繋がる絆
1
「んー!」
実験を繰り返し、最後は自らも合成獣になっていた研究者の男を倒した次の日、花音は大きく伸びをしていた。
まだ昨日の疲れからか、誰も起きている様子はない。
そんな彼等を起こさないように、花音は立ち上がると、そっと歩き出す。
そして花音が来たのは、昨日研究者の男と戦った場所だった。
その辺りを見回してみると、地面に亀裂がはしったり、抉られていたりと、激戦の跡がくっきりと残っていた。
(でも、やっとあの研究者も倒せたし……、あとは……)
そう思った時、急に上空が光ったような気がして、花音は上を見上げる。
すると、光に包まれた何かが此方に向かって降りてきていた。
一直線に降りてきた光は、地面についた所で弾け、その眩しさから花音は手で顔を庇う。
光がおさまって手を下げると、そこには四十代位の男女と二十代位の男女、その四人に囲まれるように一人の少女がいた。
向こうも花音に気付いたのか、真ん中にいた少女がふと両脇の二十代位の男女へ視線を向ける。
それと同時に二人の姿が消えたかと思った次の瞬間、花音の首もとに二本の剣が突き付けられていた。
「!!」
いきなりだったことと、向けられる殺気で花音が動けずにいると、ふと二人は何かに気付いてそこから飛び退く。
その直後、花音は後ろから誰かに抱え込まれた。
「お前ら、神族だろ?こいつに危害を加える必要はないんじゃないか?」
後ろから花音を抱えているのは風夜のようで、花音が振り返ってみると、また入れ代わっているのか不機嫌そうな表情をしていた。
「お前っ、魔族かっ!?」
「だったら、何だ?」
「この場で……」
「お待ちください!」
若い男が風夜に剣を向けた時、声と共に現れたのは、神蘭、封魔、龍牙、鈴麗、白夜の五人だった。
現れた五人は、そのまま膝をつき、頭を下げる。
その五人を見て、真ん中にいた少女が顔を綻ばせた。
「神蘭、皆も久し振りね」
「聖羅様も、お元気そうでなによりです」
神蘭がそう返すと、それまで黙っていた方の男が口を開いた。
「お前達、一体何のつもりだ?」
「何のつもりとは?」
「その少女はともかく、そっちの男からは魔族の気配がするわ。闘神であるあなた達が魔族を庇うと?それも、神界軍総長、副総長の息子である封魔、あなたまで……」
聞き返した鈴麗に、もう一人の女性が言い、封魔を見た。
「この間報告したはずだ。母上。そいつは、魔族の血は引き継いでいるが、この世界の住人。危害を加えることがなければ、このまま様子を見る。それで納得したはずでは」
「そうね。でも、それはこの間までよ」
「この間までって……」
「何かあったのか?」
龍牙と白夜の言葉に頷いたのは、聖羅と呼ばれていた少女だった。
「宣戦布告よ。魔族はこの世界を手にし、神界を攻めてくる。両世界では、その為の準備が進んでいるわ。だから、私達はそれを知らせに来たの。神界へ戻ってきてもらうために」
「その状況で戻れと?」
「ああ。お前達には神界の守りと聖羅様の護衛についてもらう。いいな?」
「ですが、総長。私達が神界の守りにつくなら、誰がこっちを?」
「それなら、すでに先発隊を送ってある」
「先発隊?一体、何処へ?」
「決まっているだろう?この世界で、奴等が本拠地にしている場所……、風の国だ」
「「!!」」
その言葉に、花音と風夜は目を見開いた。
「んー!」
実験を繰り返し、最後は自らも合成獣になっていた研究者の男を倒した次の日、花音は大きく伸びをしていた。
まだ昨日の疲れからか、誰も起きている様子はない。
そんな彼等を起こさないように、花音は立ち上がると、そっと歩き出す。
そして花音が来たのは、昨日研究者の男と戦った場所だった。
その辺りを見回してみると、地面に亀裂がはしったり、抉られていたりと、激戦の跡がくっきりと残っていた。
(でも、やっとあの研究者も倒せたし……、あとは……)
そう思った時、急に上空が光ったような気がして、花音は上を見上げる。
すると、光に包まれた何かが此方に向かって降りてきていた。
一直線に降りてきた光は、地面についた所で弾け、その眩しさから花音は手で顔を庇う。
光がおさまって手を下げると、そこには四十代位の男女と二十代位の男女、その四人に囲まれるように一人の少女がいた。
向こうも花音に気付いたのか、真ん中にいた少女がふと両脇の二十代位の男女へ視線を向ける。
それと同時に二人の姿が消えたかと思った次の瞬間、花音の首もとに二本の剣が突き付けられていた。
「!!」
いきなりだったことと、向けられる殺気で花音が動けずにいると、ふと二人は何かに気付いてそこから飛び退く。
その直後、花音は後ろから誰かに抱え込まれた。
「お前ら、神族だろ?こいつに危害を加える必要はないんじゃないか?」
後ろから花音を抱えているのは風夜のようで、花音が振り返ってみると、また入れ代わっているのか不機嫌そうな表情をしていた。
「お前っ、魔族かっ!?」
「だったら、何だ?」
「この場で……」
「お待ちください!」
若い男が風夜に剣を向けた時、声と共に現れたのは、神蘭、封魔、龍牙、鈴麗、白夜の五人だった。
現れた五人は、そのまま膝をつき、頭を下げる。
その五人を見て、真ん中にいた少女が顔を綻ばせた。
「神蘭、皆も久し振りね」
「聖羅様も、お元気そうでなによりです」
神蘭がそう返すと、それまで黙っていた方の男が口を開いた。
「お前達、一体何のつもりだ?」
「何のつもりとは?」
「その少女はともかく、そっちの男からは魔族の気配がするわ。闘神であるあなた達が魔族を庇うと?それも、神界軍総長、副総長の息子である封魔、あなたまで……」
聞き返した鈴麗に、もう一人の女性が言い、封魔を見た。
「この間報告したはずだ。母上。そいつは、魔族の血は引き継いでいるが、この世界の住人。危害を加えることがなければ、このまま様子を見る。それで納得したはずでは」
「そうね。でも、それはこの間までよ」
「この間までって……」
「何かあったのか?」
龍牙と白夜の言葉に頷いたのは、聖羅と呼ばれていた少女だった。
「宣戦布告よ。魔族はこの世界を手にし、神界を攻めてくる。両世界では、その為の準備が進んでいるわ。だから、私達はそれを知らせに来たの。神界へ戻ってきてもらうために」
「その状況で戻れと?」
「ああ。お前達には神界の守りと聖羅様の護衛についてもらう。いいな?」
「ですが、総長。私達が神界の守りにつくなら、誰がこっちを?」
「それなら、すでに先発隊を送ってある」
「先発隊?一体、何処へ?」
「決まっているだろう?この世界で、奴等が本拠地にしている場所……、風の国だ」
「「!!」」
その言葉に、花音と風夜は目を見開いた。