達のやるべきことをしよう。無理に聞き出そうとしても駄目だと思うし」
神蘭はそう言ったが、自分自身でも何があったのか気になっているのは確かだった。
3
出掛けていた聖波が戻ってきたのは二日後で、彼は出掛けていった時と同じく難しい表情をしていた。
「……まずいことになってきたな」
そう呟いた聖波が休んでいた神蘭達のところに近付いてくる。
「お前達、すぐに軍に戻れ。……此処で只、修行をしているような状況ではなくなってきてるぞ」
「「「「「えっ? 」」」」」
そう言った聖波に、神蘭達は顔を見合わせた。
「それってどういうことですか? 」
「……軍の一部が魔神神へと寝返ったそうだ」
「えっ? 」
「だが、問題はこのことじゃない。そいつらは既に封魔によって対処済みらしいからな。ただ、神界の上層部に魔神神と繋がっている者がいるらしい。それが誰なのかはわかっていないらしい。……俺も中央に呼び出された。お前達もそれに合わせて、軍に戻ってもらう。……いいな」
聖波の言葉に神蘭達は頷くしかなかった。
「「はぁ……はあ……」」
「「「…………っ」」」
息を切らせて神蘭達は座り込む。
「何だ?もうばてたのか? 」
呼吸を整えていた神蘭の耳に、聖波のそんな声が聞こえてくる。
「…………もう、ばてたのかって…… 」
「封魔なんかはあっさりとこなしていたぞ」
「…………これを……か。化物かよ、彼奴」
龍牙のそんな声が聞こえてきて、神蘭は内心苦笑する。
(確かに……これは……)
聖波に言いつけられた体力作りの内容を思い出した。
(この重りを付けて、いきなりあの山を往復だもんなぁ)
聖波が修行をみてくれることになってから数日、基礎的な戦術や戦法を教えてもらう他、手足に重りを付けて、薬草を採りに行った山への往復を繰り返すという日を繰り返していた。
何往復かに一回という頻度で、聖波が放つ式達との戦闘があるが、正直これで強くなっているのか自信はない。
それでも聖波には聖波のやり方があるのだろうと今は信じるしかなかった。
2
修行が始まって数日、聖波に言われた通りのことを終え、神蘭達が戻ってくると、彼は真剣な表情で何かを読んでいた。
「……何かあったんですか? 」
聖波の表情から嫌な予感がして、神蘭は問い掛ける。
「!!……いや、大したことじゃない 。……それより、今日の分はもう終わったのか? 」
戻ってきた神蘭達にも気付かなかったのか、自分の読んでいたものを隠すと何事もなかったかのように話しかけてくる。
「…………お陰様でこっちはくたくただよ」
引っかかることは勿論あるのだろうが 、気付かない振りをしているのか、龍牙がそう返す。
「……なら、ゆっくり休んでろ。……俺は少し出掛けてくる」
そう言うと、聖波は出て行ってしまった。
「……あれ、絶対何か隠してるよな」
聖波を見送ってから、龍牙が呟く。
それは神蘭も他の三人も思っていたことらしかった。
「でも、何を隠してるのかはさっぱりね」
「……あまりいい情報ではないのは確かなんだろうが、それが何かわからないことには動くに動けないな」
鈴麗と白鬼が口々に言う。
「……仕方ないよ。……今は私達のやるべきことをしよう。無理に聞き出そうとしても駄目だと思うし」
神蘭はそう言ったが、自分自身でも何があったのか気になっているのは確かだった。
3
出掛けていた聖波が戻ってきたのは二日後で、彼は出掛けていった時と同じく難しい表情をしていた。
「……まずいことになってきたな」
そう呟いた聖波が休んでいた神蘭達のところに近付いてくる。
「お前達、すぐに軍に戻れ。……此処で只、修行をしているような状況ではなくなってきてるぞ」
「「「「「えっ? 」」」」」
そう言った聖波に、神蘭達は顔を見合わせた。
「それってどういうことですか? 」
「……軍の一部が魔神神へと寝返ったそうだ」
「えっ? 」
「だが、問題はこのことじゃない。そいつらは既に封魔によって対処済みらしいからな。ただ、神界の上層部に魔神神と繋がっている者がいるらしい。それが誰なのかはわかっていないらしい。……俺も中央に呼び出された。お前達もそれに合わせて、軍に戻ってもらう。……いいな」
聖波の言葉に神蘭達は頷くしかなかった。