鬼の涙を掬う猫
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警察の末端である同心となった土方はタバコをふかしながら、まるで抜け殻のように市中を見廻っていた
その隣には同じく同心となったハクの姿
近藤さんが連れて行かれたのを見た後、屯所に居たのはハクと万事屋の2人だ
近藤さんと、とっつぁんの逮捕、それに伴う真選組の解散
あれよあれよという間に真選組の連中とは離れ離れになり、早数週間
変わらず側にいるのはハクだけだ
『十四郎、ひったくり、行ってくる』
真選組にいた時と変わらず淡々と仕事をこなすハクはやはり元将軍の護衛だったからなのか俺と違って落ち着いている
俺の今の上司である小銭形が俺を気遣ってくれるのは痛いほど伝わるが、正直近藤さんのいる真選組以外では仕事に身が入らない
「お前はすごいな、ハク」
『……え?』
「こんなことになってもちゃんと仕事ができる。俺よりずっと立派だ」
『………』
ハクは俺の言葉に何も言わなかった
真選組を出てから、俺はハクと共にボロいアパートで暮らしていた
暮らす、と言っても帰って寝るだけの場所で俺とハクの僅かな荷物しか置かれていない殺風景なワンルーム
『十四郎、寝ないの?』
布団に入り、相変わらず俺の羽織りを抱き枕がわりにしているハクが俺に声をかけるが、真選組を出てから俺はあまり眠れていない
長い夜を何をするでもなくぼーっとすごし、ただただタバコが増えるばかりの夜が続いていた
「俺のことは気にせずにもう寝ろ」
『………分かった』
「ありやぁ、良くねぇなぁ」
少し離れた所でパトロールをする土方を見つめる小銭形の言葉に、ハクが耳を傾ける
『十四郎?』
「あぁ、完全に枯れ果ててる。女でも買えば少しは元気になるだろうに」
『………』
小銭形に言われた言葉をハクは少し考えるようにしながら、土方の元へと向かう
「ちょっとアニキ!ハクさんになんてこと言うんですか!!」
「なんだハジ、あいつも男だ。あぁなっちまった男がどうしたら元気になるかくらい分かるだろう。
俺の誘いには乗らないが、真選組の頃からの同僚の誘いなら、気晴らしにも行くんじゃないか?」
「はぁーー、これだから野郎は……
大体アニキ、ハクさんは……」
「万事屋によく似た声だよなぁ」
「はぁ………」
相変わらず外では銀時の声真似をしているハクを女だと見破れない上司に呆れながら、ハジは土方とハクの方を見る
「大丈夫かなぁあの2人………」
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