泡沫に口付けを
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『や、めろ』
声と共に、唇に触れるハクの肌が少し汗ばんだのを感じて胸元からハクの顔を見上げると、ハクは険しい表情を浮かべ、右手で頭を押さえながら異常な汗をかいている
「おい、どうした、大丈夫か!」
『っ!触るな!!!』
俺が立ち上がると同時に、大きな声を出すハクに突き飛ばされる
ハクは俺を突き飛ばした反動で後退りし、荒屋の柱に背を預けるように立つ
『……っ、くそ、んだこれ………』
頭を抱えながら荒い呼吸を繰り返すハクの額から乾いた床に汗が落ちる
「ハク?」
『………なんなんだよ、お前、なんで、そんな風に俺に触るんだよ!!』
頭の痛み故か荒々しく叫ぶハクに俺はゴクリと息を呑む
まさか記憶が、戻ろうとしてるのか?
そんな淡い期待に、短く繰り返されるハクの呼吸の次に続く言葉を待つ
『………なんで、そんな声で……俺の名前を呼ぶ?……なん…でそんな目で………俺を…見る?
…………なんでこんな風に口付ける?』
「………ハク」
『なんで俺はっ………!!』
そう言うとハクは背中を柱に預けたままズルズルと床に座り込む
「おい!大丈夫か!」
『………っ、……辛い』
「…………辛い………?」
ハクは頭を押さえながら、ゆっくり息を整えるように言葉を紡いでいく
『俺の中には……何にも、なくて
アンタの手も……声も……目も……何もかも、嫌になるくらい優しくて、暖かくて………でも
俺には無いんだよ、それが入る場所が……
アンタにある“ハク”の記憶が、俺には、無くて
アンタが“ハク”に向けるその手が、声が、目が、俺には分からないんだよ……!
分からないのになんで、なんでこんなにっ………!』
頭を押さえていた右手はいつの間にか目を覆う様になっていて、手の影から涙が頬を伝って流れると、ハクはドサリとその場に倒れ込んでしまった
「おい!ハク!おい!!」
頭を押さえながら大量の汗をかき、荒い呼吸を繰り返すハクを、とにかく病院に連れて行こうと背負い上げる
「揺れるだろうが我慢しろよ!!」
ハクを背負い、できる限り早く足を進める
倒れる直前、ハクが話した言葉は、ハクが真選組に来たばかりの頃、ハクに会いに来た今井信女に抱きしめられた後、俺に言った言葉とそっくりだった
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