妹からの手紙
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
ーーーーーーーーーーーーーー
私は近々表の組織に入る事になった
きっと、この手紙も最後になる
ある人に言われたのだけれど、私達の名前は相当物騒で縁起が悪いものらしい
これから私はその人がくれた名前で生きていくことになる
外で生きるにはこの方が都合がいいみたい
それで思ったのだけれど、もしあなたが外で生きることになった時、いい名前がなくて困る事があったら『ハク』なんて名前はどう?
いつか、もし、外で会えたら、ハクと私が新しく貰った名前とで呼び合えたら
あなたにはなんて甘い事をって言われそうだけれど、もしこの手紙が届くなら後悔のないように書きたかった
いつかまた会える事を願って
あなたの妹より
ーーーーーーーーーー
朽はその手紙を読んだ後、火をつけ燃やした
『ハク……か、いい名前』
その名前をもし、名乗る事があれば、なんて想像を膨らませるが、奈落という汚れた世界しか知らない自分の脳内では大したものが描けない
けれど、朽にとっては骸から贈られた名前がある、それだけで心を満たすには充分だった
もしこの先、名乗る事がない名前だとしても
それから更に数年、
江戸城はたった一人の遊女の願いを叶えるために集まった万事屋、真選組、見廻組の面々で溢れかなり騒がしくなっていた
その屋上にいる朽、その目の前にいる男は朧
手にはあの薬を持っている
『あんたの前じゃ、誤魔化せそうにないな』
「……なに?」
『いや、なんにも……ただ……』
どうせ、ここで記憶を消されるなら、生まれ変われるなら、まっさらな状態で外に放り出されるなら………
『……一つ、お願いがあるんだ』
「………なんだ」
『ソレをのんで、目が覚めたら、私の名前は“ハク” だと教えてくれないか。それだけでいい、お願いだ』
「朽、お前この薬の事を………」
『………』
「……分かった」
その質問に答えない朽に、朧も何かを察したのか問いかけずに薬の入った小瓶の蓋を開ける
小瓶の中身が口中に流し込まれ、朽がきちんと飲み込むまで朧は全く目を離さなかった
薬の作用によりもたらされる頭痛で朽がのたうち回った後、ゆっくりと朽が身体を起こす
『……っ、私……は………』
「お前の名前はハクだ」
『ハク………?ゔっ!』
目覚めた朽に名前だけを告げ、朧はすぐさま手刀をくらわせ、気絶させた
、