鬼の涙を掬う猫
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翌日、雨が降る中、俺とハクは真選組の屯所を目指して歩いていた
俺自身、まだどうするべきか迷っているのが一歩一歩の歩みに現れているが、隣を歩くハクの目は真っ直ぐ前を向いていて、足取りも迷いがない
俺がどんな決断をしようとも、ハクはそばに居てくれる
それだけで俺の歩みの一歩一歩が少しずつ迷いを無くしていった
屯所の門までくると、そこには柱にもたれる万事屋の姿
「忘れもんか?」
「あぁ、だが取り戻せばそれが最後になる
ここを開けばもう2度とここには帰ってこれねぇ」
「俺も同じようなことがあった」
万事屋の語る過去、守りたい2つを守りきれなかったこと、普段のちゃらんぽらんな様子からは想像もできない落ち着いた様子に驚く
「お前は迷う必要なんてねぇ、今ならまだ間に合う、まだどっちも守れる、お前なら、お前たちなら」
開いた真選組の門の先には見知った顔が見知った服を着てずらりと並んでいた
「副長忘れもんです!さっさと指示を!!」
べちゃりと雨で濡れた地面の上に投げられる自分の隊服
俺はそれを肩から羽織り、久々に体の芯まで深く空気を取り込む
「指示するまでもねぇ、俺の制服に落書きした奴切腹!!!」
俺の言葉と共に、真選組の奴らの表情が引き締まる
守ってみせる、コイツらといる居場所を、そして近藤さんを
「お前は行かなくていいのか?」
帰ってきた土方達に湧く真選組の面々を少し離れたところで見ているハクに声をかける
『記憶を無くす前の私にも……あったかもしれない』
「なにが?」
『守りたいもの』
「…………もし今、記憶が戻って、守りたい奴を守れるとしたら、どうする?」
俺の質問にハクは驚いた様子もなくすぐに答える
『今は、十四郎のそばに居る』
「お前らやっぱ出来てんな?」
『出来てる?』
この質問にはキョトンと首を傾げるハクに若干呆れつつも、俺とハクは雨の中はしゃぐ馬鹿どもを見つめていた
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