受け継がれるもの
1
「…………」
大臣が消えていなくなった謁見の間。静寂をやぶるように再び謁見の間の扉が開かれる。
そこには、何人もの軍人達と、外で待機していたはずの沙羅達がいた。
「神界軍……!?」
「そんな、まだ約束の時間じゃ……」
昴が呟いたのを聞き、花音が言うと、軍の中から一人の男が進み出た。
「確かにまた約束の時間じゃない。しかし、先程幾つかの巨大な魔力を感じた。それを見過ごす訳にはいかないだろう?」
その言葉に、緊張がはしる。
その時、ふと風夜と《風夜》、そして神麗が誰もいないはずの宙を見る。
そこにはいつの間にか不気味な人形があった。
「な、何、あれ?」
「一体、いつの間に……」
謁見の間に来た時にはなかったはずのものに、風華と空夜が呟く。
その時、急にその人形が笑い声をあげながら、浮かび上がった。
「あーははは、馬鹿な奴。最後の最後まで、利用されていることに気付かず、本当に王になれると思ってるなんてさぁ。……でもって、役立たず。折角手に入れた国を、取り戻されるなんて、本当に役立たず」
そこまで言って、笑い声がとまる。
「……でも、まあ、いいわ。お楽しみはこれからよ」
そこまでいった人形の身体が光を放つ。
そうかと思うと、城の何処からか狂ったような声が聞こえてきた。
「な、何?」
「……とにかく、ここを出てみましょう」
神麗に言われ、花音達が城の外に出ると、夜天が上空を指した。
「おい、あれ!」
「!!」
見ると、軍の施設の辺りから様々な姿をしたものが次々と飛び立っては、空間の裂け目へと入っていく。
「……あれって、まさか……」
「キメラ……!?」
「まだあんなにいたのかよ?」
それを見て、蒼牙、紅牙、黄牙がそう声を上げるのが聞こえた。
「でも。あいつら、一体何処に行くつもりなんだ?」
「……!!まさか、神界を攻めるのに!」
神麗が呟いたのに、沙羅が頷く。
「そうね。窮姫達も、そのつもりで何度も実験をしていたのでしょうし」
「おい!神界に確認しろ!」
「は、はい!」
二人の会話を聞いた男が部下に言う。
頷いた部下は、花音達から少し離れると、連絡を取り始めたようだった。
少ししてその部下の表情が変わったかと思うと、通信を繋いだままリーダー格の男に何かを伝える。
その男の表情も変わったかと思うと、部下にかわって何か話をしたあと、花音達の方を見た。
「おい!」
「は、はい!」
声を掛けられ、花音は肩を跳ねさせる。
「お前達にも、私達と一緒に来てもらうぞ」
「えっ?」
「はっ?」
男の言葉に、花音と何人かの声が重なる。
それにも構わず、男は懐から何かを取り出した。
「緊急事態だ。説明とかは後回しにして、とにかく一緒に来てもらうぞ」
そう言われたかと思うと、花音達は光に包まれた。
「…………」
大臣が消えていなくなった謁見の間。静寂をやぶるように再び謁見の間の扉が開かれる。
そこには、何人もの軍人達と、外で待機していたはずの沙羅達がいた。
「神界軍……!?」
「そんな、まだ約束の時間じゃ……」
昴が呟いたのを聞き、花音が言うと、軍の中から一人の男が進み出た。
「確かにまた約束の時間じゃない。しかし、先程幾つかの巨大な魔力を感じた。それを見過ごす訳にはいかないだろう?」
その言葉に、緊張がはしる。
その時、ふと風夜と《風夜》、そして神麗が誰もいないはずの宙を見る。
そこにはいつの間にか不気味な人形があった。
「な、何、あれ?」
「一体、いつの間に……」
謁見の間に来た時にはなかったはずのものに、風華と空夜が呟く。
その時、急にその人形が笑い声をあげながら、浮かび上がった。
「あーははは、馬鹿な奴。最後の最後まで、利用されていることに気付かず、本当に王になれると思ってるなんてさぁ。……でもって、役立たず。折角手に入れた国を、取り戻されるなんて、本当に役立たず」
そこまで言って、笑い声がとまる。
「……でも、まあ、いいわ。お楽しみはこれからよ」
そこまでいった人形の身体が光を放つ。
そうかと思うと、城の何処からか狂ったような声が聞こえてきた。
「な、何?」
「……とにかく、ここを出てみましょう」
神麗に言われ、花音達が城の外に出ると、夜天が上空を指した。
「おい、あれ!」
「!!」
見ると、軍の施設の辺りから様々な姿をしたものが次々と飛び立っては、空間の裂け目へと入っていく。
「……あれって、まさか……」
「キメラ……!?」
「まだあんなにいたのかよ?」
それを見て、蒼牙、紅牙、黄牙がそう声を上げるのが聞こえた。
「でも。あいつら、一体何処に行くつもりなんだ?」
「……!!まさか、神界を攻めるのに!」
神麗が呟いたのに、沙羅が頷く。
「そうね。窮姫達も、そのつもりで何度も実験をしていたのでしょうし」
「おい!神界に確認しろ!」
「は、はい!」
二人の会話を聞いた男が部下に言う。
頷いた部下は、花音達から少し離れると、連絡を取り始めたようだった。
少ししてその部下の表情が変わったかと思うと、通信を繋いだままリーダー格の男に何かを伝える。
その男の表情も変わったかと思うと、部下にかわって何か話をしたあと、花音達の方を見た。
「おい!」
「は、はい!」
声を掛けられ、花音は肩を跳ねさせる。
「お前達にも、私達と一緒に来てもらうぞ」
「えっ?」
「はっ?」
男の言葉に、花音と何人かの声が重なる。
それにも構わず、男は懐から何かを取り出した。
「緊急事態だ。説明とかは後回しにして、とにかく一緒に来てもらうぞ」
そう言われたかと思うと、花音達は光に包まれた。