土方十四郎を名乗る者
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日が落ちてから、俺とハクは2人で貿易商の館に忍びこんでいた
地上に見える屋敷からは想像もつかないほど広い地下室には天人と人間が入り混じり、どうやらオークション会場のようだ
『娘達をオークションにかけるってワケか』
「囚われた娘たちがどこにいるか探すぞ」
『あぁ』
警備の人間達の目を掻い潜り、地下室を進んでいると、啜り泣く声が小さく響く
その声のする方へ進んでいくと、大きな檻に入れられた5人の娘達
「い、いや、連れて行かないで!家に帰して!!」
近づく俺達を敵だと思っている娘達は檻の中でお互いの身体を抱きしめあって怯えている
『シー……落ち着け、俺たちはアンタらを助けに来たんだ』
「今から鍵を開ける、静かにしてろ」
同じ声で喋る俺とハクに娘達は一瞬キョトンとした顔をしたものの、鍵の解錠に取り掛かったハクを見て、首を何度も縦に振る
『よし、いいか、全員静かに、俺達の後ろについて来い』
俺とハクで娘達を挟むようにして静かに地下室を進んでいく
このまま何事もなく外に出ることが出来ればという願いも虚しく、前方からやってくる人の気配に、後ろにいたはずのハクが俺達を抜いて走り出す
「おい!」
『俺が止める、行け!』
黒縄島を出てから一度も手入れされていないであろう刀は、黒縄島に残ってからのハクの戦いの激しさを物語る刃こぼれ
その刀を抜いて走り出したハクを止めることなど出来るはずもない
「すぐに戻る!無理はするな!」
ハクについていってしまいたい気持ちをグッと堪え、とにかく娘達を外に連れ出す事を第一に足を進めた
地下室を出て、娘達を屋敷から逃がし、俺はすぐさま地下室へと戻った
案の定、ハクは貿易商の護衛と客の天人達が入り乱れる中、1人刀を振るっていた
「ハク!」
俺の声にハクは目線を一瞬こちらにやると、相変わらず俺そっくりの太刀筋で敵を斬り伏せ、こちらに向かってくる
ハクが俺の元に来るまであと数メートルというところで、敵の剣で破けたらしいハクの服から手ぬぐいが落ちる
『っ!!!』
まだ敵が追ってきているというのに、落とした手ぬぐいを拾おうとするハクの手を掴み、俺は地下室の出口へと走り出す
「手ぬぐいなんかほっとけ!逃げるぞ!一つしかない地下室への扉さえ閉めちまえば、あいつらは出れない、あとはここの警察がなんとかする!!」
『………あぁ』
走る俺達の背後で、パキンと何かが割れる音がした
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