第2章
1
封魔の所に行き、何も聞くことが出来ずに戻ってきてから数日。
軍の中では封魔への信用度は落ちてしまっているようで、陰口のようなものがあちこちから聞こえてきていた。
そんな軍の雰囲気を感じとっているのか単に忙しいだけなのかはわからないが、封魔が姿を見せることはない。
「でも、逆に今は姿を見せない方がいいかもな。下手に見せれば、暴動が起きかねない」
周りにいる兵士達の様子を見ながら白夜が言った時、一人の兵士が慌てた様子で走ってきた。
「おい、大変だ!」
そう言った兵士に視線が集まる。
「さっき話を聞いたんだけどな。また、この近くの村が襲撃されるって」
「何だよ、それ!本当なのか?」
「ああ。聞いた話だと、何でも今夜だとか」
その言葉に訓練場が騒がしくなった。
「もしそれが本当なら、上層部は何故我々に何も言ってこないんだ!?」
「まさか、今度はその村を見捨てるつもりなんじゃ……」
「……冗談じゃない!そんなことしたら、何の為に軍に入ったのか、わからないじゃないか!」
「この際だ、上の命令を待っていられるか!俺は行くぜ!」
「俺も!」
「俺もだ!」
一人が言えば、次々と声が上がる。
「お前達、何してる!?」
その時、聞こえてきた声に視線を向けると、そこには封魔直属の部下である星夜と楓の姿があった。
2
「訓練もしないで、全員で雑談か?」
「……そっちこそ、必要な情報はきちんと伝えていただかないと。我々にも出撃の準備というものがありますからね」
「……何のことだ?」
一人の兵士が嫌味ったらしく言ったことに星夜が眉を顰める。
そのまま彼は横にいる楓を見たが、彼女もわからないというように首を横に振った。
そんな二人の様子を見て、一人の兵士がおおげさに声を上げる。
「なんと!闘神直属のお二人も知らなかったとは!上層部は、というより封魔様は何をお考えなのでしょうね……!」
「だから、何の話だ!?」
少し苛ついた様な星夜の声に、別の兵士が口を開いた。
「今日、これから魔神族の襲撃があるという話ですよ」
それを聞いて、本当に知らなかったらしい二人が目を見開く。
「何だって!?そんなこと、俺達は聞いてないぞ!」
「まさか、それを知ったら私達が蒼魔様達の仇を討ちに行くと思われているんじゃないかしら?」
楓がそう呟く。
「だから、我々にはその情報を知らせなかったということか!?」
「よせ!お二人も知らなかったんだ。責めても仕方ない!」
「だが、……くそ、最近の上層部は何を考えているのか、さっぱりわからん」
「なら、確かめに行くか?」
星夜がそう言い、横にいた楓を含めた全員が彼を見た。
「確かめるって……」
「お前達が何処で情報を得たのかわからないが、本当に村が襲撃されるならほってはおけないだろ。準備出来次第、向かうぞ」
「でも、星夜、封魔様には……」
「もし情報を隠しているなら、反対されるに決まってるだろ?」
「……そうね。無断で動けば、相応の沙汰があるだろうけど、今回は仕方ないわ」
そんな二人の会話を聞きながら、神蘭は鈴麗達と準備に戻ろうとして、何となく情報を持ってきた兵士を見る。
(!?)
すると、その兵士は何故かその場に合わないニヤリとした笑みを浮かべていた。
封魔の所に行き、何も聞くことが出来ずに戻ってきてから数日。
軍の中では封魔への信用度は落ちてしまっているようで、陰口のようなものがあちこちから聞こえてきていた。
そんな軍の雰囲気を感じとっているのか単に忙しいだけなのかはわからないが、封魔が姿を見せることはない。
「でも、逆に今は姿を見せない方がいいかもな。下手に見せれば、暴動が起きかねない」
周りにいる兵士達の様子を見ながら白夜が言った時、一人の兵士が慌てた様子で走ってきた。
「おい、大変だ!」
そう言った兵士に視線が集まる。
「さっき話を聞いたんだけどな。また、この近くの村が襲撃されるって」
「何だよ、それ!本当なのか?」
「ああ。聞いた話だと、何でも今夜だとか」
その言葉に訓練場が騒がしくなった。
「もしそれが本当なら、上層部は何故我々に何も言ってこないんだ!?」
「まさか、今度はその村を見捨てるつもりなんじゃ……」
「……冗談じゃない!そんなことしたら、何の為に軍に入ったのか、わからないじゃないか!」
「この際だ、上の命令を待っていられるか!俺は行くぜ!」
「俺も!」
「俺もだ!」
一人が言えば、次々と声が上がる。
「お前達、何してる!?」
その時、聞こえてきた声に視線を向けると、そこには封魔直属の部下である星夜と楓の姿があった。
2
「訓練もしないで、全員で雑談か?」
「……そっちこそ、必要な情報はきちんと伝えていただかないと。我々にも出撃の準備というものがありますからね」
「……何のことだ?」
一人の兵士が嫌味ったらしく言ったことに星夜が眉を顰める。
そのまま彼は横にいる楓を見たが、彼女もわからないというように首を横に振った。
そんな二人の様子を見て、一人の兵士がおおげさに声を上げる。
「なんと!闘神直属のお二人も知らなかったとは!上層部は、というより封魔様は何をお考えなのでしょうね……!」
「だから、何の話だ!?」
少し苛ついた様な星夜の声に、別の兵士が口を開いた。
「今日、これから魔神族の襲撃があるという話ですよ」
それを聞いて、本当に知らなかったらしい二人が目を見開く。
「何だって!?そんなこと、俺達は聞いてないぞ!」
「まさか、それを知ったら私達が蒼魔様達の仇を討ちに行くと思われているんじゃないかしら?」
楓がそう呟く。
「だから、我々にはその情報を知らせなかったということか!?」
「よせ!お二人も知らなかったんだ。責めても仕方ない!」
「だが、……くそ、最近の上層部は何を考えているのか、さっぱりわからん」
「なら、確かめに行くか?」
星夜がそう言い、横にいた楓を含めた全員が彼を見た。
「確かめるって……」
「お前達が何処で情報を得たのかわからないが、本当に村が襲撃されるならほってはおけないだろ。準備出来次第、向かうぞ」
「でも、星夜、封魔様には……」
「もし情報を隠しているなら、反対されるに決まってるだろ?」
「……そうね。無断で動けば、相応の沙汰があるだろうけど、今回は仕方ないわ」
そんな二人の会話を聞きながら、神蘭は鈴麗達と準備に戻ろうとして、何となく情報を持ってきた兵士を見る。
(!?)
すると、その兵士は何故かその場に合わないニヤリとした笑みを浮かべていた。