土方十四郎を名乗る者
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それからしばらく歩いて、ハクが今、仮の住まいとしている荒屋に案内される
立て付けが悪いのかガタガタと音を立てて戸が閉められると、部屋の中に静寂が訪れる
『座れ』
自分の声でそう言われると若干イラッとするが、話をしなければ何も進まない
座布団も何もない、板の間の上に俺が胡座をかいて座ると、正面にハクが座る
ハクの座り方といえば見ているだけで疲れそうな姿勢のいい正座だったが、今の座り方はやはり俺と同じだった
『土方十四郎……だと言ったな』
「あぁ」
『証拠は』
自分自身に取り調べされているような妙な気分になりながら、俺は免許証を取り出してハクに見せる
『…………本物、なんだな』
大人しく免許証を返してきたハクの様子を、俺はじっと見つめる
『お前は……俺が何者か……知ってるのか?』
「あぁ」
俺は記憶を消されたハクが真選組で俺の小姓として働いていたこと、黒縄島で仲間を庇って船から落ちてしまったこと、そして恐らくまた記憶を消されているであろうと言う事を話した
『じゃあアンタは俺の元上司……ってことか』
「あぁ」
『それで俺は、ハクっつー記憶喪失の女……か』
「……とりあえず、俺の真似するのやめろよ」
『真似って言われてもなぁ………』
頭をガシガシと困ったようにかく仕草も俺には思い当たる節がある
『来てもらって悪いんだが、そのハクって奴も前の記憶は戻らなかったんだろ?だったら俺がハクだったって記憶も戻らねぇんじゃねぇのか?』
「……は?」
『俺が自分もアンタらの事も忘れちまったように、アンタも俺の事なんて忘れちまえよ』
吐き捨てるようにそう言うハクに、どうしようもない怒りがわく
「ふざけんな、俺のことだけ無駄に覚えてるクセに、記憶が戻らねぇとか言うんじゃねぇ!!」
『……は?』
「お前の記憶が戻るまで、俺もここに住む」
『はぁ?』
「異論は認めねぇからな」
『……はぁ、勝手にしろ』
、